快読日記

日々の読書記録

「ココロ医者、ホンを診る ―本のカルテ10年分から―」小西聖子

2010年03月31日 | 総記・書評・人生訓・哲学・宗教など
《3/30読了 武蔵野大学出版会 2009年刊 【書評】 こにし・たかこ》

約60冊の書評。
読みたくなった本が何冊もありました。
そして、以前から気にかかっていたけど、読まなくてもよさそうな本も。
それは筆者が悪いわけではなく、むしろ本の全体像や大まかなイメージが伝わるからです。
それどんな味?に対する答が的確なので、じゃ今はそれ食べなくていいや、という判断も可能です。
これは、味を説明してくれる人の味覚があまり独特だとできないですよね。
その点、この筆者のニュートラルな読み方は、読書案内としても信頼できると思います。
(このブログとは逆ですね)
ノンフィクションの割合が高いのもうれしい。
筆者はこんなことを言ってるんです。
「人のアタマはけっこう想像力貧困にできている(185p)」
テレビや新聞でさまざまな問題に接するたび、当事者たちの事情や思いを想像して、そこでなんだかわかったつもりになってしまう。
ところが、しばらくしてそれが1冊の本にまとめられたとき、自分の拙い想像と理解をはるかに越えた「現実」の世界に連れて行ってくれる(「真相」の一側面としての「現実」と理解していますが)、それこそがよいノンフィクションなんだと思っています。
まずは「杉田久女 ―美と格調の俳人」を読んでみたいです。