意思による楽観のための読書日記

風の岬 渡辺淳一 ***

野々宮敬介は去年の3月、大学を卒業して、国家試験を受けたばかり、医局では一年生。外科の医局に入って手術に立ち会ったとはいえ、ほとんどが見学で、たまに手伝いをしても創口を鉤で開いているだけの「鉤持ち」である。その敬介が伊豆の富士浜の町立病院に医長として出張を命じられた。赴任した野々宮は初日は二日酔いで引き継ぎをすっぽかし、診察はしたものの看護婦大石の助けでなんとか無事に過ごすことができた。初日に歓迎会で宴会が行われた「一力」のママ、看護婦大石、東京の女子大に行っていて一時帰郷している一色有希子、こうした女性陣が野々宮を誘惑したり、遊んだり。夏目漱石の「坊ちゃん」か、石坂祥次郎の「何処へ」の雰囲気。最近の渡辺淳一といえば男女の深みに入っていく不倫ストーリー専門、という気もするが、このようなさわやか青春物語もあった、ということ。
風の岬〈上〉 (角川文庫)
風の岬〈下〉 (角川文庫)

↓↓↓2008年1月から読んだ本について書いています。

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