ジェフ・ニコルズ監督、マシュー・マコノヒー、タイ・シェリダン、2012年、アメリカ。
2012年カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品、2014年インディペンデント・スピリット賞、ロバート・アルトマン賞。
ご都合主義的なところは、寓話の形をとらない寓話なのだから、それでいいと思う。だから楽しいということもある。
じゃあ何が描かれていたかと言えば、私の印象に残ったのは、「男-愛」である。男愛。男同士の愛情というか。友情なんだろうか。
舞台設定が好きだ。ミシシッピー川流域の田舎町。都市部を映せば、とたんに画面は淋しくなる。どこにでもあるような、何の変哲もない、がらんとした田舎の町。それが主人公らの住む河岸に目が移ると、湿度や光や闇が復活し、南部の鬱蒼とした森、蛇、魚や貝を獲り売る人々、木の上のボートまである。
この映画では、外へ出て行こうとするのは男ばかりだ。
追われて国外へ逃げようとする男、すでに河岸の生活という外部に出てきた男、年齢という秩序を越えようとする男。中洲への冒険。
それに対して、女は既存のシステムを破ろうとはしない。むしろそれを望み、安住しようとする。
それがどういう意図なのか分からないけど、そういう映画だった。
私は男でもないし、少年でもないけれど、この映画は好きだ。
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