萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

第71話 渡翳act.6-side story「陽はまた昇る」

2013-11-16 00:03:49 | 陽はまた昇るside story
From these remembrances 時交わす聲



第71話 渡翳act.6-side story「陽はまた昇る」

ゆるやかな陽射に林檎がまだ香る。

あまやかに爽やかで温かい、そんな香に水道の音きゅっと鳴る。
洗い上げたマグカップと匙を水きり籠に置いてハンドタオルで手を拭いてゆく。
拭き終えて、ちょうど沸いた白湯を湯呑に注いで携えると英二はリビングに入り、本音こぼれた。

「…可愛い周太、」

明るい大きな窓辺の光、佇んだ浴衣姿が純白まばゆい。
天鵞絨の緑深いカーテンとガラスのはざま黒髪やわらかく艶めかす。
微笑んだ横顔の透けるような肌あざやかで、見惚れるまま振り向いて笑ってくれた。

「英二、洗物ありがとう…お白湯まで持ってきてくれたの?」
「うん、薬飲まないとな?」

笑いかけて薬袋を湯呑を渡すと素直に受けとってくれる。
きちんと飲下してくれる喉元がすこし赤くて、やわらかな紅潮の肌が惹きこむ。

―ちょっとだけ許してくれないかな、周太?

ほら、もう自分勝手な願いが見つめる肌に映りだす。
それでも幾らかの自制心と心配に英二は笑いかけた。

「周太、ちょっとベッドで休もうな?本屋に行くって言ってたから祖母もゆっくりして来ると思うんだ、俺たちものんびりしよう?」
「ん、ありがとう…湯呑おいてくるね、」

素直に頷いてスリッパの足が絨毯を歩いてゆく。
その足元ゆれる白い裾は清らかで、くるぶし翻す仕草が瑞々しい。
こんな姿も静かな部屋の空気も久しぶりで心解かれる、ただ寛ぐまま佇んだ窓は木洩陽まぶしい。

―静かだな、周太の気配だけで…こういうの良いな、

小さな付属寮の部屋は扉ひとつ向こうに足音がある。
いつもどこかに緊張感は往来して出動の声を聞き逃さない。
そんな生活に一年を過ごして日常になっている、けれど今こうして家庭に立てば安らぐ。
その感覚に気づかされる、自分は家庭を「安らぐ」と感じたことは今まで何度あったろう?

―この家に来るまで殆ど無かったな、周太とこうなるまで、

自分の両親が作った家庭は、自分の居場所が見つからなかった。
姉だけは何でも話せる、けれど父と肚から話したのは一年前の夜が初めてだった。
そして母とは本当の本音から話したことなど今まで一度でもない、この先もあるだろうか?

―剱岳でも想ったんだよな、父さんと母さんにちゃんと向きあってほしいって…夫婦として、親子として、

厳冬期の雪原と高峰、そこから見た青と白の世界に自分は願った。
はるかな蒼穹の点に立ち、その足元の雪すらいつか海になって雲となる世界は悠久の変転が見える。
その視界とナイフリッジの風に佇んだ雪山の頂点、あの場所から水廻らす悠久に両親の氷壁の解凍を願った。
あれから季節は移ろい山ヤとして二度めの秋を迎える、そんな季節ふらす窓辺へ優しい足音を聴いて振向いた。

「周太、」

名前を呼んで笑いかけて、腕を伸ばし捕まえる。
木洩陽まばゆい純白の肩を惹きよせて、紫紺の帯ゆれる腰を抱えて、近づく瞳を覗きこむ。
見つめた黒目がちの瞳すこし驚いて見上げて、その貌に笑って抱きあげると英二は幸せに微笑んだ。

「周太をお姫さま抱っこするのって俺、ほんと幸せ、」

本当に今が幸せ、そう想うまま笑いかけて額よせる。
こつん、軽くふれる前髪ごしの温もりが嬉しくて微笑んで、けれどオレンジかすかに甘い。
この香が前は大好きだった、それなのに今は気管支の罹患を思い知らされて鼓動を抉られる。

―いつも俺はそうなんだ、周太の本当の傷みを気付けない…どうして、

いま香らすオレンジに自分の愚かさを知らされる。
何も知らず気づかず唯好きだと想っていた、その向こうに在る現実の傷に気づけない。
こんなふうに自分は過ちだらけだろう、それでも護りたい願いごと廊下に出た懐から声が羞んだ。

「…おれもしあわせ、」

いま、なんと仰って下さいました?

「周太、お姫さま抱っこが幸せって言ってくれたの?」
「…ん、」

かすかに、けれど頷いて長い睫を伏せてくれる。
気恥ずかしくて仕方ない、そんな仕草に本当だと伝わらす。

「お姫さま抱っこ嬉しいって周太、俺こそ嬉しいよ?」

本当に今、嬉しい。

こんなスキンシップを喜んでもらえると有頂天になりそう?
そんな想いごと階段を昇って部屋の扉を開いて、つい英二は施錠した。

かちん、

小さな金属音が鳴って、鼓動ひとつ打ってしまう。
この施錠音を聴かれてしまったら下心が透けて気づかれる?
そんな心配ごと抱きあげている視線が気になって、けれど穏やかな声やわらかに微笑んだ。

「風が気持ちよさそう…英二、窓を開けていい?」
「周太、窓を開けてって命令してよ?命令なら開けてあげる、」

笑いかけながら栗色深い木床を踏んで、その足元に光の格子が艶めく。
明るい午前の光ゆるやかに照らす部屋はアンティークの家具も優しい、この古く清らかな空気が自分は好きだ。

―周太の部屋だ、前と同じに、

久しぶりの空間、けれど変わらない静謐は穏やかに優しい。
紺青色きらめかすカーテンの天鵞絨は同じに深い空を映す、壁のアイボリーも清雅なまま温かい。
フォルム優しいクラシカルな勉強机は花一輪、翡翠色の葉と茎に純白の花が綺麗で英二は微笑んだ。

「周太、机の花きれいだな、名前なんだっけ?」
「ん…秋明菊だよ、」

やわらかなトーン応えてくれる笑顔は朝よりも清明に見上げてくれる。
これなら熱が落着いたのかもしれない?そんな予想ごとベッドに抱きおろすと額に額をつけた。
ふれた肌から温もりを感じとってゆく、その温度感覚が嬉しくて黒目がちの瞳へ幸せに笑いかけた。

「周太、熱だいぶ落ち着いた感じだな、気分どうだ?」
「ん、大丈夫…さっきも自分で立って外、見てたでしょ?」

穏やかに応えてくれる笑顔は明晰で熱の気配が薄れている。
きっと一眠りと林檎と薬が効いた、この復調は嬉しくて、嬉しい分だけ期待してしまう。

―熱も退いたんなら少しくらい大丈夫だよな、機嫌も良さそうだし、

ひとり下心を廻らせながら黒目がちの瞳を見つめてしまう。
見あげてくれる眼差しは羞んだよう微笑んでブランケットを引寄せる。
アイボリーやわらかに持つ手は幾らか華奢で前より白い、そんな指先に外出の少なさが見えて傷む。

―室内にずっといるからだ、訓練場か講習室か…朝から晩まで、

自由な外出も許されない生活。
そんな時間が周太の2週間だったろう、そして漸く帰れた家で倒れてしまった。
きっと帰郷までは緊張で張らせた心が体も支えている、けれど、無理に支えた分だけ折れ方は深い。

だから考えてしまう、約束の一年間が後悔することになるのかもしれない?

『一年は喘息のこと内緒にして?お父さんのこと一年だけ追いかけたいんだ』

一年、そう言って周太は約束してくれた。
けれど一年間を耐えきれる保証なんてどこにも無い、そんな現実に声が出た。

「周太、さっきした一年間の約束だけど」

約束の期限は一年、だけど短くしてほしい。
この願い言葉に続けようとして、それなのに黒目がちの瞳が微笑んだ。

「ん…来年の夏は一緒にどこか行きたいね?」

来年の夏は一緒に、どこかに。

来年の夏は一年後よりも短い、その約束を告げて笑ってくれる。
この笑顔と願いに慰められてしまう、そして優しさの分だけ覚悟は深いと思い知らされる。
深い分だけ揺るがない、もう止められないと思い知らされて鼓動は軋んで、感情が涙へ墜ちた。

「周太、来年の夏は北岳に行こう…約束どおりに、」

北岳、あの山に約束を重ねた温もりが頬を伝う。
ひとすじ静かに辿らす軌跡が想いを奔る、この聲に英二は微笑んだ。

「北岳草を見せるって約束したろ?来年、6月の終わりに一緒に登ろうな、」

北岳草、世界で唯一ヶ所にしか咲かない純白の花。
今夏に自分も初めて見た、あの花に唯ひとり見つめた想いは今も変わらない。
遥かな太古から咲いて繋がれる小さな花、あの耀く命を見せたい瞳に笑いかけた。

「北岳草はな、周太?北岳の山頂直下で三日間だけ咲くんだ、北岳の空気と土と氷河にしか咲かない花だよ?世界に唯一で一瞬の花なんだ、
だけど周太、氷河の時代から咲き続ける永遠の花でもあるんだよ?だから俺、周太と見たいんだ…ずっと一緒にいたいのは周太だけだから、」

