古野直也『張家三代の興亡:孝文・作霖・学良の”見果てぬ夢”』 芙蓉書房出版 1999.11
昔っからね、中国史が好きなのよ。高校時代にあたし、倫理社会だけトップだったのよ。ほかの物理とか数学とかはぜんぜんダメなんだけど、倫理は得意だったわけ。哲学的素質があった訳じゃないんだけども、ほんとは受験学科じゃないから他の生徒は捨ててた科目だったこともあるね。
その中でもね、竹林の七賢人ってのがあたしのあこがれ。こんな生活いつかはしてみたいなって、人生始まったばっかりのハイティーンが夢想してた。異常な子供よね。その後世の中に出て揉まれているうちにそんなこと忘れていたんだけれども、中国史だけは興味があって、特に清朝末期から戦後にかけての歴史が大好きなの。中国最大の混迷の時代ね。
パールバックの「大地」好きなのよね。この時代三代に渡る親子孫の大河小説。戦前はベストセラーだったみたいだけど、あたしは中学の時からもう4回読んだかな?
話は少しそれるけれど、安部 譲二は「大地」を読んだんだけれども、何度も中途で挫折してしまったって書いてた。あたしも読みたい本はあるけれど苦手がある。それはドスちゃんなのよね。ドストエフスキー。色々の作品にチャレンジしたけれども、大抵20p位で嫌になっちゃう。あの文体のねちっこさ、嫌気がさしちゃうのよね。訳文でもねちっこい。まあいつかは再チャレンジしますわよ、待っててドスちゃん!
中国だけれども、最近興味深いご本を読んだのよ。中国の一番分かりにくい時代の歴史が比較的分かりやすく書いてある。「張家三代の興亡:孝文・作霖・学良の”見果てぬ夢」古野直也著なんだけれども、何が書いてあるかって言うと、1900年代初頭に軍閥として旧満州に威勢を張った張作霖一族のお話。清王朝が滅亡して中国はカオスの渦だった。、日本の戦国時代と比べてもお話にならないくらいの住民に対して迫害と徹底的な搾取。
大体、日本の戦国時代はお百姓さんを大事にしない領主は領民に逃げられたし、家来たちも謀反を起こしたり、評判が悪ければ自ら没落していったけど、中国では悪い奴でも強い者が認められる、領主となれる、実力のみが領袖を決定する、特にこの時代はその傾向が強いみたい。
そんな軍閥群雄割拠するなかで、満州軍閥領袖の張作霖さんは日本の関東軍に暗殺され、二代目頭目は息子の張学良さんになる。
この学良さんって人が面白い人なのよね。作霖の死後、蒋介石に次ぐ中国のNO.2の地位を得ながら、満州事変で日本に不抵抗して地盤と評判を落としほとんど失脚、共産軍との戦いの最前線に追いやられ、左遷ぎみの地位まで堕ちてしまった。
ところが一発大逆転、共産軍とつるんでいるのではないかと前線まで探りに来た蒋介石を
拉致しちゃって、敵の共産軍と手を握らせて、共に抗日に向かうことに方針を180度転させてしまった、いわゆる西安事件の首謀者なのよ。このあたりの中国の歴史ってほんとにドラマティック!三国志より面白いかも。(悲惨な生活だった民衆には申し訳なし)
しかしこの学良さん、おぼっちゃんなのよね。むりやり蒋介石に国共合作を承知させて
釈放するんだけど、なんと蒋介石と同じ飛行機に乗って裏切った元の陣営に帰っちゃった! 上官を拉致して脅迫して、敵と通じて、それで済むと思っていたんだから能天気よね。
結局即逮捕されて以後数十年軟禁生活。でもよく殺されなかったわ。国際世論が味方ってこともあったけど、首謀者のもう一人の将軍、楊虎城さんは家族、秘書までも殺されてしまったのだから、幸運だったのでしょう。
その後自由な身の上になって2001年まで生きて100歳で亡くなった。ハワイで恵まれた、執事メイドにかしずかれた豪華な引退生活だったらしい。この本に、亡くなる数年前に行われた、著者とのインタビューが載ってるわ。その対談の内容も驚かされるんだけど、学良さんは蒋介石の若い時の行い、生活を知らなかったらしい。蒋介石は若いころ上海の暗黒組織の若い衆で、殺人をも自らの手でやったと著者は書いている。
中国でNO.1とNO.2の間柄と言えば、ほとんど敵対関係、ライバルなのに「敵を知り己を知れば百戦危うからず」も実行していなかった、この方のスケールにはほんとに驚くほかはない。頭もいいし記憶力抜群の人だったらしいけどね。
逮捕されて後、無収入になっていたにも関わらず、なぜ豪華な生活が送れたのか。
