ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

雛道具の2

2011-02-22 09:02:36 | 昔の道具・暮らし

 

これは見たまんま「煙草盆」…です。

どれくらいの大きさかといいますと、こんなもん。小さいでしょう。

 

       

 

もうひとつあります。こちらもなかなか…。

細い持ち手は、ちゃんと動いて横に倒れます。

 

           

 

両方とも入っているのは「火入れ(小さい火鉢)」「灰落とし」「煙管」です。

火のついた炭もそれらしいし、なんたってこの煙管、ちゃんと雁首の中、刻み煙草がつめられるように

穴が開いているんです。直径1.5ミリあるかしら…ほんっとに仕事が細かいです。

この大きさです。

 

    

 

こういうものを見ると「日本人の器用さ」を思います。  

ただ、お雛様って煙草吸うの?ですよね。歴史から言えば、日本に煙草が入ったのは室町のころ、

平安時代に「紫式部が、くわえ煙草で『源氏物語』を書いていた…」なんてぇことは絶対ないわけです。

この煙草盆は要するに外国モノでいうところの「ドールハウス用小物」。

最近はドールハウスでも、和風のわらぶき屋根の農家とか、昭和初期のお店屋さんとか、

人気があるようですから、こういうものも使われるのだと思います。

昔からこういう小さくても本物そっくりなものは「豆何々」と呼ばれていました。「豆本」が有名ですね。

オークションのカテゴリで「豆何々」がないので「小さい道具」ということで「雛道具」に入ってるわけです。

昨日も書きましたが、時代によって、道具もかわったり加えられたりしていきますから、

当然お雛様道具に「煙草の道具」があってもおかしくはないかもしれませんが、

そうなるとやはり「金蒔絵の煙草盆」でなければなりません。

みつけたいですねぇ金紋入りの煙草盆…あるかなぁ。

 

昨今「喫煙者」は肩身の狭ーい世間になっておりますが、煙草の歴史は?

まずはアメリカ大陸が発祥。

アメリカといても広いですが、中米あたり、たとえばマヤ文明などにも、煙草の絵が残っています。

煙草といってもいろいろ種類があります。たとえばパイプ煙草の中にはとても甘い香りがするものもあります。

もともと最初は乾燥したある種の葉を燃やしたら独特の香りがした…なんてことから、

煙草というものが見つかったのだと思いますが、当然のように「神への供物」とか「呪術の道具」として

使われたのが始まりといわれています。

煙草を初めて吸ったときのことは…ずいぶん昔のことで覚えておりませんが、とにかく最初のころは、

煙草を吸うとクラクラとめまいがします。つまり、麻薬ほどではないにしても、

そういう作用があるわけで、常用すれば、吸うとリラックス感が得らますし、

そういうことで「薬品扱い」のような使われ方もありました。やがて「嗜好品」として使われるようになり、

吸い方も煙管とかパイプとか、方法が考え出されたわけです。噛み煙草も、嗅ぎ煙草も、まだ現存しますが、

噛むほうは、直接葉っぱを噛むのでニコチンが唾液に溶け出します。ニコチンはそのまま飲むと劇薬ですから、

いちいち唾液ははきださなければなりません。また嗅ぎ煙草は、刺激が短いわけです。

だからゆっくりくゆらす「燃やして吸う」という「煙草」が、一番流通したんですね。

 

日本に伝わったのは南蛮貿易でやっとですから1500年代も終わりのころ、結構遅いんですね。

栽培も盛んになりましたが、江戸時代の煙草の上物は「薩摩」ものでした。

「花は霧島 煙草は国分」…ですね。

 

ところで、喫煙なさらない方はご存じないとおもいますが、煙草を吸うのとふかすのとでは違います。

今の紙巻煙草は、灰まで吸い込みますから「肺が真っ黒」なんていわれますが、

ふかすのはのどまでで鼻と口から煙を出しておしまい。これは煙草の香りと味を楽しむわけです。

パイプがこれ、だからいい香りのするものが多いんです。(好きな香りかどうかは個人差ですが)

煙管の煙草の吸い方もパイプと同じで、香りを楽しむものです。

だいたい、刻みをあの小さな雁首の中に詰めても、火をつけてほんの一回二回吸ったら、もう終わりです。

灰入れの中にコンと灰を捨てて、これがほんとの「ハイ、おしまい」…すみません。

だからちょっと一休みを「一服」というわけです。

今の煙草は自分が吸っている立場のせいか、においはあまり気になりませんが、

嫌いな方はどんな煙草であろうと、吸った気配があれば「煙草臭い」とおっしゃいます。

でも、外国煙草には、喫煙者の私が鼻をつまみたくなるほど臭いものもあります。

それからしたら、今吸われてる多くの煙草は、臭い煙、ではないんですけどねぇ。(ハイ、喫煙者のグチです)

