「メジャーの打法」~ブログ編

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日米比較(3)

2008年10月20日 | 投法
 肩の内・外転について誤解していた。

 以前HPにも書いたが、日米の投法の違いは肩の内転・外転トルクにあらわれる。Feltner(1986)には以下の記述がある。
As the ball neared release, the abduction value of the proximal joint torque at the shoulder continued to decrease and it had a negligible value at the instant of release.


 それに対して宮西のデータでは(HP参照)、MERを過ぎたあたりで外転値が内転値にかわっている。桜井のデータで、スリークォーターの投手については、リリース時に肩が約20度内転していることから、

このトルクの内転値は肩の解剖学的内転というキネマティックなデータに反映される

ものと思っていた。

 ところが、前回紹介したの宮西のグラフでは、肩の肢位は外転を維持している!

 もしや被験者が違うのでは?と疑ったが、そうではなかった。このグラフを見ると、トルクは内転値に変わっているが(HPのグラフと同じもの)、内・外転角速度はつねに外転値だからリリース時に桜井のように内転位にはならない(どちらも宮西論文のデータだから被験者は同じではないか?)。つまり、上の見方は間違っていたのだ。

 桜井のデータをよく見れば、最大外旋の前から肩内転が始まっているようだ(「投げる科学」p92細線)。この被験者の肩内・外転トルクを測れば、恐らく宮西ともFeltnerともまるっきり違うものになっただろう。日米比較論の出発点になったかもしれない。しかし、そういうデータは、あったとしても、表に出てこないのだ。



 


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