明治時代になり、医学者のベルツや動物学者のモース等が日本人の起源に関する研究を行い、その関連で当時「謎の民族」と言われたアイヌについても、その起源について研究がなされた。
その中で有力視されたのがアイヌの「白人起源説」で、白人起源説は欧米の学者だけでなく、解剖学者の児玉、言語学者の金田一、法医学者の古畑等、当代一流の日本人学者の間でも支持され、他の説はほとんど問題にされない状況だった。
なお、私が小学生の時、担任の先生から「アイヌの人々は欧米人と同じ白人ですよ」と教えられ、彫の深い顔立ちや毛深さ等から子供心に納得した記憶があります。これとは別に、旧ソ連の人類学者達は、こぞってアイヌの「オーストラリア(先住民・アボリジニ)起源説」を主張していた。
こうした状況がしばらく続いたが、1966年に国際的共同研究の国際生物学研究事業が始まり、その一部としてアイヌの人種的起源に関する研究グループが誕生した。
研究グループには、人類学者・遺伝子学者・解剖学者・血液学者等が参加し、本格的なアイヌ研究が開始された。数年にわたる調査・研究の結果、アイヌはアジア系人種に属し、しかも縄文人に近いことが判明、「白人起源説」や「オーストラリア起源説」は、採用できないとの結論にいたった。
その後も、欧米や中国等の人類学者による研究が続けられたが、それらの研究結果でも、「白人起源説」や「オーストラリア起源説」は否定され、最近は「アイヌのアジア起源説」がほぼ定着している。
東京都多摩市在住 「十勝の活性化を考える会」会員
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます