驚かされるのは、メンバー同士が互いの仲の悪さを少しも隠そうとしないことだ。辞めたメンバーについて「音楽的に必要だったか?」と聞かれると、「必要なかった」「いい時に、そこにいただけ」という身も蓋もない返事。別の辞めたメンバーは「かなりTシャツが売れたのに分け前をもらえなかった」と愚痴をこぼす。社交辞令なんてものは存在しないし、もちろん善人ぶろうともしない。誰もが正直に他の者を罵り、時にそれはバンドのメンバー以外にも及ぶ。その容赦なさは痛快でさえある。
いわゆる「パンク」というキーワードで語られることが多いラモーンズだが、曲調はポップで楽しいものが多い(あくまで僕が知る限り)。だが、そういった楽曲を生み出してきた裏側には常にメンバー同士の諍いがあり、ドラッグ遍歴、強迫神経症、暴力、それに女をめぐる対立があったわけだ。
映画の最後では、2001年にボーカルのジョーイ・ラモーン、2002年に初代ベーシストのディーディー・ラモーンが死去したことが伝えられる。そして、この映画が完成したあと、リーダー兼ギタリストのジョニー・ラモーンも他界した。
約20年間、彼らは切羽詰まった状況の中からゴキゲンなロックンロールを生み出してきた。僕はラモーンズの熱心なファンというわけではない。だが、この映画のエンドロールが流れ始めた瞬間、なぜか涙が出てきちまった。
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