一方CIA工作員でロシア出身のヴァナー、小さい時に母に死なれてスペツナズに才能を見出されあらゆる格闘技や暗号解読、外国語などを仕込まれる。そしてアメリカで二重スパイになり、CIAの情報を北朝鮮やロシアなどに売ることを生業にしていた。あるとき、北朝鮮に売り込んでいた情報に欠陥があり北朝鮮スパイから追われるようになる。逃げ切れないと覚悟したヴァナー、必要なのは北朝鮮が興味を持ちそうな情報、そして謎の実験をしているというトバスキーに目をつける。しかし、その実験対象者一号は死んでいた。実験対象者確保を北朝鮮から期待されているヴァナーはデビッドを捉えようとする。しかし、CIAそしてNSC(国家安全保障局)所長のフォーサイスはそうした怪しいヴァナーの動きに気が付きヴァナーの動きを監視するようになる。
こうして追われるようになる二人はデビッドが爆発物を仕掛けられた場面で接触、ヴァナーが危機一髪でデビッドを救出する。ここまでが上巻。
ストーリーは単純に見えるが実は仕掛けはかなり複雑、読んでいて登場人物同士の関係が入り組んで混乱する場面もあるが、しかしストーリーテリングのプロの技はその複雑怪奇なストーリーの上を読者を軽々と持ち上げてコースターに載せるように運んでいってくれる。デビッドの生い立ちとヴァナーの生い立ちがそのストーリーに深みを与えることも忘れない。下巻が楽しみである。
