快読日記

日々の読書記録

「プロレス『悪夢の10年』を問う」別冊宝島編集部

2009年02月11日 | プロレス・相撲・ボクシングなど
《2/9読了 宝島SUGOI文庫(宝島社) 2009年刊 (2008年に同社から刊行された「別冊宝島1523「プロレス『悪夢の10年』を問う」を改訂して文庫化) 【プロレス】》

71年生まれのわたしは、お茶の間にプロレスがあった最後の方の世代です。
猪木、ハンセン、ブロディ、藤波、長州といったスターに素直にわくわくして、
木村、谷津、小林邦昭、越中あたりの元気に活気づき、
木戸修や星野勘太郎、浜口、大熊の闘いっぷりに泣く――。
強い、弱い、華やか、渋い、面白い、それぞれのポジションがあって、ドラマがあって、
"かっこ悪いことは なんてかっこいいんだろう"的な熱がある。
改めて、古舘伊知郎の功績は大きいと思います。

ところが。
「本当に強いのは誰か」と、みんなでワイワイ騒ぐうちは楽しかったのに、
それをまともに受けて「ガチで」みたいな人が目立つようになって、
牧歌的プロレスファンがマニアに浸食され、プロレスの見方は痩せてしまいました。
イマジネーションと情の欠如。
この本にはとくにそれを強く感じます。
ターザン山本へのインタビューなんか、未熟な子供がおじいさんを責め立ててるみたいで、読んでてしんどいし不毛です。


プロレス衰退にはいくつもの理由がありますが、
見る側が距離感を失ったってこともあります。
近視眼的になり、笑えなくなり、その結果、愛じゃなくなる。

そんなわけで、この本がプロレスの何になるのか、理解に苦しみました。
この種のプロレスマニアがよかれと思っていじり倒し、角を矯めて牛を殺してしまったのでしょう。
「プロレスの死」を実感させられる1冊でした。