意思による楽観のための読書日記

十面埋伏(下) 張平 ***

刑務所、警察、地区委員会、財界、村の重鎮などを巻き込んだ犯罪を刑務所員と警察の心ある人たちが命を張って摘発、犯罪を阻止するお話なのだが、中国の現代の官僚組織の腐敗、地方の貧困、公共機関の賄賂の横行、親類・閨閥・派閥・親分子分の世界を余すところなく描いた小説ともいえる。

登場人物は多いので名前を覚えるのには苦労する、というか覚えられないので、正義にあふれた側なのか悪漢なのか、で覚えて読むことにした。正義の側から書かれた小説なので、その方がわかりやすいと思ったからだ。中国での党や行政の腐敗はいうまでもない大問題、その中国社会の病巣をある事件を追及することで克明にえぐり出している。昔からある中国の黒社会と共産党の地方組織が、癒着している実態が経済発展のかげで国の財産の私物化を助長している。共産党の幹部や家族は、金をしこたま儲けて資産家になっているというのは知られた話。そうした実態を地方に小説の筋書きを移すことで発売禁止を免れながら暴こうとしているのだと思う。
十面埋伏〈下〉
十面埋伏〈上〉

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