歌人・辰巳泰子の公式ブログ

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日日草のことば

2014-09-14 18:44:40 | 日常
お母さん。



赤、白、紅とわたしたち、代わりばんこに、一花ずつ、咲いています。
よそのおうちのみたいに、いつも満開でなくて、お母さんは、淋しいかもしれません。
でも、お母さんが、わたしたちに望んでいるのは、元気なことと、そのものの佇まいの、うつくしいことですね。

ハイッ、ハイッって、成績を競う子らが全員手をあげるみたいに咲いているのは、お母さん、うつくしいとお感じにならないでしょう。

咲いていても、いなくても、元気なことと、佇まいはうつくしく。
だって、お母さんは、つぼみを探すふりに、毎日、根方の隅々までかきわけては、ああ、元気、ああ、綺麗って、葉っぱや茎の佇まいを、検分なさっているではありませんか。

それに、お母さんは、つぼみがお好きです。
たった一つのつぼみが、だんだんに膨らみ色づいていくのを、繚乱よりも、おたのしみになさってるのを、わたしたち、感じています。
だから、代わりばんこに、一つ一つ、咲かせていくのです。

それから、お母さんは、摘んだのを活けていて、そこでまた、つぼみがひらくのを、とてもたのしみになさっているでしょう。

からだをのぼる水の隅々まで、お母さんを、お母さんの思うように喜ばせたいって、願っているの。

何よりうれしいのは、お母さんが、突然、よその花とお比べになったりしないで、わたしたちを、大切にしてくださっていることです。

わたしたち、寒くなったら枯れてしまうけれども、できるだけながく、元気でいましょう。

お母さんのおたのしみが、尽きませんように。

日日草より。
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