謎だけど察しはつくわ。大体中国の方はそれなりの地位がつくと沢山税金を取り立てて、その一部やほとんどを自分の海外の口座に振り込む。万が一の政変失脚やその時の亡命生活に備えてね。彼は大中国のNO.2だったのだから、相当金額おそらくアメリカあたりに蓄財しておいたんでしょ。怖いわ。当時の庶民が食うや食わずの、餓死者まで出すほどの経済状態のなかで蓄財するなんて、まあ民衆の敵でしょうね。彼はずっと抗日派で愛国者であったことは認めるけれど、彼の愛したのは自分の領土である中国なのよ。決して国民などではない。
彼の国の支配者は大抵そうだわ。
日本人は賢かったわね。中国古典の思想書や実用書等、書物だけを輸入して政治や生活の模範とした。生の中国の政治家や商売人を沢山は受け入れなかった。賢明なやり方だったと思うわ。島国で鎖国していて本当によかった。日本の歴史上の政治家さんたち、ほんとうにありがと。
昔っからね、中国史が好きなのよ。高校時代にあたし、倫理社会だけトップだったのよ。ほかの物理とか数学とかはぜんぜんダメなんだけど、倫理は得意だったわけ。哲学的素質があった訳じゃないんだけども、ほんとは受験学科じゃないから他の生徒は捨ててた科目だったこともあるね。
その中でもね、竹林の七賢人ってのがあたしのあこがれ。こんな生活いつかはしてみたいなって、人生始まったばっかりのハイティーンが夢想してた。異常な子供よね。その後世の中に出て揉まれているうちにそんなこと忘れていたんだけれども、中国史だけは興味があって、特に清朝末期から戦後にかけての歴史が大好きなの。中国最大の混迷の時代ね。
パールバックの「大地」好きなのよね。この時代三代に渡る親子孫の大河小説。戦前はベストセラーだったみたいだけど、あたしは中学の時からもう4回読んだかな?
話は少しそれるけれど、安部 譲二は「大地」を読んだんだけれども、何度も中途で挫折してしまったって書いてた。あたしも読みたい本はあるけれど苦手がある。それはドスちゃんなのよね。ドストエフスキー。色々の作品にチャレンジしたけれども、大抵20p位で嫌になっちゃう。あの文体のねちっこさ、嫌気がさしちゃうのよね。訳文でもねちっこい。まあいつかは再チャレンジしますわよ、待っててドスちゃん!
中国だけれども、最近興味深いご本を読んだのよ。中国の一番分かりにくい時代の歴史が比較的分かりやすく書いてある。「張家三代の興亡:孝文・作霖・学良の”見果てぬ夢」古野直也著なんだけれども、何が書いてあるかって言うと、1900年代初頭に軍閥として旧満州に威勢を張った張作霖一族のお話。清王朝が滅亡して中国はカオスの渦だった。、日本の戦国時代と比べてもお話にならないくらいの住民に対して迫害と徹底的な搾取。
大体、日本の戦国時代はお百姓さんを大事にしない領主は領民に逃げられたし、家来たちも謀反を起こしたり、評判が悪ければ自ら没落していったけど、中国では悪い奴でも強い者が認められる、領主となれる、実力のみが領袖を決定する、特にこの時代はその傾向が強いみたい。
そんな軍閥群雄割拠するなかで、満州軍閥領袖の張作霖さんは日本の関東軍に暗殺され、二代目頭目は息子の張学良さんになる。
この学良さんって人が面白い人なのよね。作霖の死後、蒋介石に次ぐ中国のNO.2の地位を得ながら、満州事変で日本に不抵抗して地盤と評判を落としほとんど失脚、共産軍との戦いの最前線に追いやられ、左遷ぎみの地位まで堕ちてしまった。
ところが一発大逆転、共産軍とつるんでいるのではないかと前線まで探りに来た蒋介石を
拉致しちゃって、敵の共産軍と手を握らせて、共に抗日に向かうことに方針を180度転させてしまった、いわゆる西安事件の首謀者なのよ。このあたりの中国の歴史ってほんとにドラマティック!三国志より面白いかも。(悲惨な生活だった民衆には申し訳なし)
しかしこの学良さん、おぼっちゃんなのよね。むりやり蒋介石に国共合作を承知させて
釈放するんだけど、なんと蒋介石と同じ飛行機に乗って裏切った元の陣営に帰っちゃった! 上官を拉致して脅迫して、敵と通じて、それで済むと思っていたんだから能天気よね。
結局即逮捕されて以後数十年軟禁生活。でもよく殺されなかったわ。国際世論が味方ってこともあったけど、首謀者のもう一人の将軍、楊虎城さんは家族、秘書までも殺されてしまったのだから、幸運だったのでしょう。
その後自由な身の上になって2001年まで生きて100歳で亡くなった。ハワイで恵まれた、執事メイドにかしずかれた豪華な引退生活だったらしい。この本に、亡くなる数年前に行われた、著者とのインタビューが載ってるわ。その対談の内容も驚かされるんだけど、学良さんは蒋介石の若い時の行い、生活を知らなかったらしい。蒋介石は若いころ上海の暗黒組織の若い衆で、殺人をも自らの手でやったと著者は書いている。
