こころあたたまるおしごと

昨日、神奈川県立音楽堂で、横浜清風高校吹奏楽部とムズィークコレーゲ横浜のジョイントコンサートの司会をしました。

去年に引き続いてのコンサート。

「お久し振りです！今年もよろしくお願いします」と高校生とコレーゲの皆さん。
指揮の安保先生も「息子は元気？」と気遣ってくださいながらあたたかく迎えてくださいました。


第一部は清風高校の演奏。

『ウィーン市の祝典』で華々しく始まり、

続いては、戸田顕先生がご自身で作曲なさった平和にまつわる3作
『そして全ては失われた』『平和への夜明け』『平和への行列』
を客演指揮。

難しい曲を高校生の皆さんは精一杯読み解き、奏でます。

初めて聞きましたが、重々しい喪失感のなかから平和への祈りが静かに現れ、
毅然とした平和の主張が披露される、といった流れで曲は進みます。
争いを選択するのも平和を選択するのも人間自身にかかっている
という訴えを強く感じました。

メッセージをこめて曲を作り、指揮をして人の心を動かす。
素敵だなぁと思ってみていました。

それにしても、この音楽会は贅沢です。
ステキな曲がこのあと、次々と現れます。
次に演奏されたのは、アイーダの凱旋行進曲。

また安保先生の指揮が上品！！
安保先生はドイツでチューバを学び、ドイツの歌劇場の管弦楽団でも活躍されていた方だけあって、オペラやドイツ音楽の表現が本当にステキ。

凱旋行進曲が、『元気良く』ではなく、『品良く高らかに』響きます。

聞けてよかった。

第二部はコレーゲの皆さんの演奏。
安保先生の門下生の皆さんは、「コレーゲ」という団体の名の下に年に一度集まって心と音を合わせる演奏会を開くのです。そんな同窓会、うらやましい！！

今年は、クラリネットが大活躍する曲『クラリネットのためのマーマレード』や『フィドルファドル』が集められました。

練習で「あー指が回らない！！」といいつつみなさんうれしそうに曲をさらって
いましたが、はたしてその楽しげな雰囲気は本番にそのまま現れ、見事美しく仕上げていました。

のりに乗っていたのは、ワルトトイフェルのワルツ「女学生」。

「これは、フランスのワルツ！ドイツでもアメリカでもないからね！
アン・ドゥ・トゥロワー、真ん中の拍を強く短く！！！」
と安保先生。


コレーゲの皆さんがそれぞれ高校時代に仕込まれた安保先生のワルツのリズムが
ここに再現され、皆さん懐かしみながら力強いワルツを演奏していました。

第3部は合同演奏。

大音響の「エレクトリカルパレード」や「ディキシーオンパレード」「エルクンバンチェロ」で大いに盛り上がった後に・・・・・・


ラストは、ワーグナーのローエングリン「エルザの大聖堂への行進」。

確かに好きな曲ではあるんです。
その直前に「司会ありがとうございます」と、花束も頂いてしまいましたし。

行進はとてもゆっくりで、それでいて荘厳で。

木管がソロで奏でるエルザの婚礼に向かう幸せなメロディーが、
合唱を表す金管のダイナミックさが、
胸にきゅきゅきゅとせまり、舞台袖で涙してしまいました。

お仕事だったけど、こんなにステキな曲ばかり聞けて、幸せな気持ちでした。

産後の司会はこれが一つめ。

正直に言えば、不安がなかったわけではありませんでしたが、
美しい音楽と、音楽を楽しむプレイヤーの皆さんの気持ちが伝わってきて、
司会をしている間に不安に思っていたことさえ忘れました。

あの場と、あの場にいらした演奏者、お客様、先生方に心から感謝いたします。