歌人・辰巳泰子の公式ブログ

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5.15 ちはやふるの巻、大あばれ

2016-05-22 17:22:31 | 日常
三吟半歌仙 ちはやふるの巻

興業始末

平成二十八年五月十五日十六時 起首
同日二十時 満尾

於 神田「魚えん」


《連衆》

佐藤元紀
岡本胃斎
辰巳泰子

宗匠 辰巳泰子
執筆 岡本胃斎



発句・夏  ちはやふる神田祭やそらのあを  元紀


脇・夏  ぶるぶるどうどう青葉闇  泰子


雑  iPhoneの画面をこすりなぞりゐて  胃斎


雑 うらめづらしきおひょうの皿盛  元紀


秋の月  逃げきつて逃げきつてなほ名月の  泰子


秋  城穴に露二ツ三ツ四ツ  胃斎


秋  をちこちに不知火いくつ立つ風に  元紀


恋  粧ひいまだととのはぬかな  泰子


恋・雑  ピラミッド鏡のなかにそびえたち  胃斎


雑   深き祈りに爪光りつつ  元紀


雑   降りてのちストロンチウム半減期  泰子


雑   ウオッカの槽(ふね)日本酒の瓶(かめ)  胃斎


冬の月  澄みながらゆるるさゆるる月を干し  元紀


雑   新幹線熊本へ急ぐか  泰子


雑   いにしへのヤマトタケルも男の娘(こ)  胃斎


恋   愛(め)での盛りの指ぞおぼゆる  元紀


花   幹裂けて花のふるへて生ひ出でつ  泰子


挙句・春  霞の海にはるか極東  胃斎



――――――興業始末記


※1 いろいろあって、わたし、元気がなかったのですが、お二人が座をしつらえてくださって、こころから和みました。厚く御礼申し上げます。

※2 拗音とカタカナ語を、新かな表記としました。

※3 十三句め、初案「澄みながら揺るる冴ゆるる月を干す」。作者希望によって改訂しました。

※4 十五句めから挙句へ至る流れに、盛り上がりました。三句めは初案「iPhoneの画面を指でなぞりゐて」。宗匠としては、十六句めと「指」のかぶりが気になりました。花の呼び出しが恋句になるのは、避けたいことですが、満座の盛り上がりを受けてこの「花」になったので、iPhoneのほうの「指」に、ご再考をお願いしたほうが、仕上がりが自然かと、相談しました。

※5 ※4の相談のうえ、三句めを改訂しました。三句め初案に何の瑕疵もなかったのですが、わたしのわがままです。執筆の度量に感謝。

※6 五句めを改訂しました。初案「逃げきつて逃げきつてなほ名月や」。
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