時も場所も、唯一瞬の花。

ただ三日間が最盛期の花は世界で唯一ヶ所だけに咲く、その命は短く儚い。
本当に短い花の季、けれど悠久の時間に咲き続ける花を見せたくて願ってしまう。
唯ひとり見せたくて約束を重ねたくて、罪も罰も幸福も未来も見つめて英二は笑いかけた。

「周太だけなんだ、俺が本当に帰りたいって泣きたくなるのは周太だけだよ?この2週間ずっと周太に逢いたくて、帰りたかった、
今夜も周太から離れた瞬間に俺は帰りたくなるよ…きっと50年後の俺も周太に帰りたい、ずっと…想うのは周太が初めてで、唯ひとりだ、」

君だけに帰りたい、今も未来も唯ひとり君を求めている。
唯ひとりの君だから唯ひとつ咲く花を共に見たい、この願いごと愛しい掌そっと繋ぐ。
いまブランケットに横たわる体は儚く見えて、それでも未来の笑顔を信じるまま笑いかけた。

「周太、俺は周太をおんぶしても北岳草を見に連れて行くよ?だから喘息ちゃんと治してくれな、いまの職場でも無理するなよ?
毎日、飯は何食って何時間ちゃんと寝たって、メールや電話で毎日ちゃんと俺に教えろよ?でないと俺、心配で周太を捉まえに行くよ、」

心配で、こんなに誰かを心配した事なんて自分は無い。
今は後藤の手術も心配で考えてしまう、それ以上に唯ひとりの相手に意識は掴まれる。
だからこそ強引でも身勝手でも毎日の約束がほしい、そう願う真中で綺麗な瞳が笑ってくれた。

「出来るだけするのじゃダメなの?…毎日じゃないと英二、捉まえに来ちゃうの?」
「そうだよ、毎日じゃないと捉まえに行く。どこにいったって俺は周太のこと見つけ出す、絶対だ、」

絶対に自分は君を捉まえる、この自信だけはある。
だから今も約束を温もりに結んでほしい、その願いに祈るよう笑いかけた。

「周太、俺は思った通りしか出来ない身勝手なやつだってこと、もう周太は知ってるだろ?いつも俺が自分勝手だから周太を哀しませるんだ、
それでも俺のこと周太が少しでも好きだって想ってくれるなら、俺は絶対に周太を探して捉まえる。だから毎日ずっと構ってよ、今…キスしてよ?」

毎日ずっと構ってほしい、そして北岳草の約束を叶えさせてほしい。
こんな自分でも愛してくれるなら約束のキスをして?そんな願いごとに優しい声が呼んだ。

「英二…」

名前を呼んで、繋いだ掌そっと握りしめてくれる。
見あげる瞳が自分を呼ぶ、その眼差しに微笑んだ頬にもう一つの掌ふれてくれる。
やわらかな温もり静かに頬ひきよせて、惹かれるまま陽だまりのベッドに肩寄せて、そっと唇ふれた。

―オレンジが甘い、

あまい、その香に鼓動が刺されて、けれど温もりは優しい。

オレンジの香はのど飴の香、この飴ふくむ理由が心臓を掴んで現実を揺さぶらす。
この香を前は大好きだった、大好きな人の吐息くゆらす甘さを幸福の香だと信じていた。
けれど本当は生と死の別離すら呼ぶ病の気配なのだと、ずっと気づけなかった自分が大嫌いだ。

―どうして気づかなかったんだ、周太の時間をもっと大事にすればこんなに…こんなに追い詰めるまで俺は、

重ねたキスに後悔は廻って傷む、傷む分だけ今この瞬間が愛おしくて離れたくない。
温もり離れられなくて、けれどキス優しい唇の境を超えてしまう資格があるのか今解らない。
ただ唇ふれるだけの優しいキス、変わらない淑やかな接吻けの恋人は静かに離れて、そして微笑んだ。

「英二…お祖父さんの小説、英二も持ってるんでしょう?俺と同じに…読んで、知ってるよね?」

ほら、今キス交わした唇がもう過去からの現実を予告する。

問いかける声は穏やかに微笑んで、けれど見つめる眼差しは逃がしてくれない。
真直ぐに凛と自分を映す瞳の鏡は純粋なまま勁くて、そして音の無い聲が自分を捉まえる。
ただ見つめて微笑む瞳も唇も優しい、言葉も問いかけるだけで命令じゃない、それなのに鼓動から囚われる。
こんな聴き方は自分の弱点、だから想ってしまう、問いかけよりも命令してくれたら反抗も出来るのかもしれない。

「思ったままを言って、英二…お祖父さんの小説から何を読んだの、何を…本当だと、英二は思う?」

いま贈られたオレンジの香は唇に残る、あまい接吻けごと未来が自分に聲を聴かせて今、答えるべき言葉の行方は?






(to be gcontinued)

【引用詩文:William Wordsworth「The Prelude Books XI[Spots of Time] 」】

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Short Scene Talk 某日、茶の間にて ―Aesculapius act.2 

2013-11-15 18:00:58 | short scene talk
秋宵の幸
雅樹38歳、光一23歳



Short Scene Talk 某日、茶の間にて ―Aesculapius act.2 

「ごちそうさま、光一、また料理の腕が上がったね、すごく美味しかったよ?」
「で、雅樹さん?アイツとクリスマスに何があったワケ?」
「光一が小学校1年生のクリスマス・イヴの時、僕の子供の頃に会ったって話をしたの憶えてる?」
「…ソレがアイツだってことなんだ?ふうん、へえ、」
「そうだよ、あれ、光一?どうしたの、そんな貌して?」
「…本屋でアイツを抱っこして本取らせてやったり、一緒にサンドイッチかなんか食べたり、絵本プレゼントしたりしたってことだね?ふうん、」
「うん、そんな感じだったよ?1時間くらい一緒にいたんだけど帰りも最寄駅まで送っていったから、あのとき御岳に帰るの遅れて、あれ光一?」
「…ふうん、本屋で抱っこでランチも一緒してプレゼントなんだ?それってデジャブだよね雅樹さん?」
「デジャブ?」
「抱っこして一緒に飯食ってプレゼント、ふうん、そう、」
「そうだけど…どうしてそんな目が細くなってるの、怒ってる?」
「イヴに抱っこで飯でプレゼント…今日は先に風呂入って先に自分の部屋で寝るね、おやすみなさい雅樹さん片づけホッタラカシごめんね、」
「え?なんで光一、どうしたの?光一?」
「どうして光一、怒ってるのかな…(抱っこで一緒にご飯でプレゼントが何かいけなかったのかな?)…あっ!」
「光一!違うんだよ光一、彼のはデートじゃないから怒らないで?」
「…じゃあ博物館に行ったアレも初デートじゃないんだ?ふうん、へえ、」
「あれは初デートだよ?(照)だって僕たち…キスしたし(ほっぺだけど、照)」
「…キス、そっか、キスだね?」
「うん、あのときも…僕たちキスしたよね(照)」
「だねっ、初デートでも今もデートはキスするもんねっ、キスが恋人の特権だもんね、キスしなきゃデートじゃないねっ、ふふんっ、(ドヤ笑顔)」
「うん、キスは僕、光一としかしないよ?だから今夜も僕たち一緒に…(照)」




昨日のShort Scene Talk「某日、診察室にて ―Aesculapius act.1」の続きです。
自宅での夕食の席で交わされる会話のワンシーン、ふたりの信頼と愛情の交錯ってトコですね、笑

いまAesculapius「Manaslu15」と「Manaslu16」とも加筆校正が終わりました。
どちらも当初より台詞から増えてます、16はもう一度読み直しながらちょっと校正しますが。
そしたら昨夜の予定だった第71話の続きを書く予定です。

宵の口に取り急ぎ、






 


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Short Scene Talk 某日、診察室にて ―Aesculapius act.1

2013-11-14 11:06:13 | short scene talk
秋、夕暮時
雅樹38歳、光一23歳、英司23歳


Short Scene Talk 某日、診察室にて ―Aesculapius act.1 

「雅樹先生にとって俺は同情の対象なんですか?クリスマスのあの時も可哀想な子供だからって構ってくれたんですよね、」
「同情というより似てるなって想うよ?クリスマスの時もね、僕と似てるなって想ったから一緒にいたかったんだ、」
「あのとき、先生も一緒にいたいって想ってくれたんですか?」
「なにソノ質問?」
「あ、光一、おかえりなさい、」
「ただいま雅樹さん、雅樹さんは俺といちばん一緒にいたいよね?クリスマスのナントカって今の話はコイツの妄想だよね?」
「あのね光一、今の話は小学校1年せ」
「妄想じゃないよ?俺、本当に雅樹先生とクリスマスを一緒した事あるから、」
「クリスマスはいつも俺と一緒だもんね、俺が生まれてからずぅっとそうだもんねっ、」
「それでも本当だから、悪いけどさ?雅樹先生、本当ですよね?」
「うん、本当だけど、光一も憶えてるよね?小学校1ね」
「雅樹先生、今年のクリスマスも久しぶりに俺と一緒ですね?講習会だし、」
「オマエは手伝い来なくて良いね、俺が雅樹さんの助手やるからオジャマしないでよね?雅樹さん、今夜の夕飯何がイイかね?」
「畑の茄子がたくさん熟れてたから茄子のはさみ揚げどうかな?それでね光一、さっきのクリスマスの話なんだけど小学校1年生のと」
「先生、今夜は俺も御相伴に行って良いですか?茄子のはさみ揚げって俺、好きなんです(笑顔)」
「うん、い」
「嫌だね、お断りだよ?笑顔で雅樹さんまでたぶらかさないでよね、このエロ別嬪、」
「痛っ…いま本気でやったろ?本当に痛い、雅樹先生ちょっと診て頂けますか?」
「俺が診てやるよ、ソコ座んな?雅樹さん、ちょっと休憩しててね、その箱にオヤツ入ってるから、」
「ありがとう光一、でもクリスマスのことなんだけど誤解なんだ、小学」
「後でちゃんと聞かせてね?夜にゆっくり、」
「よ…(夜って光一そんな夜にゆっくりなんて僕いろいろ妄想しちゃうんだけど困るよ僕ってやっぱり変態だ)」
「夜にゆっくりってエロいな、光一と雅樹先生ってやっぱりそういうことなんですか?(笑顔)」
「あ…(そんな質問しないで恥ずかしい困る君だってそんな質問困るだろ?っていうか変態認定されてるのかな御岳の人は知ってることだけど難しいよね)」
「オマエに報告する義務なんざ無いね。雅樹さん、コレ終わったらコーヒー淹れるからね、」
「ありがとう、光一、(今は何言っても僕は墓穴掘る気がする)」




敢えて会話文だけの短文ワンシーンです、誰がどの台詞か解かりますか?
コレ頂いたメッセージメールにお返事した一部分なんですけどね、楽しんで貰えたのでコッチにも載せてみます。
なので気が向いた時リクエスト頂いた時、なんとなく機会があったら掲載するようになるかなって感じです、笑

Aesculapius「Manaslu14」加筆終了です、校正ちょっとだけしたら15の加筆校正します。
Savant「Vol.2 Attempt 峻嶮の恭5」加筆校正まで終わりました、台詞がいろいろ増えてます。
夜は第71話の続き、どっちサイドかは未定です、笑

休憩合間に取り急ぎ、









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秋霜の朝

2013-11-13 09:10:14 | 写真:山岳点景


おはようございます、ひさしぶりに青空すっきり綺麗です。
で、放射冷却で寒いんですけど。それでも青い空ってなんかテンションあがります、笑
そんな今朝なんで霜雪@谷川岳の写真をくっつけてみました、ウチの辺りは未だ雨ですけどね、笑

第3回 1年以上前に書いたブログブログトーナメント

いま第71話「渡翳5」加筆校正が終わりました、英二サイド@湯原家です。
台詞や心理描写の細部が加筆他されています、この続きは夜UPの予定です。

昨夜掲載のSavant「Vol.2 Attempt 峻嶮の恭5」は加筆倍以上します。
また合間ごと校正Ver貼っていく感じなんで見るごと増えてるかもしれません、笑

で、このあとAesculapius「Manaslu14」草稿版を掲載します。

取り急ぎ、









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第71話 渡翳act.5-side story「陽はまた昇る」

2013-11-12 04:00:04 | 陽はまた昇るside story
With those two dear ones 君とふたりで



第71話 渡翳act.5-side story「陽はまた昇る」

あまずっぱい香の湯気の向こう、黒目がちの瞳が見える。
掌のマグカップにアップルサイダーは温かい、この一匙また掬う。
今のひと口に続けてまた自分が匙を運んであげたい、この幸せに英二は笑いかけた。

「周太、うまい?」
「ん…おいしいです、」

穏やかな声すこし羞みながら応えてくれる、その面映ゆそうな微笑が愛しい。
この逢いたかった瞳のぞきこんで英二は質問と一匙を差し出した。

「周太、昨日よりうまい?」

祖母は昨日も温かい林檎を周太に食べさせたろう。
この甘い薬湯は家族の体調が芳しくないとき祖母はいつも作ってくれる。
だから自分には懐かしい、この懐かしさも共有できる喜びに黒目がちの瞳が微笑んだ。

「はい、きのうよりおいしいです…今のがいちばん、」

昨日より今、いちばん今この一匙がおいしい。
そう応えてくれる想いが嬉しくなる、だって自分はさっき言ったばかりだ。

『大好きな人に食べさせて貰う方が元気になるんだってさ、』

そんなふうに自分は言った、そして今が一番だと言ってくれる。
それなら結論は自分にとって幸福なはず、この幸せごとスプーン運びながら笑いかけた。

「いちばん美味いって周太、いちばん俺のことを大好きだって想ってくれてるってこと?」

お願い、どうか「Yes」って答えを自分に贈って?

今ここで目を見て笑って告げてほしい、そうしたら信じられる。
さっき自分を天使だと言ってくれた、あの言葉は真実だと確信させてほしい。
逢いたいと告げてくれた瞳で聲に言ってほしくて、けれど穏やかな声は静かに問いかけた。

「ね、英二?英二のおばあさまと俺のお祖母さんが従姉妹だってこと、いつから知っていたの?」

ことん、

鼓動ひとつ響いてマグカップごと手がトレイに墜ちる。
もう食べ終えているから零すことは無い、だけど聴かれた言葉に息が止まる。

―やっぱり俺にも訊くんだな、周太?

こんなに早く訊かれたくなかった、まだ隠しておきたかった。
この血縁関係は知られない方が安全を護る、だから知られたくなかった。
けれど自分が隠しても周太なら真実に辿り着く、そんな予感の向こうで黒目がちの瞳は微笑んだ。

「英二はお父さんと似てるって俺、前から言ってるけど…おばあさまの方がお父さんと似てるところ多いんだ、目の雰囲気とか色々。
それで親戚かもって想えて戸籍を調べたの…祖母の父親の改製原戸籍には顕子さんって人がいて、宮田總司さんと結婚しているんだ。
だから英二のおばあさまだって思って一昨日、訊いてみたの…おばあさまは正直に答えてくれたよ?おかあさんも気付いて訊いたんだって、」

この休暇の初日に周太は戸籍を調べて、その結論を祖母に確認した。
それは盗聴器から聞えた区役所の会話と祖母との会話で知っている、だから訊かれる覚悟はしていた。
そんな4日間で見つめて考えてきた想いと推測が本人の声に聴かされる、その覚悟を大好きな瞳が微笑んだ。

「俺、すごく嬉しかったの、英二と血が繋がってるんだって解かったとき嬉しくて…だから不安になったんだ、お父さんと英二が似てるから、」

血が繋がっていると喜んでくれるの?

この自分と血縁にも繋がれる、それを喜んで不安がってくれる。
その喜びも不安も自分への想いが通う、そんな温もり見つめるまま周太は続けてくれた。

「お父さんは沢山の秘密を抱えこんでいたって英二も知ってるでしょう?それと同じことを英二もしちゃうんじゃないかって、俺、
本当に不安で…ね、英二?お互い好きなら心は繋がってるよね、そして血でも繋がってるなら本当に家族だよね、家族なら俺、遠慮しないから、」

心は繋がっている、そして血でも繋がって本当に家族。
そう告げてくれる瞳へ窓辺の木洩陽きらめいて自分を映し、逸らさない。
本当に家族なら遠慮しないと言ってくれる聲は眼差しから響いて、また声が鼓動ノックする。

「もう遠慮しないで英二と話したいんだ、だから…英二、独りで全部を抱えこまないで?俺を好きなら信じて、好きな分だけ一緒に背負わせて、」

信じて好きでいてくれるなら、その想いの分だけ背負わせてほしい。
その願いは自分こそ君に抱いている、それを同じに想ってくれると今告げられる?
本当に自分を共に背負う相手に選んでくれるなら幸せだ、けれど不安がもう疼きだす。

―でも周太、きっと俺が背負うものは君を傷つけるんだ、

共に負うなら傷みすら幸せだろう、けれど真実が君を傷つけると不安で仕方ない。
けれど独り、黙って遠くへ去られてしまうよりも不安ごと近く抱きしめる方が幸せだろう。
そう想う、それでも抱える秘密と真実と廻っていく罠の事実を告げることなど、危険すぎて出来ない。

「お父さんの殉職を優しい嘘だって英二は言ってくれたよね?そういうお父さんを好きだって言ってくれてね、本当に嬉しかったよ?
でも、お父さんと同じには成って欲しくないの…英二だけ独りに全部を背負わせてしまうなんて嫌、お父さんと同じ後悔を俺にさせないで?」

あの後悔を二度と与えないで、あなたを喪いたくない。

そう告げてくれる瞳が自分を映して真直ぐ心を見つめてくれる。
そんな眼差しは愛しくて切なくて求めてしまいたい、けれど自分こそ君を喪いたくない。
誰よりも大切だと想うから護りたくて壊したくなくて嘘を吐いてしまう、この秘密に唯ひとり想う人は微笑んだ。

