90代の繰言

後期高齢者の戯言

残照の記(134)

2023-02-15 19:37:19 | 日記

100歳の恐怖

最近めでたく100歳になって市長に表賞されたSuさん。

食堂で隣の空いていた席に新人のOさん(82)が入ってきた。
ガラジイの対面だ。
入ってきたその日からSuさんのお説教が始まった。
妙な高い声で口をOさんの耳のそばに近づけてよく分からないことをくどくどとしゃべる。Oさん、2,3日は何とか我慢ができたらしい。
しかし4日目には朝食に現れない。

一人にしておくと大声で架空の人に受話器もなしに電話している。隣室に居住するガラジイは一晩中悩まされることもある。
その内遂に介護人の少女に暴力を振るった。

部屋を変わりたいが生憎空き室がない。退寮も考えた。別府は高齢者施設が多く、その気になればいくつも手ごろな施設が見つかる。

ある晩から急に静かになった。不審に思って看護師長に尋ねると睡眠薬を処方したようだ。

100歳、そして痴呆症恐るべし。
その前にこの世とバイバイしなければ、と密かに思う。
(以上)