ときの備忘録

美貌録、としたいところだがあまりに顰蹙をかいそうなので、物忘れがひどくなってきた現状にあわせてこのタイトル。

ワンウォッチング

2006-02-14 | 砂時計
通勤路の途中に「○○万国鳥獣店」という古めかしいネーミングのペットショップがある。
「万国」の「国」という字は昔の字体で書かれている。
お店は狭く、かなり汚い。
扱っているのは、犬、猫、鳥。
お店に入ったことはないので、他に何かペットを扱っているのかどうなのかは知らない。
交差点に位置しているので、信号待ちになったとき、中をのぞく。
ペットショップといいつつも、犬、猫には偏りがあって、高級品種(であろう)ペットはいないようだ。
店主の趣味なのか、犬なら柴犬か雑種、きばったところでレトリバーぐらい。
猫も「たま」とか「ミケ」と名づけられるような普通の猫しかみかけない。
3段くらいに重ねられたゲージには、どこからか持ち込まれた子犬や子猫が常に入れられている。
朝と夕方の二度のえさの時間になると、お店の中はにぎやかになる。
店主がえさをステンレスの銘々皿に盛り分け始めるのだ。
どの動物も一斉に店主の方を向き、ゲージにとりついてわんわん、きゃんきゃん、ミャーミャー鳴いている。
いつもの光景が始まったな、と思いつつみていると一匹の子犬は、他の犬や猫のようにゲージに張り付いたりしないで、おとなしく座ってゆったりと店主の動きを見ているような、見ていないような。
たまたまなのか、その犬だけは一匹でゲージにいれられている。
真ん中の段におかれた、その犬のゲージは上下の犬たちの激しい動きで、ガタガタ揺れている。それでも、その犬は動じることもなく、おとなしく座っている。
その有様がとても可愛らしく、いとおしく、
「もし、私がこの中で選ぶなら、きっとこの犬にするだろうな。」と思った。
すると、そこへえさを載せた皿を持って、店主が現れた。
もう、どの犬も猫も、大騒ぎ。
私は店主がどういう順番でえさをやるのか、じっと見守った。
すると、その店主は迷わず、その一番おとなしい犬のゲージを開け、えさの皿を滑り込ませた。
そこでようやく、その犬はうれしそうにちょこっとしっぽを振って、えさの皿に近づいた。
私も思わず、心の中でガッツポーズ!

自分が媚を売るのができないこどもだったからか、なぜかそういう同類に惹かれてしまう。
だが。
今年も一個もチョコをもらえなかった息子に、ちょっとは媚を売ることを教えたほうがいいかもしれないと思う私は馬鹿な親?

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