ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

白紬でお試し洗い・まだ説明…

2014-06-04 16:20:00 | とんぼ手帖

 

実験結果は、また伸びますー。前説明の長いこと…すみません。

例によって話が長くなりますが、どうせお試しするなら、いろいろ書いておきたいと思いまして…。 

以前「着物を洗う」ことについての記事を書きましたので、同じことがでてくるかもしれません。

 

まず、今回は「きれいにする」ということで、洗うことと、シミ抜きのことも合わせて書きます。

 

正絹の着物やウールのセーターなんかは縮むから、ドライ洗剤なら大丈夫…

たしかに、家庭用ドライ洗剤には「絹も洗える」と書いてありますが…実はこれが曲者です。

家庭用ドライ洗剤エマールのこちらのページ、「お洗濯方法」のところに、

洗えないものとして「和服」と書いてあります。

なぜでしょうか。クリーニングやさんのドライは「有機溶剤」で洗います。

有機溶剤は「脂肪分」のよごれのみ落としますから、皮脂や食品の油分、

油性の化粧品などは落ちますが、汗ジミは水性ですので落ちません。

これも落とすために、家庭用ドライには、ほかのものが入っています。

それと家庭用は、洗剤が「ドライ用」でも、結局水ですすいだりします。

着物の場合、絹でも強撚糸を使っているちりめんやお召しは、水に入れると縮みます。

 

ウールが縮むのと、ちりめんが縮むのとは、元々大きな違いがあります。

ウールと絹はどちらも動物性繊維ではありますが、ウールは「毛」、つまり人間の髪の毛と同じで、

表面はウロコのようになっています。キューティクル、ですね。ウロコ状…とよくいわれます。

このウロコは魚のウロコのように、1枚ずつは丸くなくて、先にトゲトゲがある上、

魚のように規則正しくきれいに並んでいるわけではありません。

ウールのものを水に入れると、このウロコが開いて中に水が入り、とんがりがあっちこっち向いて、

そばのウロコとからみやすくなります。洗濯機で撹拌したりすると、この「からみ」がさらにひどくなります。

一度からまったものはもとにもどりませんから、からまった分くしゃくしゃと縮むわけです。

このひどいからまりが進むと「フェルト化」する、といいます。

絹はそれ自体は、ウールのようなウロコはありませんので、それで縮むことはありません。

絹が縮むのは、強撚糸の強い撚りが、水にぬれて元に戻ろうとするからです。

なので、強撚糸を使っていない紬や銘仙は、洗ってもほとんど縮みません。

ドライ用とかおしゃれ着用という洗剤は、洗うことより「保護」をうたっています。

たとえば前述のエマールの成分表には「シリコン」とあります。

シリコンをいれることで、ウロコの表面をコーティングしてしまうわけです。

なのでウロコが開かない→逆立たない→絡まない→縮まない…です。

 

麻は、縮むといわれたり縮まないと言われたり…どっちなんや、ですが、原則縮むもの、です。

原理は絹に似ていますが、麻は撚りをかけることよりも、元々繊維にある水分量の変化です。

洗濯で水を吸い、それが蒸発するとき、元の形に戻るとは限らない…なのでしわしわに縮むわけです。

水を通してから製品にするなど、縮まない、縮みが少量ですむ…といったものも多いです。

着物の場合、縦方向に縮むことが多いようです。

 

 

縮まない紬や、防縮加工の木綿、ウールなどは、ドライ用で十分洗えますが、

基本的に和服は専門家に任せる方が安心です。

ただし、ドライクリーニング、京洗い…とあっても、危ない場合があります。

使われている有機溶剤が、いろいろあるからです。

着物は着物を専門に洗うところに出すのが、一番いいのです。

 

次に…洗剤の説明の中には、必ず「界面活性剤」という言葉が出てきます。

これは「親水」「親油」の両方の働きを持つもの…あ、難しいことはわからないので聞かないでくらさいねぇ…。

親水、は、水と仲良くなること、親油、は、油と仲良くなること、です。

繊維の中に、汚れがあるとします。水につけてゴシゴシもみもみ…これだけでも、

ある程度は落ちますね。汚れを揉みだすわけです。

界面活性剤を入れると、汚れの中にしみこんで、親油の力で汚れを「おいでおいで」と包み込みます。

次に親水の力で、水の中に「今度はこっちへいこうよ」をします。

それで汚れが水の中に溶け出す…というわけですね。

更にその働きを応援するのが「水を動かす」こと、それが洗濯機が回って水流を起こす理由です。

 

次に「せっけん」ってなんだ?…せっけんは「油をアルカリで煮たもの」。

それだけかい…ですが、原理はこれです。

最近「廃油からせっけんを作る」というのがありますね。実際にはけっこう危険であること、

純粋なものはなかなか難しいことで、素人はいきなりやらないほうがいい…なんて言われています。

これに使う「アルカリ」は「水酸化ナトリウム」、苛性ソーダ、といったほうがよく耳にしますね。

一滴で失明するという劇薬です。「煮る」と言いましたが、脂肪と混ぜると熱を発するのです。

かき混ぜて冷やすと固まる…これが「せっけん」です。

石鹸を水に溶かした溶液は「アルカリ性」を示します。

せっけんそのものの歴史はたいへん古く、紀元前のこと、当然いろいろ改良もされ、

日本に伝わったのは安土桃山と言われていますが…そうです、そういうものは「宝物」。

しょせん庶民の手にははいらないわけで…。

生活の知恵として、灰汁、これはアルカリ性ですね、それを汚れ落としに使ったり、

江戸時代は「むくろじ」や「さいかち」の実やふのりを使いました。どれもグニュグニュネチョネチョするものです。

これはサポニンという成分を持っていて、これが界面活性剤の性質があります。

古来より、人は汚れをなんとか少しでも落とそうと、身近なものをいろいろ試したのでしょうね。

スーパーへ行けば…いえ、ネットでポチッとしただけで、あらゆる洗剤が手に入る…

なんと幸せなことかと…だからこそ、上手に使わなきゃね、です。

 

ここまででもずいぶん長くなりましたが、ようやく「洗う」についてのお話が終わりました。

次にシミ抜き、のお話。シミ抜きにも、汗ジミ抜きのように、水とタオルだけでできるものもありますが、

今回のシミ抜きは「漂白」の方のお話です。

 

漂白は、薬剤などを用いて分解などの変化をさせて色を抜く化学反応です。

市販の漂白剤で、耳になじんだものというと「塩素系」「酸素系」「酵素系」…。

商品名だと「ハイター」「ブライト」の二種類でしょうか。酵素系は、大手は扱っていないようですね。

さて、この塩素系、酸素系の違いですが、一般的に「混ぜるな危険」が塩素系。

たいへん強力ですから「色という色は、みな抜ける」…で、シミ抜きと言っても白いものにしか使えません。

私のカラーTシャツの何枚かは、使用中の「ハネ」によって、不規則な水玉模様ができてますわ。

酸素系は穏やかなので、色物にも使えますが、シミ抜きの力は塩素系に劣ります。

さて、この酸素系…なんですが、さらに分かれて「過炭酸ナトリウム」こちらは粉末で弱アルカリ性、

それと「過酸化水素」こちらは液体で弱酸性。

同じワイドハイターでも粉末は「過酸化ナトリウム」、液体は「過酸化水素」です。

過酸化水素は、オキシドールですね。髪をオキシドールで茶パツにする…なんてのもありましたね。

ブライトも、カラーブライトは確か粉末…。同じ名前でも、中身は違うのですね。

実は「過酸化ナトリウム」、つまり粉末の方は、本来は絹物には使えません。

なので粉末の方にはちゃんと「絹・ウールはだめ」になってます。

最近は、なんでもOKのほうが手間なしですから、だいたい液体を使うと思いますが、

こんな違いがあるのをご存知でしたか?

余談ですが…水泳をする人は、髪が茶色くなる…と言います。それだけではなく傷むそうですが、

あれはプールの水に消毒用塩素が含まれているから。プール・ブロンドともいうそうです。

同じ茶パツでも、水泳選手は「塩素系漂白」、オキシドールは「酸素系漂白」というわけですね。

 

さて、このほかにも酢で漂白する、重曹と酸素系漂白剤のタッグなど、

頑固な衿汚れの落とし方とか、茶渋の落とし方とか、ネットにはたくさんのっていますが、

やるときはすべて「自己責任」です。

それまでの使用で、今まで特別問題も起きていないということは、それだけ実績があるということですから、

白い木綿だからハイター、プリント柄の絹だからワイドハイター…程度の使い分けで、十分だと思います。

ただ、正絹の着物については、元々がデリケートな繊維ですし、古いものほどなんのシミか、

いつついたのかわからないですし、使われている「染料」も、今とは違ったりします。

必ず目立たないところでのテストをするとか、洗う、シミを抜くと思っているものの状態と、

使おうとしているものの性質を、よく知ってから、トライですね。

 

大変長い説明になりましたが、めんどくさー…ですねぇ。

実際には、当たり前のように私もハイターだのワイドハイターだのを、適当に使っています。

本当は「使い分け」をきっちりしたほうが、いいことなのだと思いつつ…。

だらだら長いお話、おつきあいありがとうございました。

さぁいよいよ実験結果…の予定です。 

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6 コメント

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Unknown ()
2014-06-04 22:24:47
ふむ ふむ
ほう ほう
なるほど なるほど
・・・・
では 実験結果を楽しみに
返信する
Unknown (陽花)
2014-06-05 00:25:51
すごいですね~
普段使うのは塩素系と酸素系ぐらいです。
そんなに種類があるんですね。
返信する
Unknown (古布遊び)
2014-06-05 08:38:44
おお、そんな違いがあるとは全く知りませんでした。というか、説明もよく読んだことがなかった!!!

実験が楽しみです~
返信する
Unknown (とんぼ)
2014-06-06 20:22:38
惠様

あんまりはっきりしない結果になりました。
劇的にきれいになる…なんてことは、
期待してませんでしたが、もうちょっと…。
まあ古いものはしかたありませんね。
返信する
Unknown (とんぼ)
2014-06-06 20:25:20
陽花様

いただきものとか、安売りの目玉商品とかで、
けっこういろんな洗剤使いますが、
最近は、重曹やセスキなども、使うようにしています。
知らないと、損することもありますしねぇ。
返信する
Unknown (とんぼ)
2014-06-06 20:31:49
古布遊び様

よくみると、いろいろありますよー。
だいたあの説明書きって、ほんとに字が小さくて
読む気になれませんよね。
一度ルーペで読んでみてください。
返信する

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