取次営業orz

取次の営業とは何か

ジーコのスタンス

2011-01-31 | Weblog
取次営業の仕事が事故処理であることは再三書いてきました。
※過去記事 取次営業の仕事 物流事故処理

今回は、事故に対する姿勢という視点からこれを考えてみようと思います。

まず最悪なのは、
「事故があるにも拘らず、事故が無い様に振る舞う」
これは、実際には事故が起きていて取次営業が懸命に処理しているのですが、全体(会社)はその状況を把握しておらず、社としては事故が無いかのように振舞っているという状態DEATH。
この場合、取次営業は不幸です。
社として事故は無いわけですから、物流は改善に向かいませんし、事故処理という仕事も同時に存在しないことになります。つまり"営業は仕事してない"ということになるわけDEATH。
「声を上げない営業が悪い!」とおっしゃる方もいるかもしれません。
しかしながら、取次の基幹業務は物流であるわけで、物流スタッフに嫌われたら取次営業は生きていけません。
バラモンの場合とはちょっとニュアンスが違いますが、泣き寝入りしているわけDEATH。また、逆に助けてもらうこともあるので、弾劾する様なことはなかなかできないということもあります。

次によくないのが、
「事故なきよう努力する」
事故を起こさないように気を付けよう。物流を整備して事故率をゼロを目指そう、という考え方です。
当社でも多く方がこのような考え方を持っており、一見正しい様に見えますが、これは全く片手落ちなんです。

正解を発表いたしますと、
「事故の発生を想定し、その対応方法を予め確立しておく」となります。
事故の発生を想定していないが故に、取次営業がこのような事になっているわけDEATHから、予めそれを想定し対応を決めておけばよいのです。

例えば・・・。

■汚破損事故が発生した場合
・新刊配本商品は、前提として、全ての商品について汚破損事故発生することを想定し、事故対応在庫を準備する(残す)。
・対応部署を○○とする。連絡を受けた○○は以下の行動を実施する。またその権限を持つ。("権限"コレ大事)
・新刊商品の場合は、事故対応在庫から即刻出荷を行う。状況に応じて、宅急便、バイク便等を使用することも厭わない。
・注文商品の場合は、まず物流センター他関連会社全ての在庫を当たり、在庫があれば即時出荷を行う。状況に応じて、宅急便、バイク便等を使用することも厭わない。
・在庫が無い場合は、版元交渉を行い即刻臨時集荷を実施する。また、直送に応じてもらえる場合は運賃を負担する。
・版元在庫も無い場合は、小売店より購入し即刻出荷する。購入費用は取次会社の負担とする。(自帳合店舗にて引き揚げに応じてもらえた場合はこの限りではない)
・それでも尚、商品の確保ができない場合には、小売店の損害を補償する。

■未着事故が発生した場合
あんにゃもんにゃ・・・

こんな感じです。この例が正しいかどうかは別の問題で、事前にルールを決めておくということが大事だということです。

また、このようなガイドラインを策定してしまいますと、事故処理にかかる経費が目に見えてわかる形になってしまいますので、会社として事故防止の方向にシフトしてゆくと考えられます。(事故防止のために何をすればよいのかという話はまた別の機会に)

「当社は事故を起こしません」と言う取次A社
「当社は事故を起こさないよう最善の努力をしております」と言う取次B社
「当社は事故を起こしてしまった場合にはこのように対応します」と言う取次C社

もし私が小売店だったら、取次C社と取引したいものです。

そんな取次ないですけどね(多分)

取次に就職をお考えの方へ

2011-01-21 | Weblog
平成24年度の採用試験が始まります。
学生さんの中には当ブログをご覧いただいて尚、取次へ就職を希望される方もいらっしゃるようです。

しかしながら、取次会社というのはなんとも特殊で、「志望動機等をどのように答えればよいかわからない」といったことでお悩みの方もいらっしゃるかもしれません。

そこで今回は私なりに、もっともらしい(と思う)取次への志望動機、また面接の際の想定問答を書いてみたい思います。
参考になるかわかりませんが。


※おことわり
私は営業職で、人事の考えている採用基準については全く知りません。以下に記載することは全て私の無責任な恣意的見解であります事をご承知おき下さい。


■もっともらしい(と思う)志望動機

私は本や書店が好きで、出版関係の仕事を探していく中で取次の存在を知りました。取次会社(御社)は卸としての機能ばかりでなく、書店コンサルティング、ネット事業、商品開発など、出版業界全体を盛り上げていくような役割を担っていることを知り、とてもやりがいのある仕事であると大変魅力を感じております。


