少年トッパ

そして僕らは卓治のギターで歌った。<その9>

 僕らの出番は終わったが、当然まだまだライブは続く。次に歌われたのは新曲『はるかな故郷』だ。しかし……えっと、誠に申し訳ないんだけど、この時はまだ茫然自失していたのか、5ヶ月近く経った今となっては朧気な印象しか残っていない。自分の記憶力の乏しさが情けないぞ。というかさ、『ひだまりの歌』も『はるかな故郷』も、早くCDにして発売してちょーだいよ。楽しみにしてますので。
 もうひとつ情けないのは、どの曲で卓治がキーボードを弾いたのか思い出せないことである。この日のライブでは、卓治がギターを弾いて歌う場所の対角線上の位置にキーボードが置かれていた。で、卓治は途中で移動し、キーボードを弾きながら歌ったのだ。しかし、それがどの曲の時だったか思い出せない。どうやら僕の頭の中で消しゴムが大活躍しているようだ。でもまあ、それは僕だけじゃない。この日のライブに行った誰かさんたち(お情けで名前は出さねえけどよ)にメールで訊いたら、どっちも覚えてなかったもんね。キミら、記憶するのが無理なら、しっかりメモしとけっ。あ、僕もか。
 閑話休題。『はるかな故郷』の次は『Show Time』だった。って、これ、実は公式サイトに載っている曲目リストを見ながら書いているわけだけどね。わはは。
 そうそう、『Show Time』といえば思い出すのが、2001年9月30日(この日付も公式サイトより)に名古屋駅前のタワーレコードで行われたインストアライブだ。白昼堂々、公衆の面前で「俺は夜のテロリスト」と歌う姿を見てハラハラしていたのは僕だけだろうか。憲兵が来てたら大変よ。って、いつの時代じゃ。

 さて、ここでゲスト登場。まずは、すでに卓治のライブで何度か前座(洒落た言い方だとオープニングアクト)を担当している鈴木祐樹だ。僕が初めて彼を見たのは、2003年9月21日(当然、公式サイトより)、豊橋のハウスオブクレージーというライブハウスでだった。その時の印象を簡単に書くと「ひょろりとした露悪的な若者」という感じだろうか。根は素直で純朴なのに、わざと憎まれ口を叩きたがる――というタイプね。「どうせみんな卓治目当てだろうけど」みたいなことを言って客の神経を逆撫でするわけである。それもあって、卓治ファンの間で鈴木祐樹の評判は一時期あまり芳しくなかった。でもまあ、ああいう挑発的な言動は20年ぐらい前の卓治と同じ。デビューした1983年にFM愛知の公開録音番組に出演した時、卓治は「みんな南佳孝目当だろうけど」というようなことを言って、客席をシラーッとさせていたもんね。わはは。
 さて、そんな鈴木祐樹であるが、それまでに僕が見た限りでは、楽曲自体には強い印象がなかった。ギターにも歌にも巧さは感じていたが、あまり心に響いてこなかった。しかし、この日は違った。最初に一人で歌った『夜明け前』があまりに素晴らしかったのである。
 分かりやすく言えば、卓治の『Passing Bell』にも通じる「同窓会ソング」だ。ガキの頃に抱いていた夢は、大人になるに従って手の届かないものになり、僕らはそれぞれ現実という檻の中に埋没していく――そんな心情を綴った曲である。これは沁みた。♪怖いものなんかまだなくて 争いにも勝てる気がした♪ ♪怖いものも色々増えて 争い事は避けて飛んだ♪
 続く『落とし穴しかない場所』は、卓治との共演。これまた凄い曲だ。卓治によると「鈴木祐樹の曲で一番」らしい。納得。卓治も寓意性の高い詞を書くソングライターであるが、鈴木祐樹も相当のものである。シビレた。♪この場所には目印も標識もビルディングもガソリンスタンドもドラッグストアも煙突も何もなくて ただ落とし穴がひとつ空いてるだけ♪

                              <つづく>

※鈴木祐樹のCDは、こちらで購入できます。……あれ? 『夜明け前』が入ってる『東京フォークマン/白』も以前は載ってた気がするけど、なくなってるじゃん。売り切れたのかな?

※小山卓治のDVD『Naked“eyes”』の予約は、こちらから。18日までに予約完了すれば送料無料なので、迷わず今すぐ申し込むべし!
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