先日、北海道平取町二風谷(日高管内)に住んでいる、アイヌ木彫家“貝澤徹”氏の工房を訪ねてきた。
彼は、5月31日の民放テレビ「情熱大陸」に放映されたこともあり、全国から3千本の電話があったそうで(テレビ局調査)、テレビを見た千葉県に住む人は、飛行機で日帰りできて、「鯉」の彫刻を発注していったそうである。
また貝澤は、放映効果による電話の殺到で注文に応じ切れないことを予想し、作品を紹介しているブログを削除したそうだ。当たり前だが、メディアの力をまざまざと思い知らされた。
貝澤にとってアイヌとは、家族の歴史と生活の一部でありながら、そのアイヌの歴史を正確な形では伝えられてこなかった。だからこそ、「この現代において、アイヌとは何なのか」と問い続ける葛藤が、人々の心を揺さぶるのだろう。なお、貝澤徹氏は、息子の義父でもある。
「十勝の活性化を考える会」会長
【参考】
- 2020年6月3日付け「十勝の活性化を考える会」ブログ
アイヌ木彫家“貝澤徹氏”
先日の日曜日、民放テレビ「情熱大陸」で、アイヌ木彫家“貝澤徹氏”を放映していた。貝澤徹氏は、アイヌ文化を守り続けるために日高管内平取町二風谷で、木を彫り続けている。
彼の作品は、イギリスの大英博物館にも展示されており、一昨年、ロンドンなどでアイヌ文化に関する講演も行っている。アイヌの伝統工芸技術を駆使しつつ、故郷に対する愛着と葛藤を現代的な感性で表現している。
トンボや衣服、家族のつながる手などの作品は、世界各地の人々を魅了しており、受注してから納品まで5年もかかる作品もあるという。
来月、白老町にオープンする国立民族象徴空間「ウポポイ」にも、アイヌの入れ墨をした女性を描いた木彫作品が展示される。 (後略)
注2) 貝澤徹
1958年、二風谷に生まれ、工芸家の父(勉)やその仲間の職人に囲まれて育つ。 曾祖父の貝澤ウトレントクは、明治時代に名工といわれた二人のうちの一人。
その曾祖父から引き継ぐ伝統を重視しながら、そこに独自の感性と技術をとけ込ませ、自分らしさやメッセージを表現する、独創的なアイヌアートに精力的に取り組んでいる。ふと気づいたことを題材に作品を創作。代表作「UKOUKU(ウコウク)/輪唱」は、昔のアイヌ民族の入れ墨をした女性の手の写真から発想し、世代交代しながら文化が受け継がれるというメッセージをこめて創り上げた。北海道アイヌ伝統工芸展北海道知事賞ほか受賞多数。「北の工房 つとむ」店主。
(出典:平取町ホームページより)
木彫り大作、作業大詰め 3月に札幌で展示のシマフクロウ
平取の貝沢さん
【平取】町二風谷の工芸作家貝沢徹さん(60)がアイヌ民族の守り神であるシマフクロウの木彫りの大作に取り組んでいる。札幌市が2019年3月、市営地下鉄南北線さっぽろ駅構内の歩行空間に展示するオブジェだ。貝沢さんは「多くの人に親しまれる作品に仕上げたい」と日々、木づちでのみを打っている。
白老町の民族共生象徴空間の20年開業をアピールする「アイヌ文化を発信する空間」に設けられ、同空間では最大のオブジェとなる。貝沢さんは英国の大英博物館に作品を出品するなど高い技術に定評があり、札幌市から今春に制作を依頼された。
作品はアイヌ民族の守り神シマフクロウが空に飛び立つ姿で、高さは2メートル40センチ、左右の翼を胴体に合わせると、両翼は4メートル超となる。原木は平取を流れる沙流川にあった埋もれ木で「いつか大作を制作するために保管していた」という。
貝沢さんにとってこれほど大きな作品は初めて。胆振東部地震で工房内の作品も倒壊する被害を受けたが、原木を立てずに作業をしていたため、シマフクロウ像の倒壊は免れた。「立てていたら倒れて割れ、やり直しだった」と話し、守り神に救われたことに感謝している。
(出典:2018年12月10日付け、北海道新聞 電子版より)
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