銀の匙をくわえた子

息子が帰省してきた。

とにかく、彼が家の中にいると、かさ高く、それだけで家じゅうの温度が３度くらい上昇する気がする。
お盆が近づいても、うんともすんとも言ってこないので、今年は帰ってこないのかな、
と思っていたら、
「木曜に帰るわ」と一言だけの連絡。
まぁ、母親としてできることといえば、好物を食卓に並べることくらい。
で、何が食べたいのか聞けば
「あっさりしたもので」
と、これまた一言。
大好物だった、肉じゃがや、牛肉の時雨煮なんかかしら？
と思えば、肉は普段よく食べているので、魚がいいとおっしゃる。

お盆中は、どこのスーパーもお刺身は、養殖物や解凍した冷凍ものばかりで、
地元の魚は手に入らない。
お盆を少し過ぎたところなので、何か手に入るかしら？
と、思っていたら
オコゼのお刺身、生タコのお刺身、小紋ふぐのお刺身などなど、
この最近は、普段の売り場でも手に入ることが少なくなった種類の魚が目白押し。
なんとまぁ・・

大好きな果物も、すいか、なし、ブドウ、桃・・
どれも、なぜかおびき寄せたかのように、周りからいただきもので集まってきた。
ほんまに・・
この子は、ほかのことの運は弱いのに、こと食べることに関する運だけは強いわ。
これは、生まれた時に買った銀の匙のお蔭だろうか・・
そんなことを思い出す、今年の夏であった。