「お願い英二、優しい嘘なんて吐かないで?もう独りで泣かないで、家族なら俺を信じて一緒に背負わせて?俺は英二を愛してるから、」

愛しているから信じてほしい、信じるなら嘘を吐かないで?
全てを共に背負って生きたい、そう願ってくれる瞳あふれる涙が鼓動を引っ叩く。

―違うんだ周太、俺の嘘は優しいからじゃない、自己満足なんだ、

自分の嘘は優しさじゃない、ただ自分が必要だと信じたい自己満足なだけ。
独り秘密ごと全てを背負って護ることが出来るなら、そんな自分なら君に必要な存在だと想える。
本当は自分の存在を正当化するための自分勝手な秘密で嘘、こんな本音の疼く鼓動に綺麗な瞳は微笑んだ。

「英二、喘息のこと黙っていてごめんなさい、心配させたくなくて言えなかったんだ…喘息に悪いところに異動したから心配かけたくなくて。
お願い英二、一年は喘息のこと内緒にして?お父さんのこと一年だけ追いかけたいんだ、心配させるけど、秘密も押しつけちゃうけど許して、」

許してだなんて謝らないで?だって自分は全てを知っていた。

君の状況を知りたくて盗聴器まで利用している、君の先生まで欺き泣かせて証言を語らせた。
こんな自分に許してなんて言わないでほしい、お願いされるより邪魔するなと否定される方が楽なのに?
こうして君に謝られる分だけ自分の嘘が鼓動を刺してくる、君の優しい無垢が自分を壊してしまう、それを解かってる?

―それとも周太、俺のやってること無意識にも気づいて解かるから言うのか?俺が逆らえなくなるように、

ごめんなさい、お願い、許して。

そんな言葉たちが自分を繋いで君に従わせてしまう。
そんなふう言うのは無意識で、ただ無垢の心のままが声になる。
そんな君だから尚更に逆らえなくなって、逆らえない分だけ切ない願いは自分を掴む。

「お願い英二、一年だけ許して?お父さんを知りたいんだ、今さら知ってもお父さんは生き返らないの解かってる、でも知りたい。
あんなに大切にしていた文学の世界よりも警察官を選んでね、何を見つめて生きていたのか知りたいの…何を大切にしていたか知りたいんだ、
誰にも何も言えないで独り抱えこんで、それでもお父さんが綺麗に笑ってたのは何故なのか知りたい、お父さんが大好きだから知りたい…お願い、」

お願いだから父を知りたい、大好きだから知りたい。

大好きなのに独りきり秘密の中で死なせてしまった、この悔恨の因を知りたい。
この願いを周太は14年間ずっと抱きしめてその為に生きてきた、それが解かる自分だから逆らえない。
そして自分にも向けらてしまう願いは真直ぐ見つめてくれる、そんな黒目がちの瞳が自分を映したまま綺麗に微笑んだ。

「お願い英二?心配しながら一年だけ待っていてね、退職したら大学院に行かせて?愛してるから我儘を言わせて、家族なら甘えさせて?」

愛してるなら、家族なら、その信頼に我儘を願いたい。
そんなふうに告げられたら何も言えない、だって自分は家族が何か解らない。
愛してることも、信頼も、我儘も、全ては自分から遠く届かないと本当は諦めている。

それでも本当に願っても良いと告げてくれるのだろうか?そんな問いかけに優しい旋律が映りこむ。

……

I'll be your dream I'll be your wish 
I'll be your fantasy I'll be your hope I'll be your love
Be everything that you need.  I'll love you more with every breath Truly, madly, deeply, do

僕は君の見つめる夢になる 君の抱く祈りになる 
君が諦めた願いにも僕はなれるよ 君の希望になる 君の愛になっていく 
君が必要とするもの全てに僕はなる 息するごと君への愛は深まる 心から、狂おしいほど、深く愛してる

……

去年の秋、この曲を周太にダビングして贈ったのは自分だった。
そして周太は今も毎夜この曲を聴いてくれることを知っている。
もう習慣のような選曲に真実が見えてしまう、そして今解かる。

―諦めた願いを叶えてくれるのは君なんだね、周太?

I'll be your wish 
I'll be your fantasy
I'll be your hope I'll be your love

この想いは自分が周太に贈ったんじゃない、きっと自分が周太に贈られた。
それを今告げてくれる言葉に眼差しに見つけて鼓動から息ひとつ深く吐く。
そして信じたい願いごとは諦めから希望になって、涙と聲は言葉になった。

「周太…我儘、俺にも言わせてくれる?」

今から本音の我儘を言いたい、信じられるのなら。
唯ひとつ求めたい願いも愛情にすらなってくれるなら言わせて欲しい。
そんな想いに泣かないと決めたはずの涙もう零れて、揺れる視界に優しい瞳は微笑んだ。

「ん、言って?…家族なら我儘も必要なんだ、お互い大好きでいるためにも言いたい事ちゃんと話すの、」
「大好きでいるために…」

贈られる想いそっと呟いて、温かい。

大好きでいるために言いたいことを話す、そんなこと知らなかった。
愛されるためには相手の求める姿を演じて言葉も演じること、それが愛情の条件だと想っていた。
それでも本音を言える相手が今は何人かいてくれる、その最初を与えてくれた人が今も話そうと笑ってくれる。

こんな君だから恋してしまった、愛して求めて傷つけて、それでも護りたい笑顔を見つめて英二は聲を口にした。

「周太、お願いだから俺から離れないで…電話しないなんて言わないでくれ、どこにいても」

離れないでと縋りついても願うのは唯ひとり、何度でも願いたい。
もう何度も願って追いかけて縋りついてきた、その繰り返した分だけ今も願う。
この願いは我儘だと知っている、それでも離したくない真実と信頼に涙ごと笑いかけた。

「毎日メールしてよ、電話して声を聴かせてよ、休みは俺とデートして…ちゃんと俺を構ってくれるなら一年、待ってる、」

どうか毎日を君で充たして欲しい、そうじゃなかったら待てない。
もう君無しの時間なんて耐えられなくて、気配だけでも欲しくて盗聴までしている。
君を危険から救うために盗聴器をしかけて、けれど本当は自分の孤独を救ってほしくて君の吐息を聴いている。
こんな自分の恋慕は卑屈だろう、身勝手で重すぎる愛だと解かっている、だから諦めていた願いに綺麗な瞳は笑ってくれた。

「ん、メールも電話もするね?でも毎日は無理かもしれないんだ…休みもね、今日をいれて4日間が終わったら次はしばらく解らないの。
だからでーとの約束したいけど難しくて…メールや電話も毎日は無理かもしれないけど、でも出来るだけしようね?俺も英二の声や言葉を聴きたい、」

毎日、いつも声を交わせたら幸せだと君も想ってくれる?

毎日の声を求めあうことは恋人同士なら普通で当たり前、けれど18ヶ月前の自分は求めなかった。
自分を求める人間はいた、それに応えて毎日の電話もしていた、けれど本当は要らないと思っていた。
幾度と声を重ねても言葉を交わしても鼓動は動かない、そんな電話は嘘吐きの義務で重たい鎖で嫌いだった。
それなのに今は求めたい、今、唯ひとり求めたい相手が目の前で笑ってくれる、この幸せに英二は我儘と微笑んだ。

「出来るだけ構って?でないと俺、周太のこと探しだして攫いに行くよ?どこにいても誰が止めても我儘するから、家族なら責任とって?」

出来るだけ構って、家族なら責任とって?

そんな台詞で自分が笑うだなんて信じられない。
そして信じられない分だけ温かくて、諦めていた願いに黒目がちの瞳が笑ってくれる。
この笑顔と求めあい責任を抱きあえるなら、こんな自分でも幸福を生きられる?そんな望みに優しい約束が微笑んだ。

「ん、責任とらせて?電話もメールも出来るだけするね、でーとも…出来るだけ一緒にいようね?」

ほら、また優しい声と瞳で優しい約束を結んでくれる。
こんなふうに自分はまた赦されてしまう、そして想いまた深くなる。
また呼吸するごと鼓動に恋も愛も募って、諦めかけた願いは希望になって今、君とふたり温かい。







(to be gcontinued)

【引用詩文:William Wordsworth「The Prelude Books XI[Spots of Time] 」/Savage Garden「Truly, madly, deeply」】

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山岳点景:紅葉×黄葉@諏訪峡

2013-11-11 12:27:42 | 写真:山岳点景
極彩色のモノトーン



山岳点景:紅葉×黄葉@諏訪峡

土曜、谷川岳からの帰り道で↑こんなとこ歩きました。
桜の黄葉×紅葉が散り敷いた遊歩道は諏訪峡@群馬県みなかみ町です。
奥利根にある水上温泉郷の渓谷で水の色は碧、岸辺の岩はライトグレーや時に薄緑が見られます。



