●本編の後半の映像は一切使わない。
●本編の後半の内容には一切触れない。
という2点を徹底させてほしい。120分の映画なら、前半60分間の映像及び内容しか紹介しちゃダメ、ってことだ。
予告編というのは「この映画は絶対に観よう」という人のために作るのではなく、それ以外の人たちに「これ、良さそうじゃん。観てみようかな」と思わせるために作られるものだ。だから、派手な見せ場や印象に残る場面を予告編で使うのは当然だろう。商売でやってるんだからね。
でもさ、いくらなんでもクライマックスやラストシーンを予告編に使っちゃダメじゃないか? 本編を観て「予告編を見なきゃもっと感動できたのに」と思うことは少なくないもん。
『フェーンチャン ぼくの恋人』は、まさにその典型。僕の場合、ものすごく楽しみにしている映画の予告編では目を閉じていることが多々あるけど、観るかどうか決めていない作品の予告編は当然見る。で、この『フェーンチャン』の予告編も見たわけだが、なんと本編の中で極めて重要な意味を持つシーンが使われていたのだ。それは、主人公のジアップがノイナーの目の前でゴム跳びのゴムを切ってしまうところだ。それだけじゃない。予告編では、ノイナーが転校してしまうことも明かされているのである。本編の中では、それが分かるのは終盤に入った頃だ(正確な時間までは分からないけど)。そりゃあアカンだろっ。
できる限り事前情報を仕入れずに観た方が映画は楽しめる。とはいえ、どんな映画なのか全然分からなければ客は来ない。「泣ける恋愛モノですよ」「すんげー迫力あるアクションを楽しめるぞ」「めっちゃコワいぞ~」といったことを知らしめるために予告編は必要なのだが、だからって肝心な部分まで教えられたら興醒めじゃん。『フェーンチャン』の場合、てっきり彼女の転校が分かった時点からドラマが始まるのかと思ってたよ。まったく、もう。
さて、気を取り直して映画そのものの感想を。
これはタイ映画。幼き日の淡い恋の思い出を綴った作品だ。主人公のジアップは、幼なじみで同い年のノイナーといつも一緒に遊んでいる。どちらの家も床屋を営んでおり、しかも食料品店を挟んだ両隣にある。そのため理容師である父親同士は対抗心を剥き出しにしているが、母親同士は仲が良く、ジアップとノイナーも赤ん坊の頃から一緒に過ごしてきたのだ。だが、ジアップは男友だちと仲良く遊ぶようになり、次第にノイナーとの間に距離を置くようになる……という展開だ。この辺りの描き方はお見事。ノイナーはホントに可愛いし、ジアップも凛々しい顔立ちで好感が持てる。遊び仲間たちに関しては描き方が少々類型的な気もするけど、まあ悪くない。
この映画が良くないのは、幼き日々だけでなく「現在」も描いてしまっている点だ。いや、描くのが必ずしも悪いわけじゃない。でも、成長したジアップからは幼かった頃の凛々しさや利発さが感じられないのだ。それなりに二枚目で性格も良さそうだけど、はっきり言って魅力的じゃない。
そして、あのラスト。あれはあれで感動的ではあるのかもしれないが、僕は「後ろ向きだなぁ」としか思えなかった。それでいいのか、とも思った。まあ、これに関しては人によって意見が異なるだろうね。それに、観てから数日経った今では「あれで良かったのかも」なんて僕も思ってるし。いい加減なヤツでゴメンね。
ともかく、この映画で描かれる幼い日々の出来事は、どれも懐かしい気分にさせられるし、身につまされる部分も多い。さっきも書いた通り、女の子も可愛い。なので冒頭とラストをそれぞれ何分かずつカットすれば(要するに「現在」は全部カット)、大好きな一本になったかも。僕としては作り手に「いらんことしやがって」と言いたい気分である。あと、予告編を作った連中にも。
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トッパさん
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