萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

夏零れる、薔薇

2021-07-21 23:31:04 | 写真:花木点景
零れる紅あわい、夏そめる花の午後
花木点景:バラ2021.5


初夏の午後、紅色あわい花びらが透けてきれいでした。
初夏の光と風は幻想的に花を見せて、こんな瞬間に出会うと世界ってキレイだなーと楽しくなります。
【撮影地:神奈川県2021.5】

夜一息、気分転換ちょっと癒されそうな写真を、笑
早く越境して山歩けるよーになりますよーに。
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文月二十日、向日葵―splendor

2021-07-21 19:50:00 | 創作短篇:日花物語
瞬く、
7月20日誕生花ヒマワリ向日葵


文月二十日、向日葵―splendor

僕の日常、黄金そめるのは?

「ひさしぶり、いきなりで驚いた?」

記憶より低い、けれど昔のまま快活ほころぶ。
そのくせ変わった視線に見あげた。

「うん…10年ぶり、かな?」

向きあう庭先ただ夏の花、それから光ひろがる水田と夏野菜くゆる熱と草いきれ。
いつもどおりの夏の風と匂いで、けれど「ひさしぶり」が笑った。

「10年だよな、やっと涼ちゃんに会えた、」

低い声やわらかに弾む、日焼シャープな輪郭ほころぶ。
ほら記憶より鋭利な頬、顎、けれど変わらない闊達が笑ってくれた。

「変わってなくてホッとしたよ、涼ちゃんも町もさ?」

低くなった声、けれど変わらない闊達はずむ。
その明眸が涼やかで、肩そっと息ぬけて笑った。

「あいかわらず田舎でしょ…陽ちゃんも変わってないね、」

変わっていない、君は。
ずっと背は伸びて声も低い、けれど芯そのまま幼馴染が笑った。

「だろ?背は伸びたけどな、」
「うん、すごい伸びたね…何センチ?」

訊き返しながら見あげる視線、記憶より遠い。
こんなに身長って変わるんだ?ふっと吐いた呼吸かすかに香った。

「185だよ、成長痛すげえ痛かったぞ、」

笑ってくれる明眸かろやかに弾む、ほら変わらない。
けれど何だろう?かすかに渋くて甘くて尋ねた。

「あのさ、なんか香水?とかしてる?」

かすかに渋い甘い、穏やかな香やわらかに薫る。
こんな匂いしていたろうか?10年の再会に明眸ふわり微笑んだ。

「香水はしないけど、どんな匂い?」
「うん…ちょっと渋くて甘い、優しい感じ?」

答えながら香たどる、記憶の感覚ふれていく。
渋い甘い、けれど穏やかで押しつけない、どこか馴染んだ感覚。
どうしてだろう?不思議と見あげる先、端整な白衣姿が腕つきだした。

「もしかして白衣かな、薬品とか匂うかも?」

腕まくりした袖、陽ざし純白に照りかえす。
その姿あらためて見あげて、気がついて声が出た。

「陽ちゃん、あの、ほんとにお医者さんになって帰ってきたの?」

幼い時間、君が言ったこと。
あのままに叶えて帰ってきてくれた?遠い優しい記憶、君が笑った。

「そうだよ、医者になったのは涼ちゃん知ってるだろが?毎年ちゃんと年賀状だしてるしさ、」
「うん…知ってるけど、」

肯きながら見つめてしまう、だって「帰って」きた。
こんなこと本当に?想い見つめる真中で明眸ほころんだ。

「さっき診療所に着任してさ、そのまま挨拶まわりしてんだよ。最初に涼ちゃんとこ来たんだからな、」

白衣の胸もと、聴診器おだやかな銀いろ光る。
きらきら陽ざし輝いて、眩しくて視界あわく滲みだす。

「そうなんだ…今日、着いてそのまま?」

問いかけて瞳ゆるやかに熱くなる、こんなこと本当に?

「着いたばっかりだよ、朝一の新幹線で帰ってきたんだ。約束だろ?」

約束、ほら?憶えていてくれた。
こんなこと本当に、ずっと見つめた想い君が笑った。

「涼ちゃんは俺がずっと診るよ、一緒に長生きしような?」

ほら約束に明眸が笑う、笑ってくれる。
こんなこと本当に君は叶えた?想いただ眩しくて微笑んだ。

「陽ちゃんは長生きしそうだもんね…僕もがんばらないとかな?」
「ゆるゆるでいいよ、涼ちゃんのまんまでさ?」

低い声からり笑って髪かきあげる、その手すこやかに大きい。
こんなに大きな手が自分を支えてくれる、その温度に息ひとつ笑った。

「ありがとう…これからお世話になります、陽ちゃん先生?」

これから君が僕を診る、約束そのままに。
それなら約束また叶うのかもしれない、願う未来に明眸が笑った。

「うわ、それなんか恥ずかしいな?今まで通りでに呼べよ、」

シャープな頬かすかに染まる、日焼あわく朱色ほころぶ。
この照れ方も相変わらずで、可笑しくて嬉しくて笑った。

「わかった、でも町では陽ちゃん先生って呼ばれそうだね?みんな知ってる人たちだし、」
「あー…それは仕方ないかも、なあ?」

ため息ひとつ明眸が笑う、闊達なままに大人の君だ。
そして悪戯坊主だった貌そのままで、可笑しくて懐かしくて、ただ嬉しい。

「陽ちゃん先生って、親しみやすくて良い思うけど。なんか困るの?」
「なんていうか、名字呼びに慣れちゃってるだろ?ガキンチョ時代に戻されるカンジでさ、医者モード入りにくいような?」

困ったな、そんな貌でも明眸かろやかに笑ってくれる。
あいかわらずで、そのくせシャープな白衣姿が一歩踏みだした。

「畑仕事まだ途中なんだろ、手伝わせてよ?終わったら診察させてくれな、」

白衣ひるがえる畑、大輪きらめく黄金の花が咲く。
すこやかな明るい闊達まぶしくい、その光に微笑んだ。

「ありがとう、お願いするね?」

あの別離から十年、叶えた瞳あざやかにただ眩しい。


向日葵:ヒマワリ、花言葉「光輝、崇拝、私の目はあなただけを見つめる、愛慕、熱愛、偽りの富、憧れ」

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花蔭の風、薔薇

2021-07-21 13:57:00 | 写真:花木点景
木蔭ゆらす、花かざす風の涼
花木点景:バラ2021.5


大輪のバラもきれいですが、群れ咲くバラも野生種があっていいなあと。
初夏の光と風は幻想的に花を見せて、こんな瞬間に出会うと世界ってキレイだなーと楽しくなります。
【撮影地:神奈川県2021.5】

夏だし、ちょっと涼しいカンジでUPしてみました、笑
早く越境して山歩けるよーになりますよーに。
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