Nasebanaru

アメリカで趣味と生活を綴る

団塊の世代のつけを回すな

2006-03-19 00:58:56 | 政治
3月18日付の朝日新聞電子版に2つの目に付く記事があった。ひとつは、

36道府県、新年度減額予算 「三位一体」地方に影響
2006年03月18日20時51分

 都道府県の06年度一般会計当初予算案の審議が進んでいる。三位一体改革などの影響で、36道府県がマイナス予算を組んだ。また、「団塊の世代」(1947~49年生まれ)の大量退職が始まる07年を前に、北海道や大阪など22道府県が「退職手当債」を発行、その総額は978億円に上る見通しだ。(以下省略)

もうひとつは、

節水・外食…減る家庭の水道使用 収入減の自治体に負担
2006年03月18日12時37分

 首都圏で家庭での水道使用量が減っている。飲み水をペットボトルに頼る人が増えたほか、家電メーカーは洗濯機などで節水を競い合っているからだ。せっかく節水努力をしているのに、神奈川県は4月から家庭用の水道料金を2割弱値上げする。予測に反して水需要が落ち込む中、ダムの水を買う費用(受水費)の負担が重くのしかかるからだという。(以下省略)

これは団塊の世代がやってきたことのつけを次の世代に回しているだけだ。今までは現役でやっておられる方ばかりであったから、2つ目に挙げたような記事を目にしても今日のように怒りを感じなかったが、1つ目の記事とセットで読むと一体どうなっているのかと思わされる。彼らがいっせいに退職するときに、退職金が出せないから自治体が借金をして彼らの退職金に当てるという内容の記事だ。そんな馬鹿な話があるものか。その借金はいったい誰が払うのだ。他の誰でもない、次の世代の納税者だ。言ってみればわれわれは、100%ではないが、彼らの退職金と、年金の両方を面倒見ていることになる。

何かおかしくはないか。

退職金を出せないほどの財政難に陥った原因を作ったのは今度退職してゆく世代の人たちによるところが大きいだろう。自分の退職金も出せないような財政事情にしておいて自分は自分の払うことのない借金からの退職金を持ってさっさとやめていく。若者の常識を疑う、などという人もこの世代に多いが、こっちが彼らの常識の無さを疑いたくなる。

水道代の話にしても、われわれの世代で水道使用量を切り詰めても、彼らの代の負の遺産から結局は値上げをせざるを得なくなる。それではわれわれの世代の立場はどうなるのだ。

こういう記事に対して、マスコミなどの論調は非常に軽々しい。朝日を例にとれば、通常政治関連、しかもそれが自民党で、保守派の人に関する記事なら、必ずといっていいほど、どんな記事の最後にも皮肉を込めた一言なり、その人を批判する学者の言葉を紹介したりするのだが、今回のような記事の内容にはそういうことはしない。

だまされてはいけない。

上に紹介した2つの記事は明らかに行政の問題である。そしてそのつけを次の世代に回している内容だ。朝日のように行政批判に積極的なところでも批判しないのは、今どこの会社でも、または言論機関でも、実権を握っているのが団塊の世代だからだろう。彼らの退職金が出なくなるのは困るのだ。同世代で同情できる面もあるのだろう。だから悪く書かない。

しかしこれだけ将来の社会保障制度の存続に不安を抱えているのだから、公務員を含めた全ての団塊の世代の退職金を大幅に削減する、という議論が出てきてもおかしくないはずなのに、退職金のために借金をします、などとしらっと報道できるとは信じがたいことだ。


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