旧店舗時代にお買い上げ頂いたKZ1000MKⅡ(A3A)です。
至って綺麗な状態でありますが、納車前作業として 外装NEWペイント、メインハーネス交換、MFバッテリー/ICレギュレーター化、電球類全交換、キャブレター全分解フルオーバーホール、シリンダーヘッドカバー、カムプラグ交換(バルブクリアランス点検含む)、エンジンフラッシング:MOTULエンジンクリーン、オイルエレメント交換。エンジンオイル:MOTUL300V 15W50交換、ドライブチェーン/ドライブスプロケット/ドリブンスプロケット530化、前後タイヤ交換(チューブレス化)、ワイヤー類全交換 等を行い納車させていただきました。
しばらくは問題もなく乗っておられましたが、モリワキの限定版の集合管を装着しフットワークが良くなったせいかもう少し回転のツキを良くしたいとの事で、点火系の変更と車軸3点をクロモリ化し外乱に対し強化をすることになりました。
お預かりした時点でステムベアリングに違和感があるのを発見し、早速前輪を上げ確認したところ引っかかる部分があり急遽直す事になりました。ステムを分解しボールを取り去りレースを確認すると赤点の部分に打痕があります。
ロアーステムからレースを抜き出し、フレームからも打ち出し、部品を交換します。
上下レースにボールを乗せグリースを塗布し分解した時の反対に組立てます(ボールは上下で違うので数を間違えない様に)。上下ステム組み込み、フォーク/ホイール取り付け、クロモリアクスルシャフトまで組み立てました。
次に、スイングアームピポッドシャフトとリアアクスルシャフトをクロモリ製に交換です。カジり防止にネジ部にスレッドコンパウンドを少量塗り、規定トルクで締め付けます。
ここでアクセルの戻りが悪いとリクエストがあったので点検作業となりました。
実は入庫前にお客様ご自身でハンドルバーをロータイプに交換され、スロットルワイヤーが長いのでノーマルより10cmショートのワイヤーを取り付けたとの事でした。実際スロットル操作をすると引きは問題ないのですが戻す際にゆっくりとしか戻りません。これではエンジン回転が落ちませんので危険です。
スロットル取り回しとかワイヤーの取り付け部の確認をしました。スロットルワイヤーが10cmも短いとUの字に折り返すアールがきつくて戻る時内部抵抗が大きくなり、結果として戻らない症状になります。経験則でワイヤーのアール形状とワイヤー長さを検討したのですが、右画像の様にあと5cm長い方が丁度良い長さと判断しました。
Z1(Z1000系の同じ)より5cm短いワイヤーとなると、Z1-Rのスロットルワイヤーが該当しますが、既にメーカー欠品なのでMRS製の5cmショートに変更です。注意点として、スロットルを目一杯に戻した際にキャブ上部のリンケージとダンパー(赤点)の隙間がなく接触した状態になる様ワイヤー調整をして取り付けます。
最後に点火強化でウオタニSPⅡに交換し終了です。
最後に点火系を強くしてもキャブの燃調も合っていませんと効果が出ません。Z系は乾式エアーフィルターを使っており、エアーブローで清掃しつつ長年使っていると目詰まりしてエアー量が不足します。定期的に交換をお奨めします。
左:長年使用した状態 右:新品