そんなわけで、虚構か事実かを判別できないままに観たわけだが、描かれている出来事は「うんうん、あり得る」というものだった。実際問題、僕らが享受している様々な「創作物」だって、その大半が何かの模倣品なのだ。10代の頃から親しんできた日本のロックや歌謡曲の多くが、海外の音楽を真似たもの、引用したもの、パクったものであることを、21世紀に生きる僕らはすでに知ってしまっている。しかし同時に、では純然たるオリジナル作品というものは存在するのか、とも思う。ほとんどの創作物は、前人による創作物の影響を受けて(それを否定することも含めて)、生み出されるものなのだ。ビートルズだって手塚治虫だってキューブリックだって、そうだったはずだ。そして、タランティーノの登場以降、「引用」や「オマージュ」は、むしろカッコいいものにさえなった。もちろん、そこでもセンスは問われるわけだが。
では、何が本物で、何が偽物か。どれが優れた作品で、どれが愚作か。それを決めるのは評論家なのか、それとも大衆か。もしくは、誰の評価にも耳を貸さず、自分の審美眼のみを信じればいいのか。
と、まあ、そんなことをいろいろと考えさせるドキュメンタリー。とりあえず、この映画を作り出したバンクシーという人物は、創作者として信用に値する存在だと思う。
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