バンジージャンプ&ラフティングが出来るらしく、遊んでいる人を結構見ました。
ドッチも自分はやったこと無いんですけど、ラフティングは見ていて楽しそうだったんですよね。
今の季節は寒いから遠慮しますけど、笑 でも夏とかいいなーと川下っていく人たちを見てしまいました。



のんびり歩ける遊歩道は道の駅水紀行館@みなかみ町の裏からスタート。
清流沿いを歩いて強度シッカリな吊り橋を渡り、対岸の道を歩いて鉄骨の橋までぐるり一周出来ます。
途中ちょっと岩場っぽいトコや潺を渡るポイントもありますが、運動靴レベルで充分歩けるカンジです。

谷川岳の上部は冬枯れ雪化粧でしたが水上は今が黄葉×紅葉。
曇り空のモノトーンとあわい光に様々な広葉樹が色彩を添えていました。



楓の染まる紅あざやかで、寒い&湿度があるとこなんだなって改めて思いました。
トップの桜なんか解かりやすいんですけどね、色んな場所を歩いて見てると、

寒冷×湿度×日照=綺麗な紅葉

っていうのは本当だなって思います。
自宅の近場にも桜の林や並木がありますが、紅く綺麗に染まるって少ないんですよね。
今年は夏の日照りもあって湿度が足りなかったらしく黄色になる前に散った葉も多く見ます。



諏訪峡遊歩道では銀杏も何本か見ました。
遠目には金色でも近くに行くとすこし緑が名残らせます。
晴れなら太陽が透けて色彩あざやかに見えるんですけど、曇空のグレーに黄色は優しいトーンでこれも良いかなって思います。



清流と黄葉を見ながら歩いて、
そしたらコンナ↓朽木に会いました、トナカイやカモシカと似てるなーと思ったんですけど何に見えますか?



下の写真↓は諏訪峡より上流の道端、崖の楓です。
黄葉のなか紅葉すこし色づいてコントラストが綺麗でした。



遅くなりましたがAesculapius「Manaslu12」加筆校正Verさっき貼りました。
第71話「杜翳3」も校正まで終わっています、周太と英二の対話です。
このあとAesculapiusの続きをUP予定です。

昼休憩に取り急ぎ、









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霜月の宵

2013-11-10 22:27:18 | お知らせ他


こんばんわ、もう冬な感じの宵の口です。
雨のち強風でしたが夕方の空は綺麗で、写真撮り行ったんですけど。
雨と風で空気が澄んで冴えていたらしく、ブルーが綺麗に写りました。

いま第71話「杜翳3」加筆が終わりました、ちょっと校正します。
Aesculapius「Manaslu12」も校正これから少しする予定です。
この校正2件が終ったら短篇or『Aesculapius』を書きます。

取り急ぎ、




雲と空 23ブログトーナメント
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第71話 杜翳act.3―another,side story「陽はまた昇る」

2013-11-10 13:02:40 | 陽はまた昇るanother,side story
In daily presence of this very scene 親愛なる日々へ    



第71話 杜翳act.3―another,side story「陽はまた昇る」

深い森の香ふれて、微睡から瞳披かれる。

ゆるやかに明るむ視界でダークブラウンの髪が木洩陽きらめかす。
きらきら明滅する光に白皙の肌を透かす笑顔まばゆい、そして惹かれる。

―きれい…天使みたいだね、

目覚めてゆく視界に微笑んでくれる幸福は清らかに優しい。
あざやかな眼差し透かす睫は翳濃やかに蒼い、その切長い瞳を自分はよく知っている。
この笑顔は自分の大切な宝物、今この傍にいてくれることが嬉しくて周太は名前を呼んだ。

「ん…えいじ?」
「うん、英二だよ、周太?」

綺麗な低い声が応えて呼んでくれる。
呼んでくれる瞳は幸せそうに笑って、そっと抱き起してくれた。

「ちょっとだけ起きて、薬の時間だから、」

笑いかけながら背にクッションひとつ挟んでくれる。
抱き起してくれる長い腕は頼もしくてシャツ透かしても温かい。
こんなふう世話してもらうことが嬉しくて、そして夏呼ぶ雨夜が映る。

『もし本当に自殺幇助だとしたら、お父さんは嘘を吐きたかったんじゃないかな、』

ほら、五月雨の夜から綺麗な声が低く透る。
今年の初夏、父が「殉職」で隠した真実に気がついた自分は独り屋上で泣いた。
そのまま打たれた雨から低体温症に倒れて、けれど英二が追いかけ探しだして救けてくれた。
あの夜に介抱してくれた警察学校寮のベッドは狭くて温かくて、そして真実を答えてくれる声は近かった。

あのときと同じように今日、英二は真実で応えてくれるだろうか?

『自殺に見せない自殺、これは優しい嘘だ。お父さんは愛する人の時間を捨てたかった訳じゃない、だから優しい嘘を吐きたかったんだ、』

優しい嘘だ、

そう父の想いを英二は代弁してくれた。
その通りなのだと自分も想う、父は自分と母と離れたくない真実のために嘘を吐いた。
そんな父の想いを英二は理解できる、それは英二の本質にある優しさが父と似ている所為だろう。

だから不安になる、心配になる怖くなる、だって英二も父と同じ優しい嘘を吐くだろう?

―お願い英二、あなたは嘘を吐かないで?

祈るよう声なく告げて見つめる真中で切長い瞳は幸せに笑ってくれる。
その眼差しは父が母を見つめる瞳と似て、自分を甘やかしてくれた笑顔そっくりに温かい。
そんな笑顔に恋しさ募らされて、募る分だけ怖くて不安で、けれど温かい香の一匙が笑顔と差し出された。

「周太、祖母がアップルサイダー作ってくれたから食べような、あーんして?」

あーんして? だなんて父と同じ貌で言ってくれちゃうの?

そんな「同じ」を見つけてしまって、また気恥ずかしくなってしまう。
もうじき24歳の男としては自分の父への慕情は強すぎる、だから俤を重ねる癖が出る。
こんなにも父を探して、こんなにも父と恋人を重ねたがる自分は極度のファザーコンプレックスだ?

―でもほんとうにそっくりなんだものえいじったら…かぜひいたときとかお父さんもこんな貌で、

いま見つめる貌に懐かしい幸福が温かい、愛おしい。
幼い日もこの窓辺のソファに寝かせてもらって、父の運ぶ匙で食べさせてもらった。
いつも忙しくて会えない父、けれど精一杯に愛しまれた時間がダークブラウンの髪の木洩陽に揺れる。
黒髪だった父とは違う髪の色、肌の色も違う、それでも父と似た瞳と笑顔が嬉しくて困りながら周太は微笑んだ。

「…あの、自分で食べられるからスプーン渡してくれる?」

やっぱり恥ずかしがっちゃうよね?
そんなふう切長い瞳は微笑んで、一匙のあまい湯気ごと笑ってくれた。

「これ、大好きな人に食べさせて貰う方が元気になるんだってさ。だから俺が食べさせたら周太、いっぱい元気になってくれるだろ?はい、」

自分のこと大好きだったら、このスプーンから食べて?
そんな言葉と笑顔ごと差し出してくれる湯気はあまずっぱく温かい。
その笑顔も香も穏やかに温かくて綺麗で、けれど瞳の深くと白皙の指が少し震えている。

―俺に拒絶されたらって不安がってくれてるの、英二?

いま見つめる貌も瞳も父と似て、けれど父に無い不安の震えが哀しい。
震えてしまう心の理由を自分は知っている、だからこそ愛して願ってしまう。
この瞳に震えている不安の涙は、怜悧すぎる純粋から生まれてしまうと自分は知っている、それが愛しい。

―英二は頭が良い分だけ相手が見えすぎて、あんまり純粋で一途すぎて妥協も出来ないから…本当に好きになるの難しくて、だから孤独で、

容貌、才能、家柄に財産、そんな全てを英二は備えている。
そんな英二は人望も豊かで、友達も上司も先輩も、全ての人脈から求められ愛される。
けれど英二から求めたい相手は少なすぎて、誰に愛されても満ちない飢餓を隠して微笑む。
その原因が何かを自分は知っている、そして「原因」が気づいてくれない限り英二の飢えは癒えない。
それでも少しだけ、この自分が少しだけでも英二を充たせる存在であるなら応えたいと願ってしまう。

―だってどんな貌の英二も英二なんだもの、どの貌が欠けても英二の笑顔は違くなっちゃうから、ね?

