快読日記

日々の読書記録

「草色の切符を買って」岸田衿子

2009年06月16日 | エッセイ・自叙伝・手記・紀行
《6/4読了 古矢一穂/絵 青土社 1999年刊 【日本のエッセイ】 きしだ・えりこ》

山暮らしの日々を綴った随筆集。

花ではなく草がメインで、その植物にまつわるエピソードが語られて
…っていうと、凡百の眠たい本みたいだけど、ひと味もふた味も違うんですよ。

詩人の暮らしぶりは、密かな愉しみに満ちているようでもあり、
なんだかこの世でないような寂寞としたかんじもあって、
一度魅入られると逃げられない独特の雰囲気を持っています。
妹・岸田今日子に輪を掛けて浮き世離れしていて、
体の中を風がすーすー吹き抜けるようなおもしろい味がする1冊です。

つい書影を撮るのも忘れてしまいましたが、
白地にいくつもの植物のスケッチがほどこされていて、六○亭の包装紙みたいでした。