9月12日(土)、原美術館「そこにある、時間」(ドイツ銀行コレクションの現代写真)を鑑賞。
そのあと、渋谷TOEIで映画「黒衣の刺客」を観ました。
理由は簡単、映像美の堪能です。
前日の毎日新聞夕刊に”いちずに求めた美”として紹介されていました。 それは、ストーリー
は期待するなという意味で、実際その通りでした。 よくわからないのです。 映画を終えて出るとき
若い男性3人連れが、わからなかったとぼやいていました。 理由はたぶん、日本向けに編集された版
のためかと思うのですが、インターナショナル版を観ていないのでなんともいえません。
それでも、映像美はさすがでした。
中国、黄山と思うのですが、山水画のような光景とそれを撮影するアームとカメラ、メーキングフォトですがこの写真が、映画の美を伝えてくれます。
一転、ヒロイン隠娘(インニャン)と宮廷内のカット。 重厚な時代考証と色使いで華麗な美を現出。
ポスター用のカットで隠娘が入っていますが、実際のシーンは朝靄にけぶる静寂な池と水鳥のシーンだけですが玄妙な世界
役どころの説明より、絵として見るだけでいい。
映画の冒頭は、モノクロ。 林にいる隠娘が兵団の通行を見ながら、暗殺相手に近づき、一瞬にして殺すシーン
撮影地はわかりませんが、美しい光景があちこちに散りばめられています。
写真はありませんが、山岳を騎馬で通行する光景など、一度、自分も観てみたい素晴らしい自然が記憶に残っています。
隠娘はほとんどセリフをしゃべりませんが、表情と仕草で伝わるものがあります。
隠娘と死闘を演じる、別の女刺客。 映画のなかでは何で出てきて死闘を演じるのか、全くわかりません。
その死闘のシーン。
死闘で傷を負った隠娘と手当をする遣唐使の青年(妻夫木聡)。 帰国できなくなった遣唐使らしいのですが、この役どころも全くわかりません。
それより、絵を観てほしい。 奥にいるのは隠娘の父親です。 囲炉裏の火、隠娘、妻夫木、父親、窓からの光・・・素晴らしい撮影です。
インタナショナル版のポスタでしょうか。
女刺客同士の死闘シーン。 アクションシーンですが、誇張したところがなく、自然でキレがいい。おいしいビールのようだ。
一方、宮廷の奥方のシーンも手を抜いたところがなく、魅せます。
伎楽を楽しむ暗殺対象の王(実はヒロイン隠娘と小さい頃は許嫁(いいなづけ)の仲だった)
映画の音楽も素晴らしかった。 この場面は伎楽と太鼓がリズミカルに鳴り響くのですが、太鼓の音に
暗い不吉なものが感じられます。
これは、台湾版の人物関係図で、日本版では、左端の空空兒や精精兒はありません。 また、中央、上の嘉誠公主と道姑/嘉信公主(隠娘を刺客に育てた道姑)が双子姉妹など、この図でわかりました。
聶隠娘という唐代の伝奇小説を下敷きにしているので、この話を知っているほうが理解を深めるでしょうが、それでも、今の編集版では、無理でしょう。
カンヌ映画祭の監督賞作品。 監督は「悲情城市」でヴェネチア映画祭グランプリを獲った方とは、昨日知りました。
映画祭のときの、出演者・監督の記念写真。 左端の隠娘を演じたスー・チーは、素晴らしいオーラを放っています。
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