蒲公英の絮

四季折々の花や空の写真と、自己流俳句で日々を綴ります。

俳句百物語

2024-08-02 23:16:00 | 日記












暑い暑い毎日。
そんな夏の夜にふさわしい、怪談の「俳句」

月刊俳句誌、八月号の特集。
俳句百物語。
とても興味深く読んだけど、その中の「倉阪鬼一郎…小説家であり俳人」の30句セレクションと解説を紹介。
(解説は割愛🙇‍♀️)




Ⅰ  マージナル(両義的)な光景


   稲妻に道きく女はだしかな          泉 鏡花


        流燈や一つにはかにさかのぼる             飯田 蛇笏



   囀りやピアノの上の薄埃         島村 元


         頭なき百足のなほも走るかな       山口 誓子



   死と書きて消す露濡れの秋茄子      平井 照敏



   背泳ぎの空のだんだんおそろしく     石田 郷子




II  危機的な光景


   爛々と昼の星見え菌生え         高浜 虚子



         赤き火事哄笑せしが今日黒し        西東 三鬼



         水を、水を 水の中より手がそよぎ      坂戸 淳夫



   一片の餅に血がさす誰か死ぬ        三橋 鷹女



   ローソクもってみんなはなれてゆきむほん   阿部 完一



         くわらくわらと 藁人形は 煮られけり      寺田 澄史





Ⅲ  深淵と虚無


   人殺す我かも知れず飛ぶ蛍        前田 普羅



       草二本だけ生えてゐる 時間       富澤 赤黄男




    おそろしき般若のめんのうらを見る    阿部 青鞋




    雛壇のうしろの闇を覗きけり         神生 彩史




    わたくしのうしろを殺す氷柱かな     柿本 多映




    今死なば瞼がつつむ春の山          斎藤 玄




    隙間より雛の右目の見えてをり      小豆澤 裕子




             太古よりあゞ背後よりレエン・コオト   攝津 幸彦




Ⅳ  出現する怪しきもの


     顔古き夏ゆふぐれの人さらひ      三橋 敏雄




               野遊びの児を暗き者擦過する      永田 耕衣





     枕辺に夢みよと誰が藁捨て置く    大原 テルカズ





               貌が棲む芒の中の捨て鏡        中村 苑子





     あじさゐに死顔ひとつまぎれをり    酒井 破天





                幽霊が写って通るステンレス      池田 澄子





     れんこんを板になならべて死人立つ   安井 浩司




Ⅴ  時代と世界の恐怖


                  戦争が廊下の奥に立ってゐた      渡邉 白泉




      征く人の母は埋れぬ日の丸に             井上 白文地




                  神父百人風船売りを取り囲む          深町 一夫





怖さの種類もいろいろ。
「うしろ」や「隙間」のゾッとする俳句。
「時代と世界の恐怖」は今でも起こり得る、そして同調圧力の怖さ。

少し背筋がひんやりしてきましたね?









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