どんな英二の貌も全てが英二の笑顔を輝かす、そう知っているから英二の全てを受けとめたいと願ってしまう。
そんなふう想うほど大好きな笑顔を今も見たくて、今も喜んで笑ってほしくて周太は気恥ずかしさごと微笑んだ。

「…ん、はい、」

微笑んで唇そっと開いた向こう、切長い瞳が幸せに笑ってくれる。
この笑顔が見たかった、この幸せ微笑んだ口許へスプーン運んで英二は笑った。

「周太、うまい?」

幸せな笑顔が尋ねてくれるまま、あまずっぱい香が喉おりてゆく。
やわらかな甘みに爽やかな酸味が美味しい、この味は3日間で馴染んでいる。
けれど一昨日よりも昨日よりも嬉しい味に想えてしまう面映ゆさに周太は微笑んだ。

「ん…おいしいです、」
「周太、昨日よりうまい?」

また質問してくれる笑顔が瞳のぞきこんで、一匙また運んでくれる。
温かな林檎と生姜の香ふわり唇ふれて体へ沁みこむ、その優しさが気恥ずかしくなる。
こんな感覚も昨日とは違うようで面映ゆくて、けれど幸せなまま周太は素直に頷いた。

「はい、きのうよりおいしいです…今のがいちばん、」

昨日より今、いちばん今この一匙がおいしい。
そう応えてしまう想いと祈りに本音を気づいてくれる?
そんな願いに、スプーン運んでくれながら切長い瞳は幸せいっぱい笑ってくれた。

「いちばん美味いって周太、いちばん俺のことを大好きだって想ってくれてるってこと?」

ほら、そんな貌して笑ってくれるから大好きになってしまうのに?

この笑顔を最初に見たときから好きだった、この真直ぐな笑顔を好きになった。
ただ自分を見つめて瞳ほころばせて笑ってくれる、ただ喜びだけが謳う素顔の瞳が愛おしい。
この笑顔を再びまた見つめることが出来た、それが嬉しい分だけ信じたくて周太は質問と微笑んだ。

「ね、英二?英二のおばあさまと俺のお祖母さんが従姉妹だってこと、いつから知っていたの?」

問いかけに、切長い瞳ゆっくり瞬いてマグカップを盆に置いてくれる。
今のまま幸せな眼差しは真直ぐ見つめて、その瞳に自分だけが映りこむ。
この瞳を信じ続けていたい、愛していたい、その願いごと祈るまま笑いかけた。

「英二はお父さんと似てるって俺、前から言ってるけど…おばあさまの方がお父さんと似てるところ多いんだ、目の雰囲気とか色々。
それで親戚かもって想えて戸籍を調べたの…祖母の父親の改製原戸籍には顕子さんって人がいて、宮田總司さんと結婚しているんだ。
だから英二のおばあさまだって思って一昨日、訊いてみたの…おばあさまは正直に答えてくれたよ?おかあさんも気付いて訊いたんだって、」

この休暇の初日に戸籍を調べた、そして祖父と父の真実を追いかけた。
この4日間で見つめて考えてきた想いと推測を大好きな瞳に微笑んだ。

「俺、すごく嬉しかったの、英二と血が繋がってるんだって解かったとき嬉しくて…だから不安になったんだ、お父さんと英二が似てるから、
お父さんは沢山の秘密を抱えこんでいたって英二も知ってるでしょう?それと同じことを英二もしちゃうんじゃないかって俺、ほんとうに不安で…」

もし英二が父と同じになってしまったら?

そんな不安が怖い、そんな未来予想はしたくない、けれど今もう始まっている。
もう英二は独り秘密も現実も抱きしめて隠している、その全てを壊してしまいたい。
もう二度と大切な人を孤独な秘密で喪ってしまいたくない、この祈り瞳あふれ微笑んだ。

「ね、英二…お互い好きなら心は繋がってるよね、そして血でも繋がってるなら本当に家族だよね…家族なら俺、遠慮しないから。
もう遠慮しないで英二と話したいんだ、だから…英二、独りで全部を抱えこまないで?俺を好きなら信じて、好きな分だけ一緒に背負わせて、」

信じて好きでいてくれるなら、その想いの分だけ背負わせてほしい。
あなたと共に背負うなら全てが幸せだと自分は想ってしまう、だから願い笑いかけた。

「お父さんの殉職を優しい嘘だって英二は言ってくれたよね?そういうお父さんを好きだって言ってくれてね、本当に嬉しかったよ?
でも、お父さんと同じには成って欲しくないの…英二だけ独りに全部を背負わせてしまうなんて嫌、お父さんと同じ後悔を俺にさせないで?」

どうか、あの後悔を二度と与えないで?
あの哀しみも苦しみも二度と欲しくない、あなたを喪いたくない。
誰よりも大切だと想うから見つめたくて護りたくて周太は唯ひとり想う瞳へ微笑んだ。

「お願い英二、優しい嘘なんて吐かないで?もう独りで泣かないで、家族なら俺を信じて一緒に背負わせて?俺は英二を愛してるから、」

愛している、だから信じてほしい。

信じるなら嘘を吐かないで、愛情の分だけ信じてほしい。
信じ合って共に背負って生きたい、赦される限りの時間を共に生きていたい。
そう願う想い瞳あふれて頬ひとすじ伝う、いま零れてゆく温もりのまま愛する人へ笑いかけた。

「英二、喘息のこと黙っていてごめんなさい、心配させたくなくて言えなかったんだ…喘息に悪いところに異動したから心配かけたくなくて。
お願い英二、一年は喘息のこと内緒にして?お父さんのこと一年だけ追いかけたいんだ、心配させるけど、秘密も押しつけちゃうけど許して、」

こんなお願いは我儘だと解っている。
たくさん心配させて悩ませるだろう、哀しませるだろう、黙秘の規則違反すら押しつけてしまう。
けれど今ここで逃げてしまったら自分は一生後悔する、そして14年前の真実も後悔も終えられない。

「お願い英二、一年だけ許して?お父さんを知りたいんだ、今さら知ってもお父さんは生き返らないの解かってる、でも知りたい。
あんなに大切にしていた文学の世界よりも警察官を選んでね、何を見つめて生きていたのか知りたいの…何を大切にしていたか知りたいんだ、
誰にも何も言えないで独り抱えこんで、それでもお父さんが綺麗に笑ってたのは何故なのか知りたい、お父さんが大好きだから知りたい…お願い、」

お願いだから父を知りたい、大好きだから知りたい。
大好きなのに独りきり秘密の中で死なせてしまった、この悔恨の因を知りたい。
だからこそ今に願う相手を真直ぐ見つめて、大好きな瞳の映す自分ごと周太は微笑んだ。

「お願い英二?心配しながら一年だけ待っていてね、退職したら大学院に行かせて?愛してるから我儘を言わせて、家族なら甘えさせて?」

愛してるなら、家族なら、その信頼に我儘を願いたい。
そして願ってほしい信じてほしい、この祈りに切長い瞳から光こぼれた。

「周太…我儘、俺にも言わせてくれる?」

綺麗な低い声が告げて、綺麗な瞳に涙あふれて生まれだす。
その眼差しは一瞬前とすこし違う、この違いが嬉しくて周太は微笑んだ。

「ん、言って?…家族なら我儘も必要なんだ、お互い大好きでいるためにも言いたい事ちゃんと話すの、」
「大好きでいるために…」

そっと呟いて切長い瞳が微笑んでくれる。
微笑は穏やかに温かくて、その温もりが前より父と似て明るい。
こんな笑顔をずっと見たかった、それを叶えてくれる人は綺麗に泣いた。

「周太、お願いだから俺から離れないで…電話しないなんて言わないでくれ、」

お願いだから離れないで?
そう告げてくれる事は何度めだろう、そしてまた響く。
告げられるたび響いてしまう想いが愛おしい、この共鳴に泣顔が微笑んだ。

「どこにいても毎日メールしてよ、電話して声を聴かせてよ、休みは俺とデートして…ちゃんと俺を構ってくれるなら一年、待ってる、」

待ってる、

そう告げて笑ってくれる貌に涙の軌跡が描かれる。
こんなふう泣いてしまう瞳だから愛しくて見つめていたいと願ってしまう。
この願いのまま見つめ続けていたい、その祈りごと周太は正直な現実と笑いかけた。

「ん、メールも電話もするね?でも毎日は無理かもしれないんだ…休みもね、今日をいれて4日間が終わったら次はしばらく解らないの。
だからでーとの約束したいけど難しくて…メールや電話も毎日は無理かもしれないけど、でも出来るだけしようね?俺も英二の声や言葉を聴きたい、」

毎日、いつも声を交わせたら幸せだろう。
そんな幸せは普通なら当たり前のことかもしれない、けれど自分の現実は違う。
そんな現実すら押しつけることは哀しい、辛い、それでも共に背負ってほしい人は微笑んだ。

「出来るだけ構って?でないと俺、周太のこと探しだして攫いに行くよ?どこにいても誰が止めても我儘するから、家族なら責任とって?」

家族なら責任とって?

