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【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

「年末調整のしかた」を読む(50ページ・年末調整の対象となる給与と徴収税額の集計)

2012-12-01 10:01:00 | 源泉徴収と年末調整
50ページの「年末調整の対象となる給与と徴収税額の集計」では大変重要な説明がされています。一方、これらに関して誤解している人も多いです。

●「給与」とは?

毎月の給料だけでなく賞与も含みます。なお、給与とは名目ではなく、「俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの『性質を有する』」(所得税法第28条)ものです。「現物給与」も含まれるのです。

●「一人一人」について集計する

当たり前のことです。所得税は個々人に課税されるからです。

●未払給与

支払う時期が来ているのに支払っていない給与、「遅配」になっている給与のことです。年内に支給日が到来している場合には、支払いの有無にかかわらず当年の給与に含めなければならないのです。

なお、金額は確定しているけれども、支給日が翌年の給与については、当年の給与として集計する必要はありません。なお、この件についての説明は92ページの「年末調整Q&A」の〔問3〕でされています。ここで一緒に説明すればいいのに・・・

●所得税源泉徴収簿(税務署配布)

税務署が配布している所得税源泉徴収簿と同等の機能を有するフォームをすでに利用しているのであれば(市販の給与計算用紙、給与計算ソフトなど)、税務署が配布している所得税源泉徴収簿に「わざわざ」「書き写す」必要はありません。

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「年末調整のしかた」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/nencho2012/01.htm

「年末調整のしかた」を読む(49ページ・年税額の計算)

2012-12-01 10:00:00 | 源泉徴収と年末調整
49ページ「年税額の計算」、ここまでで約半分です。

このページの説明は年末調整という事務作業の流れを理解する上で非常に重要です。また、このページは9ページの「年末調整の手順」の追加説明であるといえます。

1 年末調整の対象となる給与と徴収税額の集計

年末調整は年間給与総額に関する税金の計算作業ですので、まずは年間の集計作業をしなければなりません。この作業は年末調整の「第一歩」あるいは「準備作業」といえます。

2 「給与所得控除後の給与等の金額」の計算

給与所得控除?

年末調整というよりも、給与所得を理解する上で非常に重要な概念です。

「収入=所得」ではありません。例えば、事業所得の場合には収入から必要経費を差し引くように、収入からその収入を得るための支出を差し引いたものが所得とされています。給与所得の場合、給与収入から給与所得控除を差し引けますが、その額は実際の支出額ではなく79ページの「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」のとおり給与収入に応じて画一的に決められているのです。

3 扶養控除額等の合計額の計算

10ページから21ページまで延々と続いた説明のことです。この合計額を、「給与収入-給与所得控除=給与所得」からさらに控除する(差し引く)のです。

4 「所得控除額の合計額」の計算

所得控除とは「給与収入-給与所得控除=給与所得」からさらに差し引くもので、上記「3 扶養控除額等の合計額の計算」の扶養控除や配偶者控除などのほか、生命保険料控除や社会保険料控除などのことをいいます。

5 「差引課税給与所得金額」の計算と「算出年税額」の計算

ここまできて、初めて「税率!」が登場するのです。「所得税の税率は最低5%で・・・」といってしまえば簡単ですが、税率を乗じる所得の計算が大変なんですよ!

6 「年調年税額」の計算

上記「5 「差引課税給与所得金額」の計算と「算出年税額」の計算」で計算した「算出年税額」からさらに差し引けるものがあります。おなじみの住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)です。

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「年末調整のしかた」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/nencho2012/01.htm

「年末調整チェック表」(こんなのが欲しかった!)

2012-11-29 17:00:00 | 源泉徴収と年末調整
年末調整事務担当者の方は回収された扶養控除等申告書と保険料控除申告書のチェックに追われる時期になってきていると思います。こんなとき欲しいのが、漏れや間違いなどのミスを効率よく発見することができるチェックリストです。

あります!「年末調整のしかた」91ページの「年末調整チェック表」です。

■扶養控除等関係

【チェック!】「扶養控除等申告書を提出できる人で、提出漏れとなっている人はいませんか。」

社員名簿や給与台帳で入念にチェックするしかありません。

【チェック!】「本年中に控除対象配偶者や控除対象扶養親族等に異動があった人について、扶養控除等異動申告書が提出されていますか。」

当初提出した用紙の修正・追加・削除、異動申告書として改めて提出、いずれでもかまいません。

【チェック!】「控除対象配偶者、控除対象扶養親族の合計所得金額は38万円以下となっていますか。」

本人の申告を信用するしかありませんが、「既知の情報」【注】と矛盾する場合には本人に確認してください。

【チェック!】「特定扶養親族、老人扶養親族等の判定は正しく行われていますか。」

親族の生年月日が記載されていない、「既知の情報」【注】と矛盾する場合には本人に確認してください。

【注】「既知の情報」とは会社がすでに入手している情報(履歴書や社会保険手続などによって得た情報)や本人が公言している事実をいいます。社内の噂などは既知の情報ではありません。

