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意思による楽観のための読書日記

数学的にありえない(上) アダム・ファウアー ***

統計学講師で数学者、数字を操ることに天才的な才能を発揮するデビッド・ケイン、統合神経失調症で幻覚を見るようになった。ギャンブル好きが講じてある日賭博場でポーカーに興じ、フォーカードを手にして大勝負に出る。負けるのは相手がロイヤル・ストレート・フラッシュの場合だけ、ケインは数学的にありえないと判断、しかし相手はその手を持っていたため1万1000ドルを負けてしまう。相手は執念深い地下カジノの店主ニコライエフ、部下で巨漢のコズロフをデビッドの借金取り立てに向かわせる。2000ドルしか手持ちがないデビッドはなんとかしようと利子込みで7回払いを提案し、一回目の支払いをした上で、コズロフから逃げまわるようになる。そんな時に思いついたのが大学時代の恩師ドク、なにか実験で金になりそうな実験対象を探してはいないかと連絡を取ると、謎の研究をしている科学者トバスキーを紹介してくれる。しかしトバスキーはとんでもない人体実験をしていた。最初の実験対象は女子大生、薬漬けにされ転落死してしまう。デビッドは実験対象の第二号となり謝礼金を手に入れる。デビッドの双子の兄ジャスパーはそんな弟が心配になりフィラデルフィアから弟が住むNYCに出てくる。デビッドは幼なじみのダソーザが宝くじで信じられない金額を手に入れたことを知る。同じ番号のくじを10年以上買い続けていたダソーザはその数学的にありえない組み合わせと適合、1億4000万ドルを獲得していたのだ。そしてダソーザに連絡して1万ドルを手に入れようと会うことになる。

一方CIA工作員でロシア出身のヴァナー、小さい時に母に死なれてスペツナズに才能を見出されあらゆる格闘技や暗号解読、外国語などを仕込まれる。そしてアメリカで二重スパイになり、CIAの情報を北朝鮮やロシアなどに売ることを生業にしていた。あるとき、北朝鮮に売り込んでいた情報に欠陥があり北朝鮮スパイから追われるようになる。逃げ切れないと覚悟したヴァナー、必要なのは北朝鮮が興味を持ちそうな情報、そして謎の実験をしているというトバスキーに目をつける。しかし、その実験対象者一号は死んでいた。実験対象者確保を北朝鮮から期待されているヴァナーはデビッドを捉えようとする。しかし、CIAそしてNSC(国家安全保障局)所長のフォーサイスはそうした怪しいヴァナーの動きに気が付きヴァナーの動きを監視するようになる。

こうして追われるようになる二人はデビッドが爆発物を仕掛けられた場面で接触、ヴァナーが危機一髪でデビッドを救出する。ここまでが上巻。

ストーリーは単純に見えるが実は仕掛けはかなり複雑、読んでいて登場人物同士の関係が入り組んで混乱する場面もあるが、しかしストーリーテリングのプロの技はその複雑怪奇なストーリーの上を読者を軽々と持ち上げてコースターに載せるように運んでいってくれる。デビッドの生い立ちとヴァナーの生い立ちがそのストーリーに深みを与えることも忘れない。下巻が楽しみである。




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