中国でNO.1とNO.2の間柄と言えば、ほとんど敵対関係、ライバルなのに「敵を知り己を知れば百戦危うからず」も実行していなかった、この方のスケールにはほんとに驚くほかはない。頭もいいし記憶力抜群の人だったらしいけどね。
逮捕されて後、無収入になっていたにも関わらず、なぜ豪華な生活が送れたのか。
謎だけど察しはつくわ。大体中国の方はそれなりの地位がつくと沢山税金を取り立てて、その一部やほとんどを自分の海外の口座に振り込む。万が一の政変失脚やその時の亡命生活に備えてね。彼は大中国のNO.2だったのだから、相当金額おそらくアメリカあたりに蓄財しておいたんでしょ。怖いわ。当時の庶民が食うや食わずの、餓死者まで出すほどの経済状態のなかで蓄財するなんて、まあ民衆の敵でしょうね。彼はずっと抗日派で愛国者であったことは認めるけれど、彼の愛したのは自分の領土である中国なのよ。決して国民などではない。
彼の国の支配者は大抵そうだわ。
日本人は賢かったわね。中国古典の思想書や実用書等、書物だけを輸入して政治や生活の模範とした。生の中国の政治家や商売人を沢山は受け入れなかった。賢明なやり方だったと思うわ。島国で鎖国していて本当によかった。日本の歴史上の政治家さんたち、ほんとうにありがと。
何が"賢い"と言うかでその人の賢さが決まるように思う.藁
阪神が優勝したらなぜ阪神が優勝したかを理路整然に言う人がいる.
歴史を論じる時に注意すべき事だとおもう.
優勝後にその理由を理路整然に言う人を”賢い”と思うのはその人の
賢さに関係してる.
例えば元寇、日本が負けていればどうなったか?これは元に支配された国々を見れば大体推測が付くわね。
一方、歴史の進行結果が最善では無かったように思える事項もある。
例えば明治維新、あんなに東北の人々が死んだり苦難しなければ新しい日本は築けなかったのか?答えはNOと思う。中間派が夢想したように、旧幕府の一部と各藩の有志が議会的集合体を構築して、合議制の新政府を作ることも非現実的とは言えなかったと思う。でも薩長の一部の野望はそうはさせなかった。
当時鎖国や入国管理を規制することが、その後国の有りように、どのような役割を果たしたのか。それは東アジアの国々の歴史的結果を対比すれば一目瞭然。日本と比べて朝鮮半島の当時から今の現状をみれば、当時の中国の影響を強く受けた方と、良い部分だけを受けた方の(日本)の現在を比較すればよいのではないかしら?朝鮮は李王朝の酷い国になった、一方日本は江戸時代に庶民が力を蓄え、経済力を持ち、文化の花開いた平和な国に。
歴史の正解は有る場合もありますのよ(笑)
私も「清朝末期から戦後にかけての歴史」が大好きです。悲惨な時代ではあるけれど、登場人物の魅力的なこと、才能と個性の強烈なことは、ほんとに三国志にまさると思います。
そうそう、学良はお坊ちゃんですね。いい意味でも、悪い意味でも。父親の張作霖が、煮ても焼いても食えないようなアウトローなのに、二代目があんなにお坊ちゃんになってしまうのは、中国社会の上層と下層の差が、それだけ大きかった(張作霖がものすごい成り上がり方をした)ということでしょうか。
大抵の歴史ファンは権力者とか英雄、英女?が好きなのよ。あたしもかってはそうだった。でも今はそれほどでも無くてよ。今じゃ、秀吉は大っ嫌いだし、信長もそう。彼らの表だった立派な建前を剥いでみれば、結局は権力志向の、自分勝手の、思いどうりにしたがりなのよ。
あたしは庶民派、民衆派。彼ら彼女らが懸命に生きて人生をどう楽しんだか、あるいは苦しんだか、それが知りたくて、それを糧に自分に活かしたくて色々ご本を読んでるわけ。自分を英雄たちと同化したくって読んでるわけじゃない。だから左でもないし右でもない。これはお姉さんと同じね。
学良の軟禁生活にはなんの意味も無かった。映画「パピヨン」の言葉を借りれば「人生を無為に過ごした罪」。アウン・サン・スー・チーさんの攻撃的で意味のある軟禁生活とは雲泥の差。
彼が二代目を上手く襲名出来たのは、彼が比較的優秀な人間だったことと、未だ中国が中世の尻尾を持っていて「血」を大切に思ったからでしょう。でも今の日本もあんまり偉そうには批判できないわよね、だって政治家でも芸能人でも、血のつながった二代目が好きなんだもの。
とても一晩では書ききれない想い!
