快読日記

日々の読書記録

読了『ヒトの本性』川合信幸

2016年02月10日 | その他
2月9日(火)

たしかにハリウッド映画(に限らず)とかで、主要人物が無関係な車に衝突したり、ついでみたいに警備員や巻き込まれた市民が射殺されたりすると、ああっ!何の落ち度もないのに。なんて身勝手な映画だ!と思う。
悪い奴が成敗されるにしても、子分まで殺さなくてもいいじゃない!みたいな。
ウルトラマンが怪獣と闘って町を破壊するのだって昔から不愉快だった。

この本によると、そういう反応は男性にはあまり見られないそうだ。
例えば、不公正な者が罰を受ける場面を見たとき、女性は共感し、同じ痛みを感じるのに対し、男性の脳はむしろ快感を覚えるんだって。へえー。こわ~。
だから、暴力の連鎖を断ち切れるのは女性だ、なんていうけど、そんな単純な話ではないと思うわ。

筆者によると、ヒトはそもそも攻撃的な生き物なんかではなく、協力し助け合うものだ。
攻撃や排除を受けると傷つき、その痛みは長年に渡るが、「他人を傷つける」ことによっても同じように心が痛むんだそうだ。
そうかもしれない。

この本、一貫して「性善説」な本で、それは近頃注目の学説らしい。
そうだったらいいなとは思うけど、この説に諸手を上げて賛成という気分にはならない。

これは現実がどうかということより、考え方の問題だ。
(だからこの本が悪いわけじゃないの)
人間は生まれつきいいやつだ、と信じて生きるより、自分を含めてみんな攻撃性や嫉妬や厄介な自意識やなんかを抱えつつ、うまくコントロールしたり解放したりしながら理性を持って生きていかねば、と構えていた方がリスクが少なくて済むと思うんだけど。どうでしょう。