少年トッパ

『END OF THE CENTURY』の感想<ネタバレあり>

 『END OF THE CENTURY』はラモーンズの軌跡を追ったドキュメンタリー映画。74年の結成から96年の最終公演、そして2001年の「ロックの殿堂入り」までが描かれている。
 驚かされるのは、メンバー同士が互いの仲の悪さを少しも隠そうとしないことだ。辞めたメンバーについて「音楽的に必要だったか?」と聞かれると、「必要なかった」「いい時に、そこにいただけ」という身も蓋もない返事。別の辞めたメンバーは「かなりTシャツが売れたのに分け前をもらえなかった」と愚痴をこぼす。社交辞令なんてものは存在しないし、もちろん善人ぶろうともしない。誰もが正直に他の者を罵り、時にそれはバンドのメンバー以外にも及ぶ。その容赦なさは痛快でさえある。
 いわゆる「パンク」というキーワードで語られることが多いラモーンズだが、曲調はポップで楽しいものが多い(あくまで僕が知る限り)。だが、そういった楽曲を生み出してきた裏側には常にメンバー同士の諍いがあり、ドラッグ遍歴、強迫神経症、暴力、それに女をめぐる対立があったわけだ。
 映画の最後では、2001年にボーカルのジョーイ・ラモーン、2002年に初代ベーシストのディーディー・ラモーンが死去したことが伝えられる。そして、この映画が完成したあと、リーダー兼ギタリストのジョニー・ラモーンも他界した。
 約20年間、彼らは切羽詰まった状況の中からゴキゲンなロックンロールを生み出してきた。僕はラモーンズの熱心なファンというわけではない。だが、この映画のエンドロールが流れ始めた瞬間、なぜか涙が出てきちまった。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「<映画> 映画の感想」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事