そんな台詞に笑ってくれる眼差しが愛しくなる。
責任という言葉で確かめてくれる想いが切なくて、祈りたい。

この責任を抱きしめて、この瞳の涙すら受けとめ続けられる自分が一年後、この笑顔の隣で生きていたい。







(to be gcontinued)

【引用詩文:William Wordsworth「The Prelude Books XI[Spots of Time] 」】

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山岳点景:白妙の刻×谷川岳

2013-11-09 23:35:50 | 写真:山岳点景
白銀、優美と冷厳



山岳点景:白妙の刻×谷川岳

1,977m 谷川岳に登って来ました。

って言ってもね、行ったのは熊穴沢避難小屋まで、笑
写真撮りながらでも標準タイムで着いたんですけど、あえて下山へ引き返しました。
理由はコレ↓にもちょっと映っていますけど、昨日の積雪が凍結していたから&天候変化です。




今日の天神平@谷川岳は午前9時ごろ4℃でした。
昨日は降雪があった為に山頂は白銀の薄化粧が綺麗で、風は冴えていました。
登りだしは晴天、天神峠からの眺望はコンナ感じに↓至仏山@尾瀬ヶ原の方まで見晴かせます。




天神峠@天神山は標高1,502m、山頂付近に天神様の祠があります。




この脇にある小さな岩場を登ると360度パノラミック。
白毛門や朝日岳も見えます。




ここの展望台から谷川岳が綺麗に見えます。
今朝はコンナ↓感じに双耳峰ふたつ稜線から尾根、沢筋まで解かりました。




昨日の降雪で黄葉は散ってしまい椈林は冬景色。
それでも時おりに朱い実が冬枯に鮮やかでした。




天神峠から谷川岳山頂へは最初に下ります。
岩の多い登山道は霜柱が凍っていました、で、予想通りに雪が残ってたんですけど。




朝9時半すぎ、道は雪解けぬかるんだ場所も多くてスパッツ履いて無いことを後悔しました、笑
天神峠からのルートは岩場を下ってゆく箇所が多くて、膝を痛めないように要注意ってカンジです。
ソコが残雪の湿気で滑りやすい&木道は雪が凍結している状態で、とにかく足許に留意しないと危険でした。




短いけど鎖場あり、木道も斜めに傾いて転倒=滑落だろなってトコもあり。
標高2,000mに満たない山ですがルートはバリエーションに富んで油断出来なかったです。
だから平坦なトコに出ないと写真も撮れないんで岩場ショットはありません、笑




天神峠から標準タイムだと50~60分くらいで熊穴沢避難小屋に着きます。
弁柄の赤に塗られた小さな木造小屋は壁際ぐるりのベンチ&会議室っぽい机が置かれていまいた。
ちょっと座ってザックをおろして、行動食を口に入れて水飲んで、ってするには調度いいです。
ただし、避雷するにはちょっと小さめの小屋なので安心は出来ないかなって思います。




熊穴沢避難小屋から折り返す時、空はコンナ↑で晴れていました。
なのでホントは山頂に行きたかったけど、軽アイゼン&時間が無いから今回ここまでって決めていました。
天気も15時から崩れる予報だったので、当初の予定通り下山へ引き返したんですけど。
このとき山頂は↓こんな感じに薄く雲が掛かっても青空が綺麗でした。




来た道を戻りだして右手西方、小出俣山から阿能川岳&万太郎山が霞みだしました。
復路は天神峠へ上らずに分岐を天神平方面へ木道&岩道を下り、西黒沢の五段の滝や黄葉が見おろせて綺麗でした。
距離は短いルートですが段差が大きい箇所も多く、下山特有の膝疲労から来る転倒を気をつけた方が良い感じです。

で、この途中から見た山頂は霞み始めていました。
頬あたる冷感はぴりっと冴えて、ゆるい微かな風からは特有の湿気と雪の匂い。
足許の木道は乾いていましたが山頂から吹きよせる空気は霧か雪の気配でした。




下山ラストは緩斜面を道なりです。
それでも途中、雪解け水の通り道か雪崩の後みたいな所がありました。
けれど狭隘で傾斜のある岩場続きの後なので気分的に楽です、ドコでも油断は怪我の元だからNGですけど、笑

って感じで休憩&撮影時間ふくめて往復2時間ちょっと。
正午前に天神平へ着いて見上げた山頂は、既に雲の中でした。




予報では天候が崩れるのは15時ごろ、けれど実際は正午に山頂は雲霧に覆われました。
晴天から雲中へと変化するまで1時間ほど、こんな短時間で山の天候は刻々と変貌します。
天気の急転は山に共通する事ですが、谷川岳は冬富士と同じくらい特に天候予測が難しいです。




谷川岳は急峻、岩壁と複雑な地形が特徴的です。
また中央分水嶺であり日本海側からの雲をバックネットみたいに受けとめてしまいます。
要するに雲の吹き溜まりになるため雪、雨、雷などが集中発生しやすくて遭難事故の危険が高い。
この急激な天候変化で遭難するケースが谷川岳は多く「魔の山」とも呼ばれ、遭難事故死件数は世界ワースト1位です。

1931年から開始された谷川岳遭難事故の統計記録では2005年まで死者781名。
これに対して八千メートル峰14座での遭難事故死者は合計637名となっています。

この統計は「人数」であってパーセントでは無いから危険度としての単純比較は難しいです。
当然のこと八千峰は登山者数自体が少ないので分母が小さい=危険度%は高くなります。
けれどコレだけ事故件数が多い=技術能力が不適合な登山者が多い、という事です。

天候の急転も、ちゃんと対応できる装備があれば凌げるかもしれません。
けれど低山&首都圏に近い気軽さから軽装備で登った結果、遭難となる方が多いそうです。
今日も確かに軽装すぎるなって方が何人かいたんですよね、無事に途中から引き返していると良いなって思います。




そんなわけで、Aesculapius「Manaslu12」の加筆校正はまだ途中です、笑
これからまた書きます、楽しみにして下さる方少々お待ちくださいね?





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第71話 渡翳act.4-side story「陽はまた昇る」

2013-11-08 18:00:19 | 陽はまた昇るside story
When in the blessd time 今ひと時に祝福を



第71話 渡翳act.4-side story「陽はまた昇る」

ふわり、肩から温もりふれて微睡が脱がされる。

いま抱きしめている鼓動も寝息もオレンジの香から静かに温かい。
それ以外の気配ふれて掛けられるブランケットの感覚を自分は知っている。
そして頬ふれる香水の深い豊潤に誰なのか解かって、ゆるやかに瞳ひらいて英二は微笑んだ。

「おかえりなさい、お祖母さん、」

ソファから見上げる先、切長い瞳が可笑しそうに笑ってくれる。
2ヶ月ぶりに会う笑顔は相変わらず端整に明るんで、落着いた声が低く微笑んだ。

「こっちこそお帰りなさいだわ、英二…このソファで添い寝は狭そうね?」

まだ買物から帰ったばかり、そんな雰囲気のスラックス姿は笑ってダイニングへ踵返した。
すぐ冷蔵庫の開かれる音がたつ、ひさしぶりな生活の音も懐かしいまま宝物に頬寄せた。

「ね、周太…狭くて丁度いいよな、くっつけて…すぐキスできる、」

そっと囁いて見つめる寝顔はあわい紅潮やわらかに微睡む。
眠れる長い睫は蒼く翳こぼすまま穏やかで、優しい鼓動ひそやかに静謐を刻む。
いま深い眠りに落着いている、そんな唇に微笑んでキス重ねて、そっと離れてソファから降りた。

…ぎっ、

かすかにスプリング鳴って絨毯へ脚を下ろす、けれど目覚めない寝顔は安らかな吐息で眠りこむ。
これなら熱も楽になっているのだろう、その安堵に微笑んで英二はダイニングへと顔を出した。

「お祖母さん、独りでも家事出来るんですね?」
「いちおうは出来ますよ、ここは初めてのお台所じゃないしね、」

可笑しそうに笑いながら祖母は慣れたふうキッチンを動いてゆく。
スパイス棚からシナモンをとりバニラエッセンスの小瓶も迷わず出す。
どこに何があるか把握しきっている、そんな雰囲気に英二は訊いてみた。

「斗貴子さんとここで料理してたんですね、」
「ええ、週一は一緒にお菓子焼いたりしてたわよ?お義母さまからもお招き頂いてね、啓輔も何度か連れて来たわ、」

答えてくれる笑顔は懐かしいトーンに温かい。
もう半世紀を経てしまった時間が今も祖母を温める、その笑顔に微笑んで英二は問いかけた。

「お祖母さん、斗貴子さんと従姉妹だってこと、周太に話しましたね?」

血縁関係を今は隠しておいてほしい、

そう夏の葉山で願った約束に祖母は肯ってくれた。
けれど一昨日に反故となっている、その事実に切長い瞳が微笑んだ。

「なぜ英二はそう想うの?」
「家族には優しい嘘なんて要らない、家族で秘密は残酷だから、」

さらり応えた台詞に涼やかな瞳が大きくなる。
長い睫ゆっくり瞬いて祖母は静かに問いかけた。

「…英二、あなた盗聴を?」

微笑んで低めた声、その慎重な眼差しは見徹さす。
聡明な祖母らしい尋問に英二は綺麗に笑いかけた。

「検事の妻は守秘義務をご存知でしたよね、お祖母さん?」
「まあ、」

呆れたよう首傾げ祖母は林檎を俎板に置いた。
午前の光に紅は艶やかで、その果実を横から掌にとり微笑んだ。

「周太に泣きながら訊かれたんじゃ、白状したのも仕方ないですね、」

あの瞳に涙と訊かれたら自分だって危ういだろう?
そんな本音と微笑んでスラックスのポケットからアーミーナイフを取りだした。
溝へ爪掛けて刃を引き出す、そのまま紅の実を剥き始めると深いアルトヴォイスが笑ってくれた。

