快読日記

日々の読書記録

「本が多すぎる」酒井順子

2014年11月16日 | 総記・書評・人生訓・哲学・宗教など
《11/15読了 文春文庫 2014年刊 【書評】 さかい・じゅんこ(1966~)》

タイトルは、ある大型書店で著者が耳にしたおじさん客の叫び。
たしかにおじさんのその気持ちわかる。
わたしもそう思う。
読みたい本、読まなきゃいけない本、読んどいた方がいい本、今が読みどきな本、……ああ!何を読んだらいいの?
仮に1年間に100冊読んだとしても、一生に1万冊は読めないわけで、そう考えるとハズレは引きたくないからつい冒険を避けて、結局、特定の書き手のものや信頼できる書評がおしてるものだけを読むことになってしまう。
んー。まあ、それはしょうがないか。
書評を読むのは、自分が読みたい本を探す以上に、自分はきっと読まないだろうという本を読んだという人の感想を知りたい、という目的。
ああ、世の中にはおもしろい本がまだまだ無限にあることよ、と未読本に思いを馳せながらこの世とお別れするのもいいかもね。

それはともかく、酒井順子の書評本。
週刊誌連載の比較的短い文章をまとめたものであることと、ふだんの腹にいちもつありそうな敬体ではなく、ちょっとキリッとした常体であることで、いつもより若干歯切れがよい印象。
でも、やんわりたおやかなようで、チクリと対象を刺す酒井節はここでも生きています。
1回に3冊くらいの本を数珠繋ぎ的に取り上げているのも、テーマの深化や拡大が感じられておもしろかったです。

/ 「本が多すぎる」酒井順子