「錯綜する思惑」
衣を脱がした酔菊は、白娉婷の傷口が塞がっていることを確認する。そして薇婭と一緒に、娉婷を薬湯へ入れようとする。しかし、うまく運ぶことができない。部屋に入ってきた楚北捷が娉婷を抱き上げ、慌てて酔菊は「嫁入り前の娘です」と娉婷の体に衣をかける。「娉婷は私の妻だ」と言う北捷。「妻?」と酔菊は驚く。
娉婷を薬湯に入れた北捷は「時の目安は?」と聞く。酔菊は「線香1本分です」と答える。北捷は酔菊と薇婭を部屋の外へ出し、1人で娉婷の世話をする。娉婷の髪をすく北捷。
寝台に娉婷を寝かせた北捷は「そなたを忘れると?娉婷よ、言葉が足りぬぞ。なぜ勝手に終わらせるのだ。私だけ生き残れと?」と言い、娉婷の手に口づけをする。そして“そなたがいないのに、どう生きろと言うのか”と思った北捷は「言うは易い。私の進むべき道を示してくれ」とつぶやく。
白蘭。朝議で「一日も早く白蘭にお世継ぎを」と耀天皇女に訴える陸栄澤。貴丞相は「陸栄澤よ、皇女様は尊き御身。幾度となくお世継ぎをせかすのは無礼であろう。まだお若いのだ。必ずや皇子を産んでくださる。それまでは、われら臣下が皇女様を補佐すればよい」と言う。それでも陸栄澤は「しかし今だに皇女様は駙馬をお選びになっていない。しばらくは婿探しに専念なさるべきかと。民を安心させるためにも、お世継ぎが待たれます」と話す。
「皇女様、それならば駙馬に推挙したき者がおります。愚息である中軍将軍・貴炎です。幼き頃、皇女様とは共に遊んだ中。こたびもご帰国をお迎えする役目を買って出たのです」と言う貴丞相。息子の気持ちは分かります、ずっと皇女様をお慕い申し上げておるのです、と。すぐに貴炎はひざまずき「初めてお会いした時から、お慕い申し上げております」と言う。
皇女が困っていると「拝謁を願う者が」という知らせが。「何侠と称しています」と聞き、嬉しい皇女は「呼べ」と命じる。
入ってきた何侠は「耀天皇女、遅くなりまして申し訳ございませぬ」と言う。そして「お伝えすることがあります。何侠は危難のさなか皇女と出会い、驃騎大将軍に任ぜられました。ひと目で心を奪われるは必至。ゆえに敬安王家に伝わる家宝を携えて求婚しに参りました」と言う何侠。貴炎は「軽口をたたくとは何事か。成敗してくれる」と何侠を蹴ろうとする。その足を手で止め、何侠は肘で貴炎の腹を殴ってしまう。
「何侠の素性を調べさせましたが、こやつは燕の謀反人です。皇女とは、まるで釣り合いませぬ」と言う貴丞相。重臣たちも揃って反対するが、皇女は「何大将軍の申したとおり、雲安に戻る前に出会った。何も隠し事はない。大将軍の身分や境遇、人となりについて、よく承知しておる。また驃騎大将軍に任じたのも、他でもない私なのだ。目下、白蘭は国情が揺れ動いている時であり、晋、燕、涼のすべてから狙われていると心せよ。数々の輝かしい戦功を立てた何大将軍ならば、得難き人材ではないか」と話す。そして「かような者をわが国に迎えることは、白蘭にとって喜ぶべきであろう。一生に関わる大事は己の心に従って決めたいもの。ゆえに今日ここで皆にはっきりと伝える。何大将軍とは互いに心を通わせておる。この求婚に応じよう」と言う皇女。
皇女は何侠に「驃騎大将軍・何侠は勇猛にして実直な好人物。わが駙馬とする。共白髪まで添い遂げよう。返答やいかに」と言う。「願います」と言う何侠。
