堀江社長に海外も注目 「新時代の日本人」「楽観的すぎ」 (朝日新聞) - goo ニュース
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イタリア紙「イル・マニフェスト」の極東特派員ピオ・デミリアさんは「世界的なネットビジネスの未来やジャーナリズムのあり方まで、非常に興味深かった。あの若さであれだけのビジョンを語れる人が、今の永田町にいますか」。
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海外記者のライブドア及び堀江貴文氏への印象は、好意的のようだ。
が、堀江氏が語っているのはビジョンなのだろうか?彼の言うコングロマリットは、別に目新しい意見でもないし、ユーザーへの具体的なメリットも見えてこない。しかも、以前述べたように、インターネット至上主義という面があって、放送と通信の融合やメディアの新たなかたちの可能性を狭めるように思う。
依然として僕は、ライブドアの投じた一石を評価はするが、フジテレビグループはライブドアを組む相手にすべきではないと思っている。
というところで、この特派員は、少し見方を違えているのではないか。まあ、確かに永田町にはビジョンを持っている人はいないだろうけど、比較対象を間違えていると思う。そして、下記は同記事のしめくくり。
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ただ、放送とネットの融合には懐疑的だ。「人間のライフスタイルはすぐ変えられない。収入源が広告からネット購読料などに取って代わるとも思えない」。堀江氏が唱える「新しいビジネスモデル」は楽観的すぎるという観点からの記事を既に配信したという。
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これこれ。この指摘は非常に鋭い。広告というビジネスモデルの限界は、ネット業界では当然のことと思う。テレビ、新聞、雑誌、ラジオという不動の広告掲載四大メディアに、昨年インターネットがくいこむことになり、ラジオをぬいたというニュースが最近流れたが、これは落とし穴。検索をもつポータルでしか広告収入は成り立たないだろう。伸びているのはアドワーズ系であって、バナー系の収入は苦戦していると思う。ということは、インターネットのサイトは数あれど、純粋な広告というビジネスモデルでやっていけるのは、ポータルサイトを運営しているメディアだけになる。
そうしたポータルでさえ、Webサービスを取り入れ、M&Aをして組み込んでいる。証券、トラベル、ショッピングなど。だから、ポータルサイトにとっての広告など副収入にすぎない。新聞系メディアサイト(日経新聞とかニッカンスポーツなど)は、本体の新聞のコンテンツをサイトに流用しているだけだから、これもまた副収入。
ということで、Yahooなどはショッピングやオークションに力をいれているわけだ。Yahooオークションに登録したら、毎月数百円とられてるけど、これが彼らにとってはデカい収入源。ネットのビジネスモデルの主流は、ネット上でお金を左から右に動かす際の手数料なわけだ。
いっぽう、新聞社系のサイト。ネット上では無料で情報が手に入るのだが、それにお金がかかることになって、あなたは本当にお金を払いますか?と、上記の指摘はこういう意味なのだ。
コンテンツにお金は払われることはないだろう。こんなにブログが流行ってる現在、ニュースサイトに行かずとも、いろいろな論評は見れるわけだし。ブログの言うことは信用できないという向きもあろうが、信用度の高低は、現在のメディアも大して変わりはしない。
ところで、以前のライブドア関連エントリーにもいくつかコメントをいただいている。
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「"ライブドアは"、ネット系のサービスはまだ提供を始めたばかり」というようなことを"堀江さん自身が"、言っていた
です。えっと、まだわかりにくいですね。あの、「ネット系のサービス」というのは、一般の利用者向けサービスのことです。自分たちの会社(ライブドア)は、IT関連の別の事業(事業者向け?もっと詳しくおっしゃってたのですが、覚えていないのです。)は前からやってたんだけど、一般利用者向けのサービス(ブログなど)は、まだまだ始めたばかりなんです・・・みたいな感じでした。
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とのことだ。つまり、ライブドアはポータルサイトのWebサービスはまだまだ始めたばかりで、なんでもできるし、大きくなる可能性もあるということらしい。ライブドアは、その点を主張して、うちは将来性があるよと言いたいらしい。
確かに、ライブドアという社名になったのは去年の初めくらいだったと記憶している。それ以前はエッジという会社だった。僕がエッジにもっている印象といえば、ライブドアというポータルサイトもそうだが、ユードラ(メールソフト)を扱っているというのが大きい。
それが昨年のプロ野球参入の一件から、知名度を一気に伸ばし、PVも増加、ポータルとしての集客力はそろえたと言っていいだろう。しかし、サービス面となると、どうなのか。
infoseekを運営する楽天は、トラベルや証券などを次々と買収し、そのサービス・コンテンツを充実させてきた。他のポータルもそうだろう。つまり、ポータルサイトは個別のWebサービスを買収により充実させていくのが常道ということ。
ということは、ライブドアさん、順番間違えてんじゃないの?と思う。コングロマリットとかわけのわからないことを言うならば、ある程度のWebサービスをそろえてからでないと、他のメディアと組む価値は出てこないのでないか?僕がライブドアにフジグループと組む格がないと言うのは、こういうこと。他に資産とかの要因もあるが。
それに、既に主要なWebサービス会社は買収されているなかで、どうやって自分のサイトのWebサービスを一番に育てられるのか、疑問に思う。
ところでこのライブドア関連のニュース、社会にとってよくない傾向をもたらしているのではないかと最近思う。いや、正確に言えば、この話題を取り扱うメディアが悪いのであるが。
というのも。
寝屋川市の少年の議論は尽くされたのか?奈良市女児事件の反省はきちんとなされたのか?続発する入試ミスの罪は看過されていないか?
社会の根幹を揺さぶるニュースが、あまりに小さく扱われていると思う。確かにライブドアのニュースは大きいし興味深いしおもしろい。しかし、議論を深めるべきニュースの扱いが小さくなってしまうことが不満である。メディアはその倫理感をもっと発揮すべきと思う。
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ライブドアとフジテレビ【そらにうかぶ白いくも。】
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