tokyoonsen(件の映画と日々のこと)

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『ハッシュパピー バスタブ島の少女』

2013-07-13 19:55:11 | 映画-は行
 2週間ほど前に観てから、ずいぶん日が経ってしまった。

 面白い、と、面白くない、の間くらいだった。

 アメリカ、ルイジアナ州の南端で撮影されたという。
 低地で温暖化の影響を受けやすく、またハリケーンの来襲や経済格差など、当地の現実の問題を根っこに置き、そして現実の土地を舞台にして、神話的な物語が語られる。
 数々の賞を受賞した、ハッシュパピー役の女の子がほんとうに力強くかわいらしいので、まるでジブリのヒロインを見ているようでもあり、まさに神話的な強度のかわいらしさと言った感じ。
 
 面白かったのは、このバスタブ島の住人は「壁の向こう側」と完全に切り離されている訳ではなく、独自の生活をしつつも、何かしらの経済活動をし、住民登録され、「壁の向こう側」と同様、流通の一部にいるということだ。ハッシュパピーのぶかぶかの長靴を見ながら、そんなことを思っていた。バスタブ島の祝祭性と生命力は、切れ切れに表されているので、ドキュメンタリー風でもあり、幼い少女の記憶の中とはこうゆうものかもしれないな、と思う。
 くっきりと登場するのは、巨大イノシシのような有史以前の動物、「オーロック」。もちろん「架空」で、でも細部まで本当に存在するような存在感だ。

 オーロックに象徴される、はっきりとした輪郭を持つ想像力の世界と、一つに繋ぎ切れない現実の世界を行き来しながら成長して行く、少女の物語という感じだった。

 監督、共同脚本、音楽、ベン・ザイトリン。2012年、アメリカ。第65回カンヌ国際映画祭カメラ・ドール受賞、第28回サンダンス国際映画祭グランプリ(審査員大賞)受賞、などなど。


    

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