桜

私の小・中学校の通学路は、見事な桜並木でした。というか今も健在です。

春になれば満開の桜が咲き、やがて葉桜になりと、四季おりおりに姿を変える桜は、私にとって幼い頃から見ていたごくごく当たり前の景色の一部であり、特に『きれいだな』と感動してじっくり眺めるなんてことはありませんでした。

ところが中３の時、受験で第一志望の高校に落ち、やむなく滑り止めの私立高校に入学することになった春、初めてその桜並木を見て心に響くものがありました。
まるで『これで人生が決まったわけじゃない、これからだよ』と励ましてくれているように感じました。
花を見て涙したのはその時が生まれて初めてでした。

高校・大学時代は、その桜並木をバスに乗ってくぐりました。
毎年春になると、その桜並木の下をくぐって桜を車中から眺めるたび、あの日の気持ちに戻って『今年も頑張ろう』という気持ちにさせてくれます。

今年の春は、桜並木の下を、１歳になる娘と一緒に歩いてくぐってみようと思います。