 

なんか煙ったくなってきましたか?それではそろそろ煙草のお話はやめにしましょう。

こういう「豆道具」が、昔から好きです。ドールハウスを作る気はないのですが、

見るのは大好き、実物に近ければ近いほど、ため息が出ます。

たとえばこちらのページ、ひとつずつクリックして見られます。「宇野千代さんの生家」なんてのもありますよ。

トップページの呉服屋さんのビルもすごいです。

作れないから、こんなふうに小さいものをチョコっと集めて並べて楽しんでいるわけです。

 


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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (陽花)
2011-02-22 10:19:18
キューピーのようなお人形だけで3500円
ベットのような籠の様なものとセットなら
7500円なんて聞きながら、やっぱり好きで
集めておられる方がいるからお高くなる
んだと改めて思いました。

でも、昔の細かい細工はもう手に入らない
と思うとうなずける気もします。
小さな物、細かいものほど手間が掛かり
ますものね。
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Unknown (とんぼ)
2011-02-22 10:37:09
陽花様

ちょっと前まで、着物の古着はヤフオクが
安かったんです。今は差があまりないです。
こういうミニものは、うまく探せば
今はまだヤフオクの方がずっと安いです。
もちろんいいものはどっちにしても高いですが。
売るほうも大変ですよね。
ちなみにこれ、すごく安かったです。
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煙草盆 (盗人・メドベージェフ)
2011-02-22 11:26:09
写真を見ると、やはりと言おうか、「たばこ盆」や「タバコ盆」ではなく、「煙草盆」であるという思いがする。
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おひさしぶりです^^ (えみこ)
2011-02-22 12:53:53
大河ドラマの篤姫で滝山役の稲森いづみさんが、銀煙管で
一服されている場面がありました。煙草盆は意外?とちいさくて
シンプルな作りだった記憶が…(役者さんの喫煙っぷりがきれいであまりよく見ていません(笑))あの吸い口になりたいと思われた殿方、多かったかも(笑)若者のあいだに銀煙管流行のきざしがあるそうです。
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煙草盆 (otyukun)
2011-02-22 23:44:12
とんぼさんの大好きな煙草盆ですね。
ミニチュアでなく本物が欲しいのでは?
私も初めて吸ったのは十九才の時、始めは隠れて吸っていましたが、親の前で吸い始めると「お前なにやってんね」と母親から叱られました。
当時は母も吸っていたのです。
肥える体質で何とか痩せようとタバコを吸ったのが始まりだと言っていました。
タバコの効用はアルツハイマーにならない事と気分を開放してくれる事だと思います。
子供が小さい時医者から「親である以上健康でいる責任があり、タバコを吸っている以上果たせない」と言われその場で止める事にしました。
今時の嫌煙権はヒステリーの一種だと思いますが、今はもうタバコに近づきたくありません。
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Unknown (とんぼ)
2011-02-23 07:46:09
盗人・メドベージェフ様

そうですね。もともと「煙草」も当て字ですが
漢字の持つチカラでしょうか、
タバコ盆よりは「煙草盆」のほうが
しっくりきますね。
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Unknown (とんぼ)
2011-02-23 07:47:37
えみこ様

煙管は、中まで吸い込まないので、
ちっと健康的だと思います。
なれずに深く吸い込むと、からいですよぉ。
フィルターない分、直ですからねぇ。
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Unknown (とんぼ)
2011-02-23 07:53:09
otyukun様

煙草盆、持っておりますですよ。きせるも。
タバコを吸うとやせるというのは、
吸わなくなるとつい口寂しくて、何か食べるから、
その反対をかんがえたのでしょうね。
実際には…やせませんて…。
最近は、表に出たら吸えないとあきらめてます。
わざわざ「特別コーナー」みたいな狭っくるしいところで
小さくなって吸うなんて、みじめですし。
なくても平気なんですから、吸わなきゃいいのに
とも言われるのですが、イジでやめない?
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Unknown (さえ)
2011-02-23 11:46:20
煙管って一回か二回吸うだけで終わりなんですか。
花魁が好きな人に吸ってもらった後で吸うのも一回だけになりますね。
助六の「煙管の雨が降るようだ」って台詞がなお粋に思えますね。
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Unknown (とんぼ)
2011-02-23 13:02:04
さえ様

煙管の雁首って、せいぜい小指の先くらいの
穴しかありません。
そこに刻みタバコ詰め込んでも、
ほんのひとつまみです。
今のタバコみたいに、ある程度ずっと吸っていたいときは、
燃えたら灰捨てて、またつめて火をつけて…を
繰り返すんですよ。
花魁の吸い付けタバコは「花魁から客へ」ですね。
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