こういう展開の映画が僕は大好きである。その「夢中になれる何か」がロボット製作(と操作)なら長澤まさみ主演の『ロボコン』だし、ジャズ演奏なら『スウィングガールズ』、俳句なら『恋は五・七・五』、そしてカーリングなら『シムソンズ』だ。どれも楽しい映画である。中でも『シムソンズ』は、もう最高のお気に入り作品だ。パンフレットが売り切れだったので泣きそうになって帰って、あとから通販で買ったほどだ。通販で映画のパンフを買うなんて初めてのことだったけど、やっぱり大好きな作品のパンフは持っていたいもんね。800円のパンフなのに送料が930円ってのは痛かったけど。
さて、本題。つい先日観た『チェケラッチョ!!』と『キャッチ ア ウェーブ』も、夢中になれる何かと出会って、それに熱中する高校生たちの物語だ。先に挙げた4作品は女の子が主人公だったが、この2作品での主役は男子。片やラップ、片やサーフィンに熱中する姿を描いている。で、先に結論を言っちゃうと、両方とも出来はあまり良くなかった。
どちらの映画にも感じた疑問が、「いつのまにそこまで上達したのか?」ってことだ。頑張っている姿はそれなりに描かれるんだけど、どうも説得力が感じられない。特に『チェケラッチョ!!』に関しては、主人公が「言葉を紡ぎ出す力」を磨いていく過程を全然描いていないから、最後にもっともらしい歌詞の曲を披露されても説得力は少しも感じられないのだ。ほら、ラップってのは、何よりも言葉が大事なはずでしょ? 「韻を踏む」と「ダジャレを作る」を混同している辺りは微笑ましいけど、最後に自作の曲で感動させようとするなら、曲づくりで悩んだり苦しんだりする過程をキッチリ描かなきゃ。
その点、『キャッチ ア ウェーブ』ではサーフィンの訓練を重ねていく過程が描かれているから、技術面が飛躍的に向上したことは納得できる(門外漢なので詳しいことは分からないが)。クライマックスの対決は見せ場としては弱い気がするものの、まあ、許容範囲内だ。それよりも、この映画をダメにしたのは、竹中直人の暴走である。『ウォーターボーイズ』とまったく同じ。その後『スウィングガールズ』では控え目に演じていたので安心したけど、今回再びの暴走である。リバウンドってヤツか? 深夜番組で意味不明のギャグを連発していた頃の竹中直人は好きだったが、映画の中でも同じノリだと寒々しくなるばかりだ。
というわけで、『チェケラッチョ!!』と『キャッチ ア ウェーブ』。どちらも恋愛について描いた場面は瑞々しくて好きだけど、残念ながら人様にオススメできるほどの作品ではありませんでした。題材は良かったのになぁ。ホントに残念!
あ、そうそう。『チェケラッチョ!!』で一番良かったのは、「勉強バカ」が「格闘バカ」に告白するシーンだ。皮肉にも、その場面には主人公が出ていない。そのことに象徴されるように、この映画、主人公よりも他の主要キャラ3人の方が魅力的なのだ。これは痛い。たぶん、この映画を観た女性の大半は勉強バカ君に惚れちゃうんじゃない?
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