「林檎の皮なんて剥けるようになったのね、ずいぶん慣れた手つきだわ、」
「山では自分でやるしかありませんから、」

微笑んで手を動かしてゆく隣、祖母がおろし金とボールを用意してくれる。
多分いつものを作るのだろう、そんな予想と手許を動かしながら英二は問いかけた。

「父さんは湯原の家と親戚なこと忘れてますよね、姉ちゃんは知っていますか?」
「英理は何も知らないわ、啓輔も何も言ってはこないけど、」

応えてくれながら白皙の手は生姜ひとかけ擦りおろしてゆく。
蜂蜜を加える匙加減も慣れあざやかな仕草に微笑んで尋ねた。

「美幸さんに話した時、どんな貌をしていましたか?」
「それもお見通しなのね、大したもんだわ?」

呆れながらも切長い瞳は感心してくれる。
その眼差しにただ微笑んで剥いた林檎を手渡すと、祖母は口を開いた。

「美幸さんにも先に訊かれたのよ、もしかして馨さんのご親戚ではありませんか、ってね。一昨日、美幸さんが仕事から帰ってすぐにね。
周太くんが熱出したって聴いて飛んできた私の顔、馨くんそっくりで他人の空似と思えなかった、淹れた紅茶の味も同じだって言われたわ?
英二も馨くんと同じ貌する時がある、祖母と孫がそろって似ているなんて血縁関係があるのでしょう?って訊かれちゃったの、あの笑顔でね?」

あの笑顔でね?そんな表現で切長い瞳が笑いだす。
笑う理由は古いアルバムの写真にあるだろう、そんな推測に祖母が回答をくれた。

「美幸さんってね、お義母さまと似てるのよ?晉さんのお母さまで馨くんのお祖母さま、紫乃さんとは目の感じがそっくりなのよ、
周太くんの長い睫と黒目がちの目、お義母さまと似てるって想ってたけど美幸さん譲りだったのね。あの目にお願いされると私、弱いのよ、」

長い睫に縁どられた黒目がちの瞳、あの瞳には自分だって弱い。
あの母と息子には自分こそ逆らえなくなる、この本音のまま笑いかけた。

「俺も弱いですよ、美幸さんと周太の涙とお願いには降参です、」
「いい弱点ね?」

可笑しそうに笑って祖母はおろした林檎と蜂蜜生姜を小鍋に混ぜ合わす。
沸騰しないよう混ぜながらバニラエッセンスを垂らす横顔に英二は問いかけた。

「周太、一年後に警察を辞めるって約束した時、どんな貌でしたか?」

おばあさま、僕、一年以内に警察官を辞めます。

そんな約束を周太は祖母にしてくれた、そのあと美幸にも約束している。
どちらも盗聴器のレコーディングから声は聴いた、けれど表情を知りたい。
声から貌は解かっていると想う、けれど確信したい想いに祖母は笑って答えた。

「泣いて、笑ってたわ、」

泣きながら笑った、そう告げられてリビングを英二は見遣った。
仕切り窓のガラスの向こう、木洩陽ゆれる絹張りソファは若草色の懐で白い浴衣姿を眠らせる。
まだ深い眠りの空気は目覚めが遠い、今ゆっくり休ませてあげたい願い微笑んだ隣で祖母が微笑んだ。

「斗貴子さんそっくりの綺麗な泣顔で笑って約束してくれたのよ、一年以内に警察官を辞めて大学院に進むって笑ってくれたわ。
僕には父と祖父の誇りを護る責任があります、それが僕のプライドです、いま夢の中で祖父にも約束したんです、って笑ったの、」

盗聴器でも聴いた言葉が今、表情を伴って繰り返される。
そして想いだしてしまう会話の内容と今朝の表情に英二は微笑んだ。

「お祖母さん、帰ってきたばかりで申し訳ないけど昼飯まで出掛けてもらえますか?俺、周太の疑いを解かないといけないんです、」
「疑い?」

訊き返しながら祖母は小鍋の火を止めた。
あまい爽やかな湯気とマグカップへ注いで小匙を添えてくれる。
そのトレイに水のコップも載せてエプロン外し、冷蔵庫のメモを見て切長い瞳が笑った。

「私、本屋ともうひとつ忘れてたわ?留守番お願いね、これ周太くんに食べさせたらお薬飲ませておいて?夕飯は食べていくのかしら、」
「はい、お願いします、」

素直に笑って携えたトレイから林檎の香があまずっぱい。
こんな香と林檎を詠った恋愛の詩は沢山ある、そして林檎は艶っぽい物語を持つ。
そんな連想にも「留守番」が楽しみになって、けれど切長の瞳が悪戯っぽくに微笑んだ。

「ねえ、英二?表彰されるほど立派なレスキューの方は、熱のある人にセックスなんかしたら駄目ってご存知よね?」

いま、なんておっしゃいました?

「…は?」

今ちょっと聴こえた気がする単語を祖母が言うなんて嘘だろう?
きっと自分の連想ゲームが不謹慎で良心と良識が幻聴で戒めようとしている。
そんな納得を身勝手に組み立てて、けれど白皙の笑顔は愉しげに言ってくれた。

「あんなに綺麗で可愛い浴衣姿だものね、だけど男同士でも節度は必要よ?なにより、隙あらばセックスしようなんて嫌われるわよ?」

七十過ぎの上品な美貌が上品らしからぬ言葉に笑う。
こんな貌が祖母にあることが意外で、呆気にとられる視界をダークブラウンの髪が横切る。
そのままジャケットとハンドバッグを手に掛けステンドグラスの扉を開き、颯爽と祖母は出て行った。

「…あんなこと言うんだな?」

独りキッチンでトレイを携えたまま声がこぼれる。
あんなふうに祖母が言うなんて24年間ずっと知らなかった?
そんな呆然と佇んだ向こう玄関扉で音が立って、遠ざかる足音に英二は微笑んだ。

「俺、まだ敵わない相手って沢山いるな?」

参った、

そんな素直な想い笑えることが心地良い。
こんなふうに誰かに「敵わない」と想えることは幸せだろう?
そんな相手が誰一人いなくなったら面白くない、けれど言いつけ全てに従う心算も無い。

―だって俺自身だって歯止めが効かないってコトもあるし、

ひとりごと裡に笑って踏みこんだリビングは微睡の静謐に安らいでいる。
その真中で眠れる傍らへトレイを置いて、愛しい寝顔に英二は微笑んだ。

「…周太、俺が悪い男でも天使だって信じてくれる?」

囁いて、言葉ごと唇重ねて接吻ける。
ふれるオレンジの香すこし熱くて、まだ復調しきらない体が切ない。
それでも重ねられる温もりに微笑んで静かに離れて、ふわり黒目がちの瞳が披いた。

「ん…えいじ?」

ほら、名前を呼んで微笑んでくれた。
もう名字で呼ぶなんて隔てはしないでくれる、嬉しくて英二は綺麗に笑った。

「うん、英二だよ、周太?ちょっとだけ起きて、薬の時間だから、」

笑いかけて浴衣の背を抱き起してクッションひとつ挟みこむ。
こんな世話が出来る幸せが温かい、そして手放すことが怖くなる。

―今は傍でふれられる、でも夜になって帰ったら、次は?

次なんて、あるのだろうか?

そんな疑問が鼓動を撃ってまた衝動が熾きてしまう。
次が解らないなら今このまま攫って続けてしまえば良い?
そんな願いまた蠢きだして、けれど今の幸せに笑いかけた。

「周太、祖母がアップルサイダー作ってくれたから食べような、あーんして?」

ひと匙あまずっぱい香りごと掬って唇へと差出してみる。
けれど黒目がちの瞳が困ったよう見つめて唇はためらい微笑んだ。

「…あの、自分で食べられるからスプーン渡してくれる?」

やっぱり恥ずかしがっちゃうよね?

こんなこと予想通りで、けれど恥ずかしがりごと抱きとめたい。
どうか恥ずかしくても甘えて全部を委ねてほしい、そんな願いごと綺麗に笑いかけた。

「これ、大好きな人に食べさせて貰う方が元気になるんだってさ。だから俺が食べさせたら周太、いっぱい元気になってくれるだろ?はい、」

自分のこと大好きだったら、このスプーンから食べて?
そんな想いごと差し出して笑いかけて、けれど本当は震えている。

―もし拒絶されたら俺、もう立ち直れないよな、

いま拒絶されてしまったら自分は道を踏み外す。
そんな予兆ごと見つめる真中で黒目がちの瞳が見つめてくれる。
この瞳が自分は好きで、愛しくて、この瞳に見つめて微笑んでもらえるなら全て惜しくない。

だからどうか今この一匙を口にして?そんな願いごとに大好きな瞳は恥ずかしげに微笑んだ。

「…ん、はい、」

微笑んだ唇そっと開けてくれる。
そんな「Yes」の幸せごと英二はスプーンを運んだ。





(to be gcontinued)

【引用詩文:William Wordsworth「The Prelude Books XI[Spots of Time] 」】

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