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教育基本条例下の辻谷処分を撤回させるネットワーク

憲法に反する「君が代」条例ならびに公教育の理念に反する大阪の新自由主義的教育諸条例の廃止を求めます。

中国より帰国しました

2017-07-06 12:47:46 | 当該より
2013年3月定年退職の後、私は希望していた再任用を拒否され職を失うこととなりました。この時の悔しさは今でも忘れられません。2011年全国で唯一制定された大阪「君が代」条例のもと、大阪の教育は、まるで「強いもの」に従うのがあたりまえという価値観を子どもたちに学ばせることを「目標」にしたかのようです。そのとき、「不起立」の教員、つまり条例があろうが、命令されようが、あくまで教育における「君が代」強制に反対し続ける教員は目障りであったのでしょう、徹底的に排除されました。 

このことからだけでも、条例の目的が、子どもたちに「君が代」を起立斉唱させることにあることは明らかです。そして、子どもたちに服従の姿勢を学ばせることが大阪に限らず現在の為政者の狙いなのでしょう。学校がひとつの価値基準を押しつける場となることに我慢ならないと思いながら、私は、翌年2014年9月、NPO市岡国際教育協会の紹介により、中国大連海洋大学で日本語教師の職を得ることとなりました。そして、このたび、3年の契約更新を終え中国より帰国いたしました。

大連での暮らし、中国の学生たちと共に過ごした時間、日本語を教えにいきながら、私は中国の人々から多くのことを学ぶことになりました。国家と個人の問題は、「君が代」問題のはじめから、私の中に問題意識としてありましたが、そのことについても日々考えさせられた暮らしでした。中国の「愛国」教育とはどのようなものなのか?抗日の歴史はどのように受け継がれているのか?毛沢東や共産党に対する思いはいかなるものか?日本や日本人に対する若者たちの思いは?等々。私が見たり聞いた話は断片的なものではありますが、日本にいて、日本のマスメディアやネットメディアが伝えるところを見聞きすることとはおよそ違いました。自分がいかに中国で暮らす人々のことを知らなかったか、思い知らされることになったのが、この3年間の生活であったともいえます。

また、中国の人々から感じる寛容性は、逆に、現在日本社会で多くみられる不寛容性を再認識することとなりました。まだ、うまくお伝えすることができませんが、いずれ何らかの形でみなさんに聞いていただきと思います。そして、今後の私のもう一つの夢は、中国の若者たちと日本の若者を繋ぐことです。これもまだ何ができるかわかりませんが、いろんな方々の力をお借りしながらやっていきたいと思っています。

さて、裁判の状況は大阪ネットニュースに記載させていただきましたが、「君が代」減給取消訴訟控訴審に提出いたしました、早稲田大学の西原博史さんの鑑定意見書を、今後みなさま方と、「君が代」強制に抗する運動のなかで共有していきたいと考えています。(辻谷博子)

※Tネット資料集Ⅴ西原博史鑑定意見書全文収録 ¥300
お申し込みは、zaza0924@yahoo.co.jp 080-4562-7603までご連絡ください。


どう考えても、大阪「君が代」条例は憲法違反!   

2017-06-04 21:31:44 | 当該より
                         
(1)大阪地裁内藤でたらめ判決
8月31日、辻谷「君が代」不起立減給処分取消訴訟高裁判決が出ます。昨年7月の大阪地裁内藤裕之裁判長の判決には、正直のけ反りました。あれは、奥野「君が代」地裁判決に続く、大阪「君が代」トンデモ判決第2号といえるものでしたが、それ以降も、内藤裁判長による不当判決は次から次へと続きました。私は、司法に幻想は抱いていませんでしたが、あれほどでたらめで、予断と偏見、悪意に満ちた判決に、本当にこの国はどうなってしまうのだろうと愕然とする思いでした。

(2)内藤判決は司法への冒涜
即日控訴をし、あまりに酷いトンデモ判決を多くの人にも知ってもらおうと、『どうなってるんだ大阪地裁!~内藤判決の耐えられない軽さ~』と題したビラを裁判所前でも撒きました。なにしろ、審理が継続中であるにもかかわらず、「人事委員会は戒告処分(入学式時)を承認する裁決を行った」と書いてあったのですから。私は、今でも、裁判長自らが司法を冒涜した判決だと思っています。

(3)高裁田中裁判長は内藤不当判決をどうするか?!
さて、大阪高裁田中敦裁判長はいったいどのような判決を出すのでしょうか。これまでの司法の状況をみれば、期待はできないかもしれませんが、切に憲法第76条を忘れないでほしいと願うばかりです。そこには「裁判官は、その良心にしたがい…職権を行い…」と明記してあります。みなさんも、どうか、8月31日午後2時、大阪高裁82号法廷に傍聴に来てください。

(4)憲法学者西原博史さん
控訴にあたって、私はぜひとも早稲田大学憲法学者西原博史さんに鑑定意見書をお願いしたいと思っていました。西原さんも大阪の状況に危機感をもたれていたようで、即決で引き受けていただき、素晴らしい鑑定意見書を高裁に出すことができました。西原さんは、憲法19条研究の第一人であり、20年にわたり続いている「君が代」裁判についてたえず発信して来られた方です。

