
着物や小物を整理なさっておられて、私のところへ送ってくださる方がいまして…。
やたら捨てるよりは…と、お考え下さっているわけで、アテにされるということは、嬉しいことです。
しっかり一枚一枚、調べて、お嫁入り先を探すなり、何かに形を変えるなり、私が使わせていただくなり…。
私はこうやってきっとずっと「布」と一緒に暮らしていくのでしょうね。幸せですー。
というわけで、本日はその中からご紹介。
トップ写真は、一緒にはいっていた「ゲタ」なんです。これ裏に「会津桐」とハンコがおしてありました。
会津は、父方の祖母のふるさとでもあります。
もうおつきあいは限られてしまっていますが、それでも昔会津本郷焼をしていたとか、いろいろ聞いています。
身内にゲタ職人はいなかったみたいですが、昔福島の親戚がきたときに、おみやげにもらったことがありました。
会津は桐の名産地、寒暖の差が上質の桐を育てるのだそうです。
最近の安い桐製品は、外国産の桐が多く、だから安く出回る…のでしょうね。
安い桐だと、下駄でもスカスカで、柔らかい部分がすぐヘタリます。
これはホンモノ、台に少しシミが出てしまっていますが、色が濃いので目立ちませんし、
鼻緒をもう少しハデめにかえて、履かせていただこうと思っています。
会津の桐、箪笥が有名です。桐箪笥は軽くて密閉性が良いですから、
あの震災の時にも箪笥が浮いて助かったり、ほかのものが沈んで壊れても、箪笥だけは浮いて、
しかも火災や水害でも、中はなんともなかった…という話があれこれあったそうです。
火災でも中まで焼けない、という話はよく聞きますが、私も「ホンモノの桐タンス」ほしいです。
で、着物の方は…こちらが一番先に眼に入った「訪問着」の洗張り。色も柄も好みですー。
ちょっと色がうまくでていませんが、なんといいますか…ごくごく薄~~~い、カフェオレのような色。
そこに墨絵のように大きな紅葉…ではなく大きさからいって「ヤツデ」でしょうかね。
アツプはこんな感じ、ボカシのところなんかいいですね。
今はあまりないタイプのちりめん地です。
残念ながらシミや、小穴があって、もう一度仕立てるのはムリかなーです。
なんとかせねばっ!
細かく切ってしまうより、大きく使ってみたいですね。
こちらは今はもうないタイプの「縞」。「織」ではなく「染」の縞…。つやっつやの錦紗です。好きですこういうの。
まだ糸を全部切ってないので、中がどうかわからないのですが、これは「着たいっ!」
でも、私にはちと縞が大きいかなあ…と、また妄想バクハツ中。
いま、こういう縞模様の着物って、ありませんね。銘仙やお召しを好んでお召しになる、
お若い方などにも、こういう縞は人気があるのではないかと思うのですが…。
もうひとつ、この縞も、きものであったら着るのに~なんですが、袖二枚分のみです。
袖口布は、まぁめだたない「ミルクココア」のような優しい色。
ただのジミな縞…なのに、ここで裏がチラリと見えると…
なんでこう艶めきますかねぇ…。
母はさすがに裏に紅絹はつかいませんでしたが、かわりにじゅばんは赤地、朱地を着ていました。
年をとったら、見えないものを赤くする、それがチラリと見えてもいやらしさを感じさせないのが、
「着こなしってもんやねん…」と、むっずかしいことを言ってましたっけ。
この赤がきいているから、こんなおばあさんみたいなジミ縞でも、若いころから長く着たんでしょうね。
ほかにも昔の若向きの帯や、男物の解きもありました。かわいい「三尺帯」も…。
一箱に、その方の人生の様々な時間が、すこしずつ詰め込まれているようで…。
みんなみんな、いろんな日々をすごしてきたんですね。
時間を包み込んでいるこの着物さんたちは、ここへきてまた時を重ねることになります。
できればいい時間をすごさせてあげたいと、そんなふうに思いながら…これからお礼状を書くことにします。
ようになると聞きますが、火災や水害
でも大丈夫とは、お高くてもそれだけの
値打があるんですね。
反物を前に、何にするか当分悩みそう
ですね。
薄黒くなったら、表を削ってまたきれいになるし、
ホンモノはすごいですね。
私も、一棹でいいから…なんて思っているんですけどねぇ。
昔ながらの黒い「カン」の付いたのがほしいです。
状態はいいけど、もう一度着物はムリ…というのは、悩みますわー。