見出し画像

意思による楽観のための読書日記

不思議の国の信州人 丸山一昭、岩中祥史 ***

長野県には複数のかなり違った文化と気質が存在していて、そのことを他県民はあまり知らない。そもそも「長野県人」という概念はあまりなくて、「どこの生まれですか?」と聞くと、飯田、伊那、諏訪、佐久、松本、木曽などという小さな地方名が、自分の出身地として名乗られることが多い。長野県観光大使が峰竜太だというと、「あれは下伊那の人だからね」というのは、決まって信州の他地方の出身者。下伊那郡下條村は長野県の南端にある。他県民が長野に観光に行って、宿泊地で明日の天気予報を見ると驚くことがある。それは、天気予報で分類されている地方名の多さ。NHKで言えば、野沢温泉から白馬、長野から信州新町の北信、松本から塩尻の中信、上田から軽井沢、佐久から川上の東信、諏訪から飯田の南信、開田から木曽、昼神温泉などの木曽谷と何画面にもまたがるから他県民は驚くのである。

長野県は南北に長く、北の野沢温泉と南の昼神温泉では気候が全く違う。地域も離れているためその文化も相当異なる。そのためそこに暮らす人達の文化や気質も違う。総面積は北海道、岩手、福島についで4番目に大きく、県境を接するのは8県、江戸時代には松代、飯山、岩村田、須坂、田野口、上田、小諸、松本、高島、高遠、飯田の11の藩と天領だった伊那が存在していた。廃藩置県のすったもんだで長野県となったが、明治32年には県歌「信濃の国」が作られ、この歌を歌うときには県民が一つになる。小中学校では毎週この歌を歌うので、大人になっても3番まで歌えることが、県民の自慢。長野県代表の試合がある甲子園球場に時として響き渡るのがこの歌で、NHKアナウンサーも知らないことも多い「信濃の国」の歌詞は信州観光案内にもなっている。

議論好きで理屈っぽい、北信・東信では東京志向、南信では名古屋志向が強い、教育に力を入れる、地域ごとの自己主張が強い、県外に出ると急に仲が良くなるのが信州人などと言われる信州気質。実は、信州の本当の良さを知らない、気づいていない住民も多くて、東京に出てきた初めて故郷の良さを痛感するのは各地方共通である。

本の装丁は長野北高等学校出身の池田満寿夫が手掛けているのだが、本の目立つ場所にはそのことをアピールしていない、これも信州人らしい?
 

↓↓↓2008年1月から読んだ本について書いています。

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「読書」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事