隠れ家に来た時、廊下で「白さんを着替えさせた時に、この文を見つけました」と酔菊から“楚北捷様へ”と書かれた文を渡されていた北捷。その文には“北捷様へ。この文が届いた頃には、私は生きていないでしょう。罪人の娘として不自由な身の上でした。北捷様を無実の罪に陥れました。それでも平安無事をお祈りします。北捷様より愛された思い出を胸に旅立ちます。どうか、ご案じなきよう。天下を奪う力と民を思う心を兼ね備える方よ、敬服すると共に憂えておりました。幾度も私のために傷つかれた。浅学非才の身ながら、北捷様の平穏無事をお祈りします。私のことはお忘れください。お幸せに”と書かれていた。
夜も更けた頃。張文征は李太医が集めた6人の女と会う。女たちを下がらせた後「李太医の見立てでは、皆が男児を産み落とせると?」と聞く張文征。李太医は「全員が産むとは限りませぬが、初めてみごもるのです。6人のうち誰かが産むはず。尚書様、ご安心ください」と答える。張文征は「見事に成し遂げれば、盤石な地位を築くであろう。女には十分な手当を与えよ、外に漏れぬように」と話す。そして、われらの進む道を邪魔する者は、排除せねばならぬ、と言う。
娉婷のことを想いながら北捷は笛を吹く。寝台で寝ていた娉婷の指が動くが、誰も気づかない。
酔菊は曲が終わると拍手し「すてきな音色です。お二人のなれ初めを聞いても?」と言う。「苦難の道だった」と言う北捷。酔菊は「どんな苦しみも、いつかは終わります。こんなに愛される白さんは、天下一の幸せ者でしょうね。私だって幸せになりますよ。いつか愛する人と出会えるはず」と話す。その時、矢が飛んでくる。
現れた刺客を、北捷は笛を使って倒していく。笛が壊れたところに駆けつける楚漠然。漠然が剣を投げ、北捷は受け取る。北捷と漠然は2人で刺客と戦うが、1人だけ逃げてしまう。
「狙いは私だろう。秘密は漏れておらぬ。潮時だな、他の場所に移すぞ」と北捷が言う。酔菊が「病人をどこへ移すのですか。動かせる状態ではありません」と言ったところで、娉婷のいる部屋から大きな音がする。
急いで北捷たちが部屋へ駆けつけると、苦しそうな娉婷が床に倒れていた。すぐに抱き上げ、寝台へ運ぶ北捷。娉婷が吐血し、酔菊は動揺してうまく治療ができない。北捷は「冷静になって師匠の教えを思い出せ」と言う。
“白娉婷は楚北捷の手にかかり、晋の皇宮にて死す”という張貴妃の文を読む何侠。愕然としながら何侠はその文を燃やす。そんな中、婚礼衣装を持った冬灼が来る。様子のおかしい何侠に「若君、どうしましたか」と冬灼が尋ねる。何侠は「娉婷が死んだ。晋の皇宮で楚北捷に殺された」と話す。驚いた冬灼は持っていた婚礼衣装を落とし「ありえませぬ。愛し合っていたのでは?」と言う。そして部屋を出て行きそうになる冬灼。
何侠が「どこへ行く。己の本分を忘れるな」と止めると、振り返った冬灼は「連れ帰ります。どこかに捨て置かれたまま、葬儀すら行われぬのです。捜しに行きます」と言う。さらに、娉婷さんが殺されたなら敵討ちを、と。しかし何侠は「よさぬか」と一喝する。
駙馬の屋敷の前で、何侠は婚礼衣装を着た皇女を出迎える。
皇女は何侠の着替えを手伝おうとするが、それは許されない。ようやく2人きりになり、寝台に何侠と座った皇女は「世話をしたかったわ。今まで誰かに仕えたことがないの。けれど今夜は違う。私は夫に尽くしたい」と話す。「お気遣いなきよう。身に過ぎた良妻を娶り、私は果報者です。何も望みませぬ。すべて私にお任せを。皇女のためならば戦に赴き、天下を取り、この手で皇帝の冠をお載せします」と言う何侠。皇女は何侠に口づけをする。
