本の前半は、厚生労働省がいかにダメな組織であるか、後半はこのままでは日本は例えば「天然痘ウイルスによるテロ」にも脆弱性を示す、何とかしなくてはいけない、という訴えでした。筆者は医者の娘、尊敬する父の後を追うように医師を目指し、米国留学の後厚生労働省からの医系技官としての採用要請に応えてキャリア扱いとして2001年に職員となった。その後、アメリカ仕込みの直言を繰り返して、本人によるとどんどん左遷されて空港検疫官にまでなってしまった。2009年3月発刊なので、H1N1新型インフルエンザ流行直前というタイミング、まさに抜群の時機を得た結果となった。民主党が参考人招致しようとして、厚生労働省の局長がなんとしても招致を阻止しようとした理由がよくわかる。
講談社が出版、タイトルは激しくてキワモノとも思えるが、中身はなかなか説得力がある。木村さんは「捨て身」というか、厚生労働省職員としての立場にこれっぽちも未練がないので潔い印象がある。田中真紀子さんの「外務省は伏魔殿」は有名になったが、木村さんの「厚生労働省は内部のボロを国民から隠す省」というのも至言、社会保険庁、血液製剤問題、すべて同根だと思える。この際、徹底的にやってほしいが、民主党は衆議院選挙を目前に控え、候補者選びの際、ほうっておけるか。政治家になってしまうなら、この本の出版さえ民主党の差し金ではないかと疑ってしまう。高市早苗が「アズ・ア・タックスペイヤー」出版で自民党議員になったように。
厚生労働省崩壊-「天然痘テロ」に日本が襲われる日
