ある『物語』の断片

『物語たち』は語り始める。

童謡

2007-11-25 00:15:50 | ある『物語』の断片
息が真っ白になるような朝

少年はこの世界を旅立った

誰にも看取られず
誰の記憶にも留めないまま

ただ、彼の遺した歌だけは
かろうじて
この世界に
彼の痕跡を残していた

街行く人々は歌った

誰が作ったかも知らずに
口ずさむメロディー

作られた意図も知らずに
口ずさむ言葉

いつしか
歌は歌い継がれて
あの街まで
運ばれていた

今日も少年は
あの街で歌い続けている

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