皇女と何侠が寝ていると「時は来り。皇宮にお戻りください」という声が。皇女が「外で騒ぐのは何者か」と尋ねると「私です」という貴丞相の返事が返ってくる。
皇女が出てくると、貴丞相の他に重臣たちも来ていた。「何の真似だ」と聞く皇女。貴丞相は「白蘭を統べる者、終夜、皇宮を離れるべからず。国の決まりです」と言う。朝の政務に間に合うよう、お送りいたしますと。
怒って部屋に戻った皇女は「いましがた…」と何侠に説明しようとする。しかし「聞こえました。どうかお戻りください。朝議にてお会いできます」と言う何侠。皇女は「けれど婚儀の夜くらい、長く共に過ごしたかったわ」と謝る。何侠は「夫婦となったからには、助け合いましょう」と言う。
北捷の名を呼びながら目を覚ます娉婷。しかし意識が朦朧としている娉婷を置いて、北捷は部屋を出て行ってしまう。
追いかけてきた酔菊に「娉婷には言うな。助け出したのは則尹と漠然だと伝えよ」と言うと、北捷は馬に乗って隠れ家を後にする。
ーつづくー
何侠はとうとう皇女と婚礼を。
でも何侠の心には娉婷がいて。
こんなに傷つくくらいなら、どうして張貴妃の条件を受け入れてしまったんだろう…(;´д`)ノ
娉婷が亡くなったと聞いた時の冬灼も切なくて。
娉婷の意識が戻ってよかった。
でも、北捷は何も言わずに…。
娉婷は則尹と漠然が助けたという話を信じるかなぁ?
意識が朦朧とはしていたけど、北捷がいたことを気づかなかったかなぁ?
刺客のことも気になるけど…。
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何回か前に、耀天の方が律していたのに、
すっかり甘えんぼさんですね。
お二人とも花婿花嫁姿が本当に素敵でした!
姐姐が書かれている点は引っかかるのですが、
耀天を幸せにしてほしいです。
あのドラマのようなことにはならないように!
娉婷もこれで命が救われましたね。
酔菊が娉婷は妻だと知ったときにどうなるかと思いましたが、
感情的にならないところもいいキャラですね!
あのコワイ人とは大違いでした。
耀天と何侠の婚儀のシーン、とっても綺麗でした。
お似合いのカップルで幸せそうに見えるのに・・。
うささんやtimeさんも書かれているように、耀天が辛い思いすることになければいいのですが。
前回ラストに酔菊がエイッと思い切りブスっと刺した針治療は怖かったです。
やっぱり、北捷の愛の力で娉婷は目覚めたかな。
北捷は多分刺客のせいで娉婷から遠ざかったのね。
お互い深く結びついている二人は、これからどうなるのでしょうか。
プロポーズの時の衣装も素敵だったし、赤がよくお似合いですよね(#^^#)
何侠と並んで仲睦まじい姿…これがずっと続いてくれたらいいのに。
ところでこの回まで見て、私のお気に入りナンバーワンは北捷です♪(って普通すぎw)
娉婷を薬風呂に入れて献身的に世話する姿、自分の妻だ!と言ったところも含め、きゃあ~の連続でした。
このひたすらに真っすぐな所がたまらないわ~(≧▽≦)
他にもねこさんが挙げられた3人もそれぞれ素敵なキャラで私も好きです。
女性は、ヒロインを別とすると娉婷皇女かな~♪
それと酔菊の乱暴な針治療は驚きでした(^-^;
意識が戻ったからよかったけど。
皇女って、結婚しても別居になるのかな?
それは寂しいかも…