オークの木の下で

成城7丁目の小さなお店「ティンラ成城」の日々を綴っております

ご報告…。

2023年01月19日 18時46分00秒 | お知らせ
お客さま
お取引先の皆さま
友人 親戚の皆さまへ
 
毎度ありがとうございます。
店主1号が1月10日に急逝しましたことをご報告致します。
 
自宅近くを自転車で走行中、巻き込まれたマスコミ報道されてしまうような大きな交通事故でした。
 
延べ300名近い弔問客の皆さまに見送られ1月17日に無事にお別れ会が執り行われましたこと、本当に感謝しております。
 
最期のラブレター、喪主挨拶全文です。
 
本日はお忙しい中、お別れ会にご参列頂き、誠にありがとうございました。
 
事故に遭った1/10の午前中、私は店で仕事をしておりました。そこへ今年のお節を召し上がって下さったお客様が来店し、直接本人が聞いたら喜ぶだろうなというお褒めの言葉を頂き、早く家に帰って伝えたいな、と思っていたところ、警察からの一報が入りました。
 
その瞬間から今までまだ夢を見ているような現実を受け止められずにいます。
 
彼は一言で言いますと『愛の人』でした。
彼が23歳でお付き合いを始めてから一緒になるまで毎日欠かさず電話をくれ、「早く結婚したいなぁ」というのが口癖でした。
結婚式では最初から最後まで花嫁のお株を奪いずっと泣き続け、結婚してからは一日に一回は「愛してる」と言葉に出してくれるような人。
仕事中はミスチルをBGMで流すことが多かったのですが、Signという曲が流れると♪ありふれた時間が愛おしく思えたら それは愛の仕業と小さく笑った♪というフレーズをいつも私の顔を見ながら嬉しそうに口ずさんでおりました。
 
彼の将来の夢は「かっこいいおじいちゃんになること」
結婚する時の約束は「たった一日でも良いから、私より長生きすること。」
 
夢も約束も果たせずに急に私たちの前からいなくなってしまいました。
 
亡くなる前日、1/9は娘の成人を祝う会でした。高校三年生の息子も受験生ではありますが、成人に該当する学年であり、子供たちの成人と娘の晴れ姿を確認してせっかちな彼は安心して逝ってしまったのでしょうか?
 
彼との結婚生活はジェットコースターのような23年でした。
28歳で代々木公園に飲食店を独立開業しましたが、スタッフには恵まれ、お客様はいらっしゃるものの経営自体はなかなか上手くいかず、35歳の時に一度だけ「お店辞めようかな」と言ったことがあります。そんな時、小さな子供たちを抱えていたものの「まだ何も結果残していないじゃん」と背中を押してしまったのは私。彼の夢は私の夢でもあり、彼を成功へ押し上げるのに私は必死でした。戦いの場を成城に移してからの10年は代々木公園のレストランで蒔いた種が花開き、全てのことが順調そのものでした。
 
でも、それ故に働き過ぎてしまいました。常々、伊豆の100歳を超えるおばあちゃん、伊豆から来てくれた弔辞を下さった親友の広樹くんに特に会いたがっておりました。
「広樹から山下はずっと親友だって思ってる、って言ってくれたんだ」酔っぱらいながら嬉しそうに話しておりました。大好きな育ててくれた伊豆の海を見せてあげられなかったこと、後悔ばかりが募ります。
 
私たち家族はパパの愛に包まれて日々を過ごしておりました。その愛は私たち家族だけに向けられているものではなく、そして親戚、友人だけではなく、関わる全ての方に向けられているものだと改めて感じました。
それはお仕事関係で関わる皆様が、今回のことで少なからずご迷惑をお掛けしてしまう案件についても事情をお話すると涙してくださる方や、「山下さんには大変お世話になった」と逆に力になってくれようとする方、今日の会には必ず調整して来たいとおっしゃって下さる方など、それは想像を超えるほどで、「やっぱりパパは凄いね!」と思うことばかりで彼が誰に対しても一つ一つ丁寧に皆様と向き合ってき来た結果なんだろうなと思っております。
 
私たち夫婦はいつも一緒でした。
 
だから今はただ寂しい。ただ傍にいて抱きしめたいです。
 
どんな形でも良いから助かって欲しかった、私は、手足をもぎ取られてしまったような感覚で明日からどう歩いて行けば良いのか、それすらわかりません。
 
成城の桜並木、鶴川駅界隈、家の中、一緒に見ていた日常のどの景色を見ても涙がこぼれ、朝が来るのが怖くて夜暗くなるのも震えが来るほど怖いです。美味しかった食事が美味しく感じるようになる日は来るのかな?叶うなら私も一緒に逝きたかった、そんな思いです。
 
でも、私には彼の遺してくれた二人の宝物があります。子供たちを立派な社会人にすることが遺された今後の私の使命なのかな、と今は思っています。
 
彼のもう一つの夢、ミスチルの櫻井さんにお会いすること、それは私が生きている限り可能性はゼロではないので、模索してみたい、その為に、ジェットコースターの続きは大変だけれど、速度を落としてしばらくの間は乗っていけたらな、と思っています。
 
ご参列下さった皆様、本日はお忙しい中、本当にありがとうございました。皆様も隣にいるパートナー、大切な人を今まで以上に大事にしてください。そしてこんなに悲しい思いを決してさせないようにしてください。
 
息子に先立たれた山下の両親も心配です。どうぞ皆様、何かあれば力になってやってください。
 
彼は賑やかな席が大好きでした。私も寂しくて仕方ないので、もう今までのような美味しい料理は出てきませんが、我が家にもどうぞ遊びにいらしてください。
 
そして、カッコよくて、優しくて、頭が良くて、何でも出来て、人たらしなちょっとお調子者の面白い彼をたまには思い出してやってください。
 
「カズ、愛しています。たくさんの愛と幸せをありがとう」
 
2023.1.17 
 
 
しばらく不定期ながらお店は守って参りたいと思います。
地元の皆さま、寂しくて仕方ないので、お近くお通りの際は声かけてくださいね。
 
主人と生前関わりのありました皆さま、本当にありがとうございました。
 
どうぞよろしくお願い致します。
 
店主2号 
 
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