■もっともらしい(と思う)面接受け答え

Q:取次で何がしたいのですか
A:取次(御社)の保有する優れた流通網を活かせる仕事がしたいです。書店で売れる商品を他業界から発掘し、出版流通に乗せるといったことに取り組んでみたいDEATH。

Q:電子書籍についてどう思いますか
A:利便性が高まるにつれシェアを伸ばしていくと思います。一方で、書店では今、付録(バッグ)付の雑誌や、調理器具(シリコン)付の商品等が販売されていて多数ヒットしています。これらを電子化することはできません。電子書籍が普及しても、客層を選ばない書店は、様々な商品展開の可能性を持つ魅力的な販路であることに変わりはないと思います。


(これらはあくまで就活用の文言であり、私の考えというわけではありません。)


就職活動をされている皆様、お身体を大事にしてがんばってください。
そしてもし、共に働くことになった時は・・・・・・

いじめないで下さい。

意外と気持ち良かったカゲロウ

2011-01-11 | Weblog
書 名 KAGEROU
出版社 ポプラ社
著 者 齋藤智裕
税込価格 1,470円(本体1,400円+税)
発行年月 2010年12月
判型 B6
ISBN 9784591122457

『12月15日、ポプラ社小説大賞を受賞した齋藤智裕(水嶋)氏の『KAGEROU』を歩安入帳の責任販売で発売する。同社から取次会社の出し正味は65%で、取次会社から書店には74%で出荷する。返品は書店から取次会社へは64%、取次会社からポプラ社に55%の歩安入帳となる。完全受注制の満数出荷。事前受注の締切日は11月25日。書店は返品率28%以下で利益となる。ポプラ社で責任販売を導入するのは今回が初めてである。』(Shinbunka ONLINE 2010/11/15より ※"返品率28%以下で利益"は、"消化率28%以上"の誤りと思われる)

責任販売制に関しては批判的なことばかり書いてきてしまいましたが(※過去記事:責任(計画)販売制の動機を巡って)、今回のカゲロウに関しては違いました。

以前、計画販売制の記事で書いたように、部安入帳型の責任販売は、そもそもノーリスクの委託制度下においては、必然的にリスクの方が大きくなるという性質を持っています。
では、どこに書店のメリットがあるのかと言えば、それはリターンが増える(出荷正味が低い)ことよりも、"完全受注制の満数出荷"というところにあると思います。(機能していればの話です)

これまでの部安入帳方式は出荷正味65、入帳正味30前後が一般的で、5割程度消化しなくては利益が出せない上に、商品力も不明で、いくつ仕入れればよいかわからない。「結局、仕入れない方が無難である」という印象を持っていました。

しかしながら、カゲロウ条件の場合は3割消化できれば利益がでます。また、話題性から考えて、もしこれが委託配本であれば、注文が殺到し、「配本が少ない!」等の書店クレームが発生した商品だったと思います。

結果は、周知の通りです。
消極作戦が仇となり、臍を噛んだ書店もあったことでしょう。また、初速の勢いに興奮して追加注文を出しすぎた結果、今ではハラハラしている書店もあることでしょう。

でも、フェアですよね。バラモンに対しても全く不満はありません。

小説の内容や、大賞受賞に纏わるゴシップばかりが取り沙汰されておりますが、少なくとも流通条件としては優れたものであったと、私は思います。

Shigoto Hajime

2011-01-01 | Weblog
シンネンアケマシテオメデトウゴザイマス。

今回は、海外の読者の皆様に、日本企業の「仕事始め」の風習をご紹介したいと思います。

1年の最初の営業日のことを「仕事始め」と言います。
仕事始め(シゴトハジメ)には、「仕事始め式」という儀式が執り行われます。

朝、式会場に全社員が集まります。
理由や意味は不明ですが、この日、女性は会社に所属する人が着るように定められている服装でなくてもよいことになっており、中には日本の民族衣装を身に着けている方もいます。

儀式では、「社歌」というものを歌います。
社歌(シャカ)は、その会社の設立の精神をあらわし、行事などで歌う歌のことです。
しかしながら、歌詞がわからないので、伴奏が流れても歌うことができません。理由や意味は不明ですが、歌詞を知る方法もありません。
歌うことはできなくても、我々は"空気を読む"民族なので、歌っているかのようなパフォーマンスを行います。
口角を適当に動かしながら、伴奏のメロディに合わせて、アーとか、ウーとかいった音声を発します。
低い唸り声が会場を包みます。それは「地獄」の表現のようでもあります。
地獄(ジゴク)は仏教の概念で、六道の最下位に位置しています。閻魔が主宰し、死者の生前の罪を審判して、それに応じた責め苦を与える場所です。

