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『LAMB ラム』…ネイチャー・スリラーって何?

2022-10-09 00:12:11 | 映画-ら行

 『LAMB ラム』、バルディミール・ヨハンソン監督、2021年、106分。アイスランド、スウェーデン、ポーランド合作。

 第74回カンヌ国際映画祭、ある視点部門受賞。

 

 怖いのはちょっと苦手で観るか迷っていたけど、予告に釣られて観に行った。

 

 アイスランドの大地が、地に沿うような視点から撮られている。

 冠に雪を抱く山々。広がる牧草地。軋むような暗闇に、白夜。灰色の動かない空。

 横に動く霧。羊達の足元の泥。

 

 そんな景色を見ていると、「何か」が起こっても不思議ではないような感覚になる。とは言え、羊飼いの夫婦はいたって普通の生活を送っている。冒頭から「何か」の気配が近づくけれど、最後までそれは明かされない。

 アイスランドの大地と、扉を抜ける風と、唸り声。

 

 この映画をギリシャ神話の精霊サテュロスに結びつけ、「性と誕生の物語」と解釈する人もいた。説得力があるし、実際そうなのかもしれない。

 ただこのサテュロスは、人間を見向きもしないし、冷たく尊大な眼で世界を観察し、ただ己の摂理を成して行く。

 

 この恐怖の原因を大地のみに負わせるのは、どうも無理なのかもしれない。

 なぜなら並行して描かれる人間の思念。自然はむしろ、それを鏡映しにしているようなのだ。

 

 

 製作総指揮には、主演のノオミ・ラパスを始めとした沢山の名前があるが、ハンガリーの巨匠、『ニーチェの馬』のタル・ベーラの名前もある。

 ヨハンソン監督は、師であるタル・ベーラの名のおかげで資金集めがスムーズに出来たとも話している。

 カンヌで上映される数日前、完成作を観たタル・ベーラは、笑顔で「ハッピーだった」と言ってくれたそう。

 

 

 畏れ多いことではあるが、怖い映画を観て、笑顔で「ハッピーだった」と言える人に、私もなりたい。出来ることなら。

 2時間弱釘付けで、たっぷり引き込まれはしたけど。いや、怖いから。

 そう言えば、ゴーォォォという低音が響いた際、座っていた椅子が小さく震えた。

 4DXではないので、ただ振動が伝わったのだろうけど。

 

 

皆でサッカーを観ているのかと思いきや、ハンドボールだったシーン↓大興奮の3人。

子羊に反抗期はない。↓そうなのか?

 

 

 

 

 

 



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