■配偶者特別控除関係

【チェック!】「所得者本人の合計所得金額は1,000万円以下ですか。」
【チェック!】「配偶者控除の対象となる人について、配偶者特別控除を適用していませんか。」
【チェック!】「控除額の計算は正しく行われていますか。」

給与計算ソフトを使用している場合には間違わないでしょうが、手計算の場合には要注意です。

■生命保険料控除関係

【チェック!】「保険金又は年金の受取人は、一定の範囲内の人となっていますか。」
【チェック!】「申告された保険料は、所得者本人が支払ったものですか。」

本人の申告を信じるしかありません。

【チェック!】「分配を受けた剰余金や割戻しを受けた割戻金は、支払った保険料の額から差し引かれていますか。」
【チェック!】「新生命保険料、旧生命保険料、介護医療保険料、新個人年金保険料、旧個人年金保険料の区分を適正にし、控除額の計算が正しくされていますか。」
【チェック!】「保険料を支払ったことが分かる証明書類がありますか。」

保険会社が発行する保険料控除証明書と入念に照合すればミスすることはありません。

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★本人と連絡が取れない

これが一番、担当者を悩ませるケースでしょう。

年末調整は安全な方法で行い、控除漏れなど(税額を少なくする要素)は本人が確定申告で手続をするしかありません。

「仏心」や「親切心」は、結果として本人に迷惑をかけてしまいます!

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「年末調整のしかた」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/nencho2012/01.htm

「年末調整チェック表」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/nencho2012/pdf/91.pdf

「年末調整のしかた」を読む(35ページ・住宅借入金等特別控除申告書の受理と内容の確認)

2012-11-27 17:00:00 | 源泉徴収と年末調整
住宅借入金等特別控除(いわゆる住宅ローン控除)は35ページで説明されています。

年末調整での住宅借入金等特別控除は非常に簡単です。住宅ローンを借りている金融機関が発行する「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」さえあればいいからです。だから、初年度の確定申告に比べれば「超簡単」なのです。初年度は自ら税務署にいって申告しなければなりません。申告書に添付する書類の種類も多くその全てが一度に揃わず、一回で申告(還付)手続が終わらない人も多いです。

ただし、年末調整での手続が簡単といっても、「控除の対象にしていた住宅に住まなくなった」「住宅の名義を変更した」などの場合には注意が必要です。この件については税務署に確認してください。

【余談】なぜ、年末調整で医療費の控除はできないのか?

なぜでしょうね?しかし、なんらかの理由はあると思います。

推測するには、医療費の内容は種々雑多で専門的な判断を要するので、それが控除の対象になるかを各源泉徴収義務者(会社など)に任せることができないからでしょう。また、年末調整の時点では医療費の総額が計算できないこと、源泉徴収義務者の事務負担が過重となることも理由ではないかと思います。

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「年末調整のしかた」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/nencho2012/01.htm

3連休に書いてくださいよ!(扶養控除等申告書、保険料控除申告書)

2012-11-22 11:35:00 | 源泉徴収と年末調整
11月23日(金)は勤労感謝の日ですので、多くのサラリーマンは、「23日(金)」「24日(土)」「25日(日)」は3連休でしょう。お疲れ様です。しかし、サラリーマンの人には忘れてはならない「宿題」があります。

年末調整に関しての必要書類が勤務先から配布されていませんか?

「扶養控除等申告書」と「保険料控除申告書」ですよ!

これを書かなければ今年最後の給料で税金の還付が受けられません。正確に書かなければ還付される税金も正しく計算されません。遊ぶのは税金が還付されてからでいいじゃないですか(笑)。

今月末(11月30日の金曜日)あたりが提出期限の会社が多いと思います。この3連休に書いてください!

申告書の記入にあたっての注意事項は各申告書用紙の裏面で説明されていますが、国税庁サイトの下記も参考になります。

「年末調整のしかた」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/nencho2012/01.htm

年末調整の公式マニュアルです。あなたの会社の年末調整担当者はこれを読んで「うざい」ことをいっているのです。あなたも、これを読んで反論してください(笑)!

「あんた(年末調整担当者)のいうてることは間違いや!〇〇ページを読んでみろや」

「年末調整を受ける際の注意事項」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/nencho2012/pdf/94.pdf
「平成24年分 給与所得者の扶養控除等申告書のチェックポイント」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/nencho2012/pdf/95.pdf
「平成24年分 給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書の記載例」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/nencho2012/pdf/96.pdf
「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書の記載例」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/nencho2012/pdf/97.pdf
平成25年分 給与所得者の扶養控除等申告書の記載例
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/nencho2012/pdf/98.pdf

いずれも「年末調整のしかた」の一部ですが、年末調整の事務作業をする人の立場ではなく、「年末調整を受ける人」の立場から書かれています。

「還付申告をする給与所得者に対する注意事項」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/nencho2012/pdf/99.pdf

少し気が早いですが、「年末調整のしかた」では還付のための所得税確定申告のことも説明されています。