萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

文学閑話:白梅の恋×万葉集

2024-01-10 17:05:00 | 文学閑話万葉集
真白の恋、浄雪の夢


文学閑話:雪梅の恋×万葉集

梅の花 開けるのうちに ふふめるは 戀かこもれる 雪を持つらか 茨田王
うめのはな さけるのうちに ふふめるは こひかこもれる ゆきをもつらか

梅が花ひらく、その内に開ききらないのは恋だろうか?
蕾に恋心まだ目覚めない、そんなふう君にも恋心が眠っている?
雪くるまる蕾まだ眠るようで、これから花ひらく齢むかえる君も恋するのだろうか。
もし君に恋が目覚めるのなら僕であればいい、雪持つ梅のように清らかな想いでくるむから。

梅雪の歌『万葉集』第十九巻に掲載されている相聞歌、恋歌です。
原文「梅花 開有之中尓 布敷賣流波 戀哉許母礼留 雪乎持等可」
一般的な書き下しは「うめのはな さけるがなかに ふふめるは こひかこもれる ゆきをまつとか」
なんですけど、万葉仮名そのまま沿うほうが読み人の意図に添うなあ思うので原文ママ訳しています。

特に結句は「雪を待つとか」で訳されがちです、
その根拠は「持」が「待」の誤字かもしれない?ってことだと思うんですけど、
この「雪を持つ」は古来からある言い回しになります、ので誤字じゃないんじゃないかなあと。

たとえば今でも「雪持ち笹」という言葉があります、
日本画や着物の意匠で用いられている言葉で、雪を冠った笹のことです。

雪持つ=雪かぶる・雪くるまれる、

四句目の「こもれる=籠れる、隠す」に呼応して「雪持つ=雪くるまれる」だなと。
ソンナワケで原文「持等可」のまま書き下して「雪をかぶっている・雪くるまれている=雪持つ梅」で解釈しました。


こちらは梅が咲きだしました、ノデこの歌を掲載してみました、笑
夕刻ひといきのツレヅレ、気分転換にでも。
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コメント (2)
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