(5)意見書―大阪の条例は憲法19条の直接的侵害である
意見書では、裁量権の問題については、明快な論理でその逸脱を立証、比例原則に反する評価を前提としており効力を有し得ないとまで断じていただきました。
そして、「君が代」条例、職員基本条例、教育長通達に基づき私が受けた減給処分は、「君が代」条例における特定思想に対する意図的攻撃であり、憲法19条に対するこれまでの最高裁判断は当てはまらず、これは直接的侵害であり違憲であると述べてくださっています。

ここでは、特に結尾の部分を紹介します。
「教職員の思想・良心の自由が憲法19条によって保障されたものであり、政治的多数派のその時々の恣意によって好き勝手に拘束されてよいものであり得ないことは確実な法原理である。にもかかわらず、有無を言わさず教職員の思想を捻じ曲げようとした策動の具体的な帰結が、本件減給処分である。この本質に気づいた時、大阪発で日本全体を害しようとする危険な傾向の発露であることが見えてくる。本件の処理を間違えると、21世紀の日本で憲法に保障された個人の基本的人権は、暴力的なコンフォーミズムの中で有名無実化し、空洞化する動きを積極的に追認する意味を持ちかねない、危険な岐路に我々は立たされている。」

まさにその通りではないでしょうか。昨今の政治がどれほど教育に介入しているかをみても、その危険性は肯けます。

高裁判決がどうあれ、私は、大阪の「君が代」条例の不当性、違憲性を訴え続けていくつもりです。政治家や、行政、司法に携わるものがまるで自ら差別を先導しているような時代に、最も大切なのは個々人が声をあげることだと思います。どうか、今後ともご支援・連帯をよろしくお願いします。

厚労省保育所保育指針改正告示を憂える

2017-02-15 23:10:14 | 当該より

昨日発表された厚生労働省の保育所保育指針改正案、国旗・国歌を保育所にまで持ち込む話、驚いたには驚いたが、自民党憲法改正草案からみれば、既定路線、当然のことなのかもしれない。

なにしろ、2012年4月に発表された自民党憲法改正草案では、新たに国旗・国歌の条項が設けられ、国民に尊重義務が課せられているのだから。そこから考えれば、できるだけ小さいときから刷り込んでおく必要があるのだろう。

だが、これはとてつもなく恐ろしいことなのだ。国旗・国歌は論理ではない。国家のシンボルとして身体に情緒として刻印されていくわけだから、マインドコントロール以上のことだ。

私は1952年生まれだが、「日の丸」「君が代」は実は幼い頃、ウタを通して心身に浸透した。

幼稚園で習った「白地に赤く 日の丸 染めて、ああ美しい日本の旗は」シンプルなメロディと歌詞は今でも身体の奥に残る。それが私の心を誤らせなかったのは、その後の理性だ。歴史を知るなかで、ナショナリズムの怖さを知ったからだ。

しかし、これからの時代はどうだろうか。厚労省の保育所保育指針改正案が通れば、徹底的に「日の丸」「君が代」は小さな子どもたちに強制されることだろう。それがナショナリズムの核となり、グローバリゼーションの時代における国民作りの一役を担うわけである。小学校でも、中学校でも、高校でも。儀式のたびにある種の厳粛性をもって「日の丸」と「君が代」が登場する。それらは間違いなく蜘蛛の糸のように個々人を絡め取っていくに違いない。たかがウタハタ、されど「君が代」「日の丸」は国家の象徴なのだ。ニッポンジン作りには欠かせないものであるに違いない。ますますニッポンジンは排他性を帯びていくに違いない。

かつて文部省は学習指導要領要領を武器に「日の丸」「君が代」を強制した。それは今も続いている。厚労省も保育所保育指針を武器に間違いなく保育所に強制するようになる。

なにしろ、自民党は、国民に「日の丸」「君が代」を尊重する義務を課したいのだから。なぜか、為政者にとって「日の丸」「君が代」ほど有益有効なツールはない。それを利用すれば、一人ひとりの人間を重んじることより、束ねる価値観すなわちナショナリズムが優先する。それがどんなに為政者にとって好都合なことか!

参考:2012年4月27日発表(2016年現在最新版)の自民党憲法改正草
第3条(国旗及び国歌)
1 国旗は日章旗とし、国歌は君が代とする。
2 日本国民は、国旗及び国歌を尊重しなければならない。

参考:保育所保育指針改正告示より








2014年に今日、「君が代」条例は憲法違反と訴えを起こしました。

2017-01-20 07:59:18 | 当該より
今から3年前の1月20日、「君が代」不起立減給処分取消を訴えて大阪地裁に提訴しました。以来多くの方々からご支援いただきまことにありがとうございます。

2016年7月6日の判決に即日控訴をし、高裁での審理が始まります。日本で唯一、いやきっと世界中探しても大阪だけだと思いますが、「君が代」を立って歌えと強制する「君が代」条例の不当性を多くの方々に訴えていきたいと思います。

提訴時よりもますますたたかう気は高まっています。
今後ともご支援・連帯をよろしくお願いいたします。

写真は2014年1月20日提訴時のものです。