ラヂデパ未体験者に、渋谷屋根裏という「若者の社交場」のイメージが強いハコでライヴ活動を続けている、僕らの立ち位置は、なかなか見えにくいようだ。ジャズやロックのみならずハワイアンやカントリーまで視野に入れれば、軽音楽を演り続けている人の平均年齢は、軽く還暦を超えてしまう訳で、いつまで経っても先輩だらけの世界――故に本人達にはなんの違和感もないんですが。
僕は小説を商業出版しているけれど、賞に応募した経験はなく、出版社の内実も未だ知らない。広告代理店やテレビ局、ラジオ局の事情も知らない。何れかの業界で働きたいといった気持ちは昔から更々無くて、ただオブジェだとか文章作品を拵えるのは好きだったから、自室やワープロの中には常時創作めいたガラクタが満ち溢れていた。なにか書いて/描いて、と頼まれれば、喜んでやっていた。そのうち、少女小説書いて、と頼まれた。それが本になるとき、下は平仮名にしてくださいと云われて、気軽に津原やすみと署名した。
音楽に関しても同じような調子で、いま久しぶりに思い出したのだが、奥野からの電話であるバンドに引き込まれ、「業界」へのアピール・ライヴまで行動を共にしたことがあった。間もなくテレビで彼らの曲を聴けるようになったが、僕と奥野、それに僕らが集めたホーンセクションは、元の生活に戻っていた。ライヴ前日、馘首を云い渡されていたからだ。
「あれ津原さんのアレンジじゃないですか」と奥野がずいぶん怒っていた。確かに譜面を書いたりはしたものの、そういう訳ではないと当時も今も思っている。一緒に演っているうち皆が均等に曲を掴んでいった、というのが客観的なところだ。ミニマムな「ユニット」の方が契約を交わし易いという事で、僕らは邪魔だったのだろう。
ユニットが今も堅実に頑張っておられるのを見るに、メンバーの絞り込みは正解だった事になる。最初からアルバイト気分だったホーン隊は別にしても、ライヴ演奏が可能な当初のメンバーでツアーにでも出ていたら楽しかったろうとは思うが、それは僕と奥野が垣間見た夢であって、彼らは違っていたのだから仕方がない。
例によって話が逸れてしまったけれど、要するに「音楽を創る」「音の理想郷を目指す」と、それで儲けるとか飯を食うというのは、重なり合ったパラレルワールドなのだ。両方の世界を行き来できる人達もいれば、片方にしか住みえない者達もいる。僕の性格を如実に反映したラヂオデパートは、頑ななほど前者に踏み止まってきた。
「客を拒絶しているように見える」「アーシャ(アーティスト写真の事だそうです)さえ無い。売る音源も無い」と先日、酔った奥野からお説教されてしまった。そういう訳ではなくて、完成させるや興味を失う悪癖が僕にはある。書き終えたら、録音し終えたら、直後には別の事を始めてしまう(この点、編輯者に丸投げできる小説は、実に僕に向いている)。
改善しよう。改善します。
ライヴは過酷だ。百点満点どころか、八十点、七十点のライヴも経験した事がない。だから飽きない。
昔は十点とか二十点のライヴばかりだったから、後で強烈な鬱状態に陥っていた。それでも飽きなかった。このところは鬱にならないので、多少は理想に近づけているのだと思う。
レンブラント光線を。
ラヂオデパート:津原泰水(Vo,G)/稲葉太朗(B)/奥野芳幸(D)/小山亜紀(Vo)
【5/22 渋谷屋根裏(渋谷)】03-3477-6969
http://shibuya-yaneura.com/
日時:2008年5月22日(木)18:00open 18:30start
前売券:2,000円 当日券: 2,300円
対バン:日本泥棒/ゆっくりり/ALUGUEL JERIST
※ラヂデパの出演は20:30より。
※予めご連絡くだされば、前売り料金にてお入りいただけます(無断キャンセル可)。メールアドレスは【aquapolis】のトップ頁に開示しています。
僕は小説を商業出版しているけれど、賞に応募した経験はなく、出版社の内実も未だ知らない。広告代理店やテレビ局、ラジオ局の事情も知らない。何れかの業界で働きたいといった気持ちは昔から更々無くて、ただオブジェだとか文章作品を拵えるのは好きだったから、自室やワープロの中には常時創作めいたガラクタが満ち溢れていた。なにか書いて/描いて、と頼まれれば、喜んでやっていた。そのうち、少女小説書いて、と頼まれた。それが本になるとき、下は平仮名にしてくださいと云われて、気軽に津原やすみと署名した。
音楽に関しても同じような調子で、いま久しぶりに思い出したのだが、奥野からの電話であるバンドに引き込まれ、「業界」へのアピール・ライヴまで行動を共にしたことがあった。間もなくテレビで彼らの曲を聴けるようになったが、僕と奥野、それに僕らが集めたホーンセクションは、元の生活に戻っていた。ライヴ前日、馘首を云い渡されていたからだ。
「あれ津原さんのアレンジじゃないですか」と奥野がずいぶん怒っていた。確かに譜面を書いたりはしたものの、そういう訳ではないと当時も今も思っている。一緒に演っているうち皆が均等に曲を掴んでいった、というのが客観的なところだ。ミニマムな「ユニット」の方が契約を交わし易いという事で、僕らは邪魔だったのだろう。
ユニットが今も堅実に頑張っておられるのを見るに、メンバーの絞り込みは正解だった事になる。最初からアルバイト気分だったホーン隊は別にしても、ライヴ演奏が可能な当初のメンバーでツアーにでも出ていたら楽しかったろうとは思うが、それは僕と奥野が垣間見た夢であって、彼らは違っていたのだから仕方がない。
例によって話が逸れてしまったけれど、要するに「音楽を創る」「音の理想郷を目指す」と、それで儲けるとか飯を食うというのは、重なり合ったパラレルワールドなのだ。両方の世界を行き来できる人達もいれば、片方にしか住みえない者達もいる。僕の性格を如実に反映したラヂオデパートは、頑ななほど前者に踏み止まってきた。
「客を拒絶しているように見える」「アーシャ(アーティスト写真の事だそうです)さえ無い。売る音源も無い」と先日、酔った奥野からお説教されてしまった。そういう訳ではなくて、完成させるや興味を失う悪癖が僕にはある。書き終えたら、録音し終えたら、直後には別の事を始めてしまう(この点、編輯者に丸投げできる小説は、実に僕に向いている)。
改善しよう。改善します。
ライヴは過酷だ。百点満点どころか、八十点、七十点のライヴも経験した事がない。だから飽きない。
昔は十点とか二十点のライヴばかりだったから、後で強烈な鬱状態に陥っていた。それでも飽きなかった。このところは鬱にならないので、多少は理想に近づけているのだと思う。
レンブラント光線を。
ラヂオデパート:津原泰水(Vo,G)/稲葉太朗(B)/奥野芳幸(D)/小山亜紀(Vo)
【5/22 渋谷屋根裏(渋谷)】03-3477-6969
http://shibuya-yaneura.com/
日時:2008年5月22日(木)18:00open 18:30start
前売券:2,000円 当日券: 2,300円
対バン:日本泥棒/ゆっくりり/ALUGUEL JERIST
※ラヂデパの出演は20:30より。
※予めご連絡くだされば、前売り料金にてお入りいただけます(無断キャンセル可)。メールアドレスは【aquapolis】のトップ頁に開示しています。
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