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ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

初夢初詣

2013-01-06 08:45:07 | つれづれ

 

いつも「遅れて」の話題ですみません。写真は例によって再出、羽裏の一部拡大したものです。

 

初夢は、「初」とつくのだから、1日の夜に見る夢、という説もあれば、2日の夜という説もあり…です。

私は親に「2日」と教わりましたので、今でも2日の夜の夢のことだと思っています。

俗に「一富士二鷹三茄子」が、エンギのいい夢、ベスト・スリーといわれていますが、

実際一度も「見たことナシ」です。

ちなみに私の今年の初夢は、なぜか「どこかに面接に行く」…今更就職かい…ですが、

夢の中では、若返ってました。寝る前に現代の就職難民のニュースなんか見たからかも…なんと夢のない…。

ちなみに「三」のあとは「四扇・五煙草・六座頭」と続きます。

 

室町時代あたりから、枕の下に宝船(七福神の乗ったもの)の絵を敷いて寝るとよい、といわれるようになり、

江戸時代は、元日、二日に「宝船売り」が、町を流しました。

この絵には「長き夜の 遠の眠りの皆寝覚め 波乗り舟の音のよきかな」という歌が書いてありました。

回文ですね「なかきよの とおのねふりのみなめさめ なみのりふねの おとのよきかな」。

もし、悪夢を見たら、この宝船の絵を川に流して清める、といいますか「なかったことにする」わけです。

昔は、今より「怖いもの」がたくさんありましたから、少しでも穏便に暮らすために、

人は夢にまで願いを託したわけです。

 

初詣、のほうは、皆さんいかれましたでしょうか。

今年ももうしばらくすると「全国の初詣の人数」だの「参詣者数ベスト・テン」だのが発表されますね。

ついでに、毎年どこかの神社の「お賽銭勘定風景」という映像も流れます。

袴でマスクの神社関係者と、背広にマスクの銀行関係者の…あれは一気に「俗化」する風景ですね。

さて、初詣はどこに行くか…本来は氏神様、もしくは、その年の恵方にある神社です。

じゃ氏神様ってなーに。これは「暮らしている土地の神様」。

恵方というのは「暦」で言うところの「歳徳(としとく)」、今年は南からやや東より。

 

また、生まれたときからご縁をいただくのが「産土(うぶすな)神様」、たとえば私は金沢八景の近く、

今は「能見台」という地名になっていますが、野球で有名な横浜高校のすぐそばで生まれました。

一番近いのが「富岡八幡宮」、ここの山が津波から村を守ったので「波除け八幡」ともいわれ、

深川の富岡八幡宮に分霊されています。

産まれた場所の神様ですから、ここが産土神様、そしてその後は引越して、今の土地に来て、

結婚して千葉に行って…ですから、氏神様は、そのたび変わるわけです。

産土神様は、個人とその神様のお付き合いですから、たとえ私がどこへ行こうとも、ずっと守護してくださる神様。

そのわりにちーっともお参りも行っていない「神様不孝」モノでして、ごめんなさいです。

本来はそういう形であったわけですが、秀吉以来「土地を離れてはならない」ということになり、

人の移動、ということがあまりなくなりました。産まれた土地で一生過ごす人が大多数になったわけです。

それでいつの間にか「産土神様」のことはあまりいわなくなり「氏神様」中心になっていったわけです。

まぁ考えてみれば、「暮らす」ということは大人になってからの時間のほうが長いわけですから、

産まれはどこであれ、祭祀にかかわってお祭りを盛大にやるのは、大人になってずっと住んでいるところ、

ということで氏神様ということになりますから。

氏神様は、同じ土地の神様でも、個人対神様ではなく、その土地の人たちみんなと神様、ということですから、

みんな「氏子」という形になるわけですね。

 

ではお寺に行くのは?これは土地や年齢によるかと思うのですが、

日本は最初は神教、そして仏教が入ってきて、それも柔軟に受け止めたわけです。

明治に入って神社とお寺は別モノ、と分けましたが、それまではごちゃまぜ。

今でもお寺の中に神社のお社があったり、神社の中にお寺の跡があったりします。

お寺というのは、江戸時代は「区役所」みたいな役目も果たしていました。

これはキリシタン弾圧の目的もあったわけですが、誰もが全て土地のお寺に関わりを持つことを

定められました。「寺請(てらうけ)制度」といいますが、お世話になるお寺を「旦那(檀那)寺」といい、

そういう人たちを「檀家」といったわけです。

この旦那寺では「宗門人別帳」というものを作って「橋向こうの留吉、女房とめ、長男松吉…」なんて具合に、

いわば戸籍の役目をするものを作ったり、旅に出るとか、町に奉公に出るとかのときは、

「寺請証文」というものを発行して、いわばこれが「身分証明書」となりました。

また「過去帳」も作りましたから、地元の誰がいつ生まれ、いつ亡くなったかも記録されましたし、

当然亡くなったときには旦那寺の住職に弔ってもらい、墓もその寺の管理地に作ったわけです。

つまり旦那寺は「菩提寺」でもあったわけですね。

だから、初詣は、まず「産まれたとき、暮らしているところ」の神様に参り、

「葬」のほうでお世話になる「旦那寺」にお参りをする…というのが、順序といえば順序・・・なわけです。

 

こういうことも、時代がかわり、ひとつの土地にいつくことより、移動することが多くなり、

また葬儀も、産まれ故郷に帰ってする、ということも定かではなくなり…になりました。

だいたい自宅での葬儀もなくなりましたから。お墓事情も、分家したら買わなきゃ、なんていったって、

イマドキおいそれと地元にお墓は立てられないような状況です。

結局「神社」「氏子」という関係も、「旦那寺」「檀家」という関係も、薄れてきたわけで…。

そこで初詣も、イベント化しているわけです。

元々は関西の鉄道会社が、地元の神社仏閣にお客を呼び込むため「今年の恵方はここですよ」と

宣伝したのが始まり…という説もあります。

 

お参りの場所はどこであれ、大事なのは「お参りするココロ」。

去年の無事を神仏に感謝し、今年の無事安泰を願う…間違っても「ついでに」するものではありません。

福袋争奪戦のついでに初詣、ではなくて、初詣の帰りに福袋、ですよ。

それじゃ売切れてしまう?バチあててもらいなさい。大当たりするかもです。


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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown ()
2013-01-08 00:39:39
「一富士二鷹三茄子」までは知っていても その先は知らず
「産土神様」も初めて聞いた様な・・・

本当にいつも ためになるお話ばかり 
今年も 一年 沢山のお話を書いて下さいね。
宜しくお願い致します。
返信する
Unknown (とんぼ)
2013-01-08 09:42:41
惠様

煙草の夢だけは見たことがあるよーな。でも初夢ではなかったなぁ…。
「産土神」は、母は「うぶすなさん」と言ってたような気がします。
母の実家は、玄関でて右上をむくと神社…というところで、いまでも立派なお社のある小さな神社。
でも、母は行くたびにおまいりしていたかというと…ですねぇ。あらら。
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