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江戸後期の庶民の暮らし

2014年07月20日 | ノスタルジア
「徹底図解:江戸後期の武家屋敷」はこちら

江戸時代の武家屋敷とか、農家などは結構現存していますが、庶民の、いわゆる長屋となるとなかなか。火災に会うことを前提とした簡素な造りですし、しかも人口密集地ですので保存は難しかったのでしょう。多分他に例を見ないと思いますが、江戸時代後期の深川の街の一角をそのまま再現したのが深川江戸資料館。

まずは長屋の中心には、井戸と共用の便所、塵芥置場。井戸といっても実際に地下から水をくみ上げているわけではなく、玉川上水など、江戸市内に張り巡らされた上水路につながっています。

トイレは汲み取り式。おわい屋という商売があり、肥料に使ったそうです。上水路といい、汲み取り式のトイレといい、結構衛生的な町であったことがわかります。18世紀に入ってもまだ垂れ流しだったパリや、ロンドンよりはるかに進歩しています。奥に見えるのが塵芥置場。マンションのごみ置き場と似ていますね。


さて、長屋ですが、2階建てのものや、二部屋以上あるものなど種類は様々ですが、一番一般的なのはいわゆる9尺2間と言われ、幅が9尺=2.7メートル、奥行きが2間=3.6メートル、これでちょうど1.5畳の土間(玄関、炊事場共用)と4.5畳の部屋となります。つまりワンルーム。
写真は棒手振りの独り者の部屋、まずしいので畳さえひかれていません。

同裏手。風通しはよいみたいです。申し訳程度に濡れ縁もあります。

同じ9尺2間の間取りのカットモデル。船頭の住まい。奥にある低いパーティションのようなものは枕障子と呼ばれ、押し入れなど一切ない長屋では寝具をこの枕障子で隠したようです。なかなか粋な名前ですね。

奥に移動式のかまど(へっついとも言う)。手前に七輪がありますが、船上で使うため、倒れにくいように木枠に入っています。

9尺2間半の長屋のカットモデル、屋根の部分。張り出した部分がちょうど半間あり、1.5畳の土間(玄関、炊事場共用)と6畳の部屋となります。すこし広い。

カットモデル土間部分。一汁一菜の生活ですので、この程度の設備で十分だったそうです。

9尺2間半の長屋の一室。三味線のお師匠さんの住居なのでなんとなく粋な雰囲気が。読み書き、習字なんかも教えたそうです。畳敷き、長火鉢や書見台もあり、部屋も6畳、庶民としては上の暮らしですね。


さて、最後は棟割長屋の模型。これは深川江戸資料館にはありません、江戸東京博物館にあります。棟割長屋というのは棟のところに壁を作り、左右に仕切りますので、開口部は玄関兼土間のみ。風通しも悪く、薄暗く、生活環境は劣悪だったようです、店賃も安かったでしょうが。


驚いたなあ。豆助は実在の猫だそうです。記録にあるそうです。