次に、社長による、年頭の挨拶があります。
内容は、「市場の縮小に歯止めがかからない。今年も厳しい見通しだ。返本率を下げろ。仕事の仕方を見直せ。気合だ。」といったことが中心で、毎年変わることがありません。挨拶語は一定の型をもった言葉で、変えることができないのです。代表的な挨拶語には「おはようごさいます」等があります。

そして万歳三唱です。
万歳三唱(バンザイサンショウ)は、「バンザイ」の語を発しつつ、両腕を上方に向けて伸ばす動作を続けて3回行います。
「万歳」には「めでたいこと」「嬉しいこと」という意味や、「打開の方法がないこと」「困って、なるがまままかせること」「降参」という意味があります。
北朝鮮メディアによる金正日関連の報道でよく耳にする「キムジョンイルマンセー!(金正日万歳)という掛け声ですが、元来、朝鮮人に万歳を唱える習慣は無く、これは日本統治下における「万歳」の唱和に習ってのものなのだそうです。

式はこれで終了します。

この日の昼食は特別で、「赤飯」というものを食べます。
赤飯(セキハン)は、もち米に小豆またはささげを混ぜて蒸し上げたご飯のことで、祭りや誕生祝いなどの吉事、また女児の初潮を祝して振舞われます。
プラスチックの容器にこの赤飯を入れ、胡麻と塩をかけて食べます。胡麻(ゴマ)を乗せるのは、白いご飯を赤くしたことを神様にゴマかすためであると言われています。

これらの儀礼を通過することによって初めて、私たちは仕事をスタートさせることができるのです。


ソレデハ、コトシモヨロシクオネガイイタシマス。

POP考

2010-12-21 | Weblog
「本読んでないから」とか、「面白い(おすすめしたい)本がないから」という理由でPOPを書かない書店員に疑問を感じます。(取次がエラそうに語るな!ハイごもっとも!)

私は昔、スーパーでアルバイトをしていましたが、店長の指示でPOPを書いていました。安い商品は価格を大きく書いて値段を強調します。新製品には新発売と書きました。類似商品でもプライベートブランドの方が利益が大きいため、PB商品だけにPOPを付けて、顧客を誘導をするようにしていました。(自主的にやっていたわけではありません)

「スーパーと一緒にするな!」

新潮文庫「ゴールデンスランバー」が売れています。何故でしょうか?

「面白そうだからだよ!」

勿論そうなんDEATHけど、それだけが理由であれば、ハードカバーを買えばいいのです。
私は、「お得感」が理由なのではないかと思います。文庫版(税込900円)はハードカバー(1,680円)に比べ、780円安いわけです。「面白そうだし、文庫になって安くなったから買おう」という動機での購買行動は十分に考えられます。
そしてこれは、ハードカバーという比較対象が存在することによって、安い(からお得)ということができるわけDEATH。
今年の10月28日に放送されたTV番組『カンブリア宮殿』では、宝島社のInRed(雑誌コード01763)を880円から650円に値下げしたことで、部数が3倍に伸びたという事例を紹介していました。

しかしながら、「安い」とか「○○円お得」という類のPOPを書店で見かけることはほとんどありません。

"書店員がおすすめしたい本"というニュアンスのPOPを、無理やりスーパーに置き換えるとこのようになります。
「自分でその製品を使用してみて、すごく使いやすくて便利だったからPOPを書いた」
「その商品を食べてみたら、今までにないくらいおいしかったので、その感動をPOPに表現した」

とてもよいことだと思います。
しかし、POP(販売時点広告)はそれだけではありません。

価格をアピールできる商品もあるでしょう。実用書の様に類似商品がある場合には「一番詳しい」「一番やさしい」等の特性や優位性をアピールできるでしょう。あえてダメな商品と並列するという販売手法もあっていいんじゃないかと思います。

そして、そういったセールスポイントを抽出するのは、書店の仕事であり、版元の仕事であり、取次の仕事だと思っています。取次は、該当商品を他社と比較し優位性を抽出する機能を有しています。

でも、そんなことだれもやりません。



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★☆★大不評更新中!!