第二部はまた書くわ。じゃあね。
突いたさん、歴史好きなんですね。そういえば歴史が流行ってますね。自分は苦手な方なので、今回は半分も理解できませんでしたw
賢人になりたいものですね。高い山の上で暮らす仙人とか。俗物な自分には到底無理な話ですが。黒沢映画の“7人の侍”にでもなれたら、大満足です。
お姉さんのブログみたいに、カッコよくクールに書こうと最初は思ってたんだけど、書いてるうちに、あたし、このキャラ、アバタでしょ。なんか論理的に書けなくって頭が混乱してきたのよ。あたしじゃダメかな?と思って、メインキャラの人に書いてもらおうと思ったのだけれど、平凡なサラリーマンの書くものって、やっぱり詰まんないのよね。だからあたしがまた出て書いた。お姉さんみたいに理路整然とは書けないけども、これはしょうがないわよね。オカマ味でいくしかない(どんな味だ?)
最近はあたしの出番が増えてきたのよ。昼間も少しずつ出るようにしている。会社の会議でも社長が出るような会議はメインキャラの人に任せてるんだけれども、若い人が中心の会議では時々あたしも顔を覗かしてるの。みんな突然の豹変で驚いて喜んでるわ。でもあまりに出過ぎるとお給料稼げないし、社会生活送れないからちょっと自制も大切ね。でも昼間の生活ってどうしてこうも面白くないのかしら?
メインキャラの彼は良く我慢してるわ。あたしならとっくに投げ出してる。夜のおいしいとこだけ、あたしが頂いちゃうぞぅ!
あらだいぶ脱線して台所事情を話しちゃったわね。
お姉さんのご質問の、学良さんはなぜお坊ちゃんになったのか?ってご質問ね。学良が物ごころついた時は作霖はいっぱしの頭だったと思うのよ。中国ってところは中間の対等って人間関係があまり存在しなくって、支配者と奴隷の関係が普通なの。映画なんかを見ても西太后や皇帝に大臣どころか皇族の摂政まで土下座しているでしょ。二極しか無い感じなのよ。
現在でもそんな傾向あり。うちの会社にも中国の研修生が勉強に来てるんだけど、あたしに挨拶する時とても卑屈にお辞義なんかしちゃうのよ。日本人の若い人じゃ考えられない位に。
宴会の時なんか頼んでもいないのに飛び回ってお酌係。恐縮しちゃうわ。だから学良も小さなヤクザの息子だった時から周りのチンピラたちにぬかずかれていたのでしょう。
あたし美術は嫌いじゃないんだけど、あまり詳しくないの。だからお姉さま、ご指導よろしくね! あなたの可愛いい妹、突いたですのよ。じゃあね!
歴史って好きなのよ。昔の人だってみんな悩んでた。昔は間違った行動とか、間違った勢力に味方したりすると戦争に負けたりして自分の命どころか家族全員死んじゃったりするのよね。だから決断が大変だった。今の私たちも大変だけれども、昔の人たちがどう行動すれば良かったのか?今なら分かるってことも多い訳。結果論かもしれないけどね。歴史を知ることは人生勉強でもあるし、楽しみでもある。造り物のドラマよりももっと面白い。だから自分の興味を持ったとこらから、歴史の面白そうな解説本から始めると良いわよ。お勧め!
七人の侍は2回位観たかな?日本の史実ではなさそうだけれども、中国の馬賊、土匪はあんな感じでお百姓さんたちを苦しめていたらしい。だからあながちフィクションとも言え無さそう。