妹の出産

しばらく福岡に帰っておりました。

妹が里帰りして出産するのでその付き添いに。

妹とは5歳離れているんですが、年の差のせいかほとんどけんかの記憶がありません。
大人になってからはよく旅行に行ったり、一時期は二人で住んだりもしていて、実は結構仲良し。

上手に甘えることができるのは次女のよいところ。
またそれにできるだけ応えたいと思うのは、
お姉ちゃんの性（さが）でしょうか？

昔からあらゆる頼まれ事をしては、「仕方ないなぁ」といいつつ
お世話をしてきました。
「これ貸して、あれ貸して」といわれるがままに服を貸して
全身私のもの、ということは日常茶飯事。
さすがに、センター試験の前日に「部屋を掃除して」といわれたときは、
「はぁ～！？」といいましたが、記憶に残る反論はそれくらいです。

今回の里帰り出産も「菜穂ちゃんは当然来てくれるんやろうねぇ」
（呼び方はその時々で変わりますが、一番長かったのはよびすて。
お姉ちゃんと呼ばれたのは・・・遠い昔のこと・・・）
と妹がいうので、行くことになりました。（笑）
強引だったり無理を言われたりするのもかわいいもの。




でも、いろんなことは少しずつ変わっていくものなんですね。



妊婦の妹が、「はいは～い、わかりましたよ。げんきねぇ。」
と誰かに呼びかけているので
「うちの息子をあやしてるんだな」と見たところ、
彼女はおなかに向かって彼女の子供の胎動に応えていたのでした。

「彼女は守られる存在から、誰かを守る存在になったんだな」と初めて感じた瞬間。

大学生になっても、社会人になっても、結婚しても私たちは何も変わらなかったけれど、
今度は違う気がしました。

そして破水がおこり、陣痛が来て出産の日。

妹は入院して、私は一日がかりの陣痛に日中は付き添い、
真夜中になりそうな分娩まで立ち会う心積もりはしていたけど、
母と叔母が付き添っているのを見届けて、夕方帰りました。
息子の夕ごはん、息子のお風呂、息子の寝かしつけ・・・。
ちょうど人見知りのピークだった息子は、私以外では以上のことが難しく、
私は息子と一緒に家にいることが必要でした。

とてもとても大切な妹だけど、私もまた守らなければいけない存在がいて、
それは私でなくてはだめで・・・。

妹が無事女の子を産んだことを夜中0時前、叔母からの電話で聞きました。
せっかく寝た息子に聞こえないように洗面所で。
うれしくてしばらくそこで泣いていました。

翌日、妹に会いに行きました。

妹のそばには妹に似た小さなかわいい女の子が小さなおめめを閉じて寝ていました。
やがて目を開けてふぎゃふぎゃとかわいらしく泣き出すと、

「お母さんここにいますよ～。どうしたかな、おっぱいかな」

と妹はあかちゃんを抱き上げてあやしていました。


人前でいつも私の後ろに隠れて恥ずかしそうにしていた女の子は、
いつのまにかおかあさんになっていて、赤ちゃんのお世話をしている・・・。

うれしいけど、感慨深いけど、さびしいような気持ちになりました。













と思ったのもつかの間。



退院して実家に戻ってきた妹は、


「菜穂ちゃん、ミルク４０（cc）」


と自分はおっぱいを飲ませながらさも当然のように私に妹の子供用ミルクを
作れと、オーダー。

「何も変わっちゃいない」とあきれながら、嬉々として